第32回介護福祉士試験問題解説【問題35~60】 全26問 生活支援技術

生活支援技術

問題 35 
一戸建ての住宅に暮らす利用者の地震対策に関する訪問介護員(ホームへルパー)の助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 家具には,キャスターをつける。
2 書棚の上部には,重い物を収納する。
3 食器棚は,ガラス扉を外す。
4 外への避難経路は,玄関の1方向とする。
5 非常時に持ち出す物は,リュックサックにまとめておく。

★問題35正解=5
◆◆解説◆◆

大きな地震を体験されたかたがたの、貴重な御話しなども

ネットで見聞きできます。

標準装備 プラスアルファを かんがえておきたい

ですね。

問題 36 
介護保険の給付対象となる住宅改修を利用してトイレを改修するとき,介護福祉職が助言する内容として,正しいものを1つ選びなさい。

1 開き戸は,自動ドアに変更できる。
2 和式便器の上に,腰掛け便座を設置できる。
3 滑りにくい床材に変更できる。
4 取り外しが可能な手すりを設置できる。
5 現在使用している洋式便器に,洗浄機能を付加できる。

★問題36正解=3
◆◆解説◆◆

まんまと。

ひっかかって。

しまった。

そんな受験生さん、おられませんか??

住宅改修、福祉用具レンタル、福祉用具購入を

上手に区別しておられるかたは、1点追加できたと

おもいます。

設問1の、

自動ドアは、動力部分の工事に関する給付はありません。

設問2の、

和式便器の上に、置いて使う、補高便座は福祉用具購入に

該当します。

設問4の、

置くタイプの手すりは、福祉用具レンタルに。

設問5の、

洋式便器への洗浄機能の付加は、給付対象とはなりません。

みなさまも、御存知のとおり、

介護保険は、社会保険の1つ。

したがって、

給付に位置づけられる、住宅改修も、

一般的な、おうちのリフォームとは異なり、

あくまで、要介護状態等となった被保険者が、

在宅生活を継続するために、必要な内容がメインです。

給付の上限も、原則として、20万円(原則、1割負担)と

比較的、ちいさな改修と思っていただくと、わかりやすい

でしょう。

 

問題 37 
ユニバーサルデザイン(universal design)の7原則に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 高齢者が優先的に使用できる。
2 使い方を統一する。
3 情報伝達の手段は一つにする。
4 使用するためには訓練が必要である。
5 誰にでも使える大きさと広さが確保されている。

★問題37正解=5
◆◆解説◆◆

またしても。

ちょっと。

なにいってるのか。

わからない。

でも、

ユニバーサルの意味の1つに、『万人向け』というものが

ありますので、ここをヒントにできた受験生さんも

おられたとおもいます。

ユニバーサルデザインの7原則とは、以下になります。

(1) 公平性

だれでも、公平に利用できる。

(2) 自由度

使いやすいほうのデザインを、選んで使える。

(3) 単純性

使い方が簡単で、直感的にわかる。

(4)わかりやすさ

ほしい情報が、すぐに理解できる

(5) 安全性

うっかりミスや、危険なことにつながらない

ようになっている

(6) からだへの、負担の少なさ

無理な姿勢や、強いちからが必要でなく、

楽に使用できる

(7) スペースの確保

じゅうぶんな、大きさや、広さがある

設問5であれば、

ボタンの部分が大きくて、だれでも

押しやすいワイドスイッチなどが、該当します。

 

問題 38 
次の記述のうち,高次脳機能障害(hiffher brain dysfunction)による着衣失行のある人に対する着衣の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 着替えができない理由を本人に確認する。
2 左右がわかるように衣類に印をつける。
3 着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。
4 衣服を畳んで渡す。
5 着衣の方法を毎回変えるように勧める,

★問題38正解=2
◆◆解説◆◆

きっと御本人も、

もどかしいですね。

あたまで理解するよりも、

からだで、あらためて、覚え直してゆく・・・

実は、いちど失行したものを、取り戻してゆくことも

有り得るそうです。

じっくり、根気良く、何度でも繰り返し、改善を目指すことが

のぞましいですね。

『着衣失行』とは、高次機能障害のひとつで、運動麻痺などがないにも

関わらず、衣服を正しく着る動作が出来なくなる症状を言います。

衣服の前後、上下などがわからず、袖に頭を入れようとしたり、

ボタンをどのように留めればいいのかわからなくなります。

着衣失行の原因は、脳の、右半球頭頂葉に損傷が生じた場合に多く

起こることがわかっており、着衣失行が起きる場合、この障害は単体で

起きることは少なく、身体失認、構成失行など、他の障害も同時に併発

している場合が多いとされます。

問題 39 
更衣のための介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 手指の細かな動作が難しい利用者に,マグネット式のボタンを勧める。
2 認知症(dementia)のある利用者に,ボタンエイトの使用を勧める。
3 下肢の筋力低下のある利用者に,立位で更衣をするように勧める。
4 視覚障害のある利用者に,ソックスエイトの使用を勧める。
5 片麻痺のある利用者に,袖ぐりの小さい上衣を勧めるo

★問題39正解=1
◆◆解説◆◆

むかし、むかしは、選択の余地があまりなかった自助具ですが、

いまでは、選ぶのが難しいこともあるくらい、種類豊富に。

100円ショップでも、使いやすい便利グッズがたくさんあります。

日常生活のうえでのバリアを乗り越えるツールとして、上手に活用

していですね。

ちなみに、

設問2や、設問4に登場した、○○エイドの、エイドには、

手助けする・・・などの意味があります。

ボタンをとめたり、はずしたりするのを助ける自助具。

ソックスをはいたり、脱いだりするのを助ける自助具。

見たことなーーい!の受験生さんは、画像検索を。

問題 40 
介護老人保健施設の利用者の身じたくに関する専門職の役割として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 介護支援専門員(ケアマネジャー)は,洗面時の関節可動域の制限を改善する。
2 支援相談員は,着脱に使用する福祉用具を選定する。
3 栄養士は,破損した義歯を修復する。
4 看護師は,糖尿病(diabetes mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
5 理学療法士は,身体状況に合わせて衣類を作り直す。

★問題40正解=4
◆◆解説◆◆

なんか。

つかれますね。

妙にエネルギー使っちゃう、問題でしたが、

貴重な追加点、ありがとう! で。

でも、なぜ、ナースが爪きりを??

糖尿病で血糖値が高い状態が長く続くと、糖尿病の3大合併症の

ひとつである神経障害や、動脈硬化などが起こります。

動脈硬化は血流障害をおこし、結果、足にさまざまな異常が出やすく

なるのですね。

また、高血糖の状態はからだの抵抗力を落とすため、細菌感染がおこり

やすくなります。

『フットケア』の一環として、看護師さんが爪きり等を行い、

糖尿病による、足の病変予防につとめる必要があるからです。

問題 41 
次の記述のうち,ベッドから車いすへの移乗介護で最初に行うこととして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 移乗の目的を説明して同意を得る。
2 移乗の方法を説明する。
3 衣服を着替えてもらう。
4 車いすを介護しやすい位置に調整する。
5 ベッドの高さを調節する。

★問題41正解=1
◆◆解説◆◆

たとえ、日課となっていても、きちんと、

移乗の目的を御話しして、同意を得ることが基本。

なぜか、文章にすると、堅苦しいですね。

問題 42 
立位をとり静止している利用者の重心線が,点Xから点Yに移動したときに考えられるふらつきとして,適切なものを1つ選びなさい。


1 左前方へのふらつき
2 右前方へのふらつき
3 左後方へのふらつき
4 後方へのふらつき
5 右後方へのふらつき

 

★問題42正解=2
◆◆解説◆◆

何を問われているのか、図から、わからなかった・・・

こんな受験生さんも、多いのではないでしょうか?

からだの中心を、縦に、走っているとされる重心線。

立位では、重心の位置が骨盤の位置にあり、前からみると重心線が

体の中心を通ります。

これが、図の、Xとされる、黒い丸ですね。

中心にあった重心が、右足の前方へと、移動しました。

これが、Yとされる、黒い丸。

ということは、右、前方に、からだが傾く・・・

考えすぎると、わからなくなりそうな、不思議な問題です。

問題 43 
右片麻痺の利用者が,手すりを利用して階段を昇降するときの介護に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 手すりが利用者の右側になるように声をかける。
2 階段を昇るとき,利用者の左後方に立つ。
3 階段を昇るとき,右足から出すように声をかける。
4 階段を降りるとき,利用者の右前方に立つ。
5 階段を降りるとき,左足から出すように声をかける。

★問題43正解=4
◆◆解説◆◆

健側は、左側。

フォローすべき、患側は、右側。

右片麻痺とありますので、右手も、右足も、麻痺がある

状態となります。

右側に麻痺がある人が、手すりを使う場合、ふつうは、

左手で持ちますので、

右側への、ふらつきや、転倒に、より一層の注意が必要です。

階段を降りる際には、

利用者さんの、右側で、しかも、すこし前に立ち、

からだのふらつきや、右足の踏みはずしなどの

フォローがのぞまれます。

問題 44 
Mさん(78歳,女性)は,体格指数(BMI)は18.7である。病気や食事制限はない。この1年間で体重が2 kg減少し,「最近,歩くのが遅くなり,疲れやすくなった」と言っている。Mさんに普段の食生活を尋ねたところ,お茶漬けやうどんで済ますことが多いと答えた。
介護福祉職が食事バランスガイドを用いて摂取を勧める区分として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 主食
2 副菜
3 主菜
4 牛乳・乳製品
5 果物

★問題44正解=3
◆◆解説◆◆

問題 44   正解は 3 といたします

★ BMIが、18・7。

★ 1年間で、体重が2キロ減少

★ 最近、歩くのが遅くなり、疲れやすい

★ 食事は、お茶漬けや、うどんで済ませることが多い

4つの情報から、疑わしいのは!!

『低栄養状態』。

すなわち、たんぱく質が足りていない状態が

かんがえられます。

すこし前まで、スーパーなどでよくポスターやチラシを見かけた、

『食事バランスガイド』。

みなさまも、円錐形のイラストをご覧になったら、すぐ思い出される

ことと思います。

◆ 主食(ごはん、パン、麺類)

◆ 副菜(野菜、きのこ、いも、海草料理)

◆ 主菜(肉、魚、たまご、豆料理)

◆ 牛乳、乳製品

◆ 果物

上記のカテゴリーからバランス良く、摂取することを

啓蒙する内容でした。

Mさんに、たんぱく質を、もっと食べていただくには、

『主菜』が必要。

食が細くなってしまった背景も、探りたいところです。

問題 45 
いすに座って食事をする利用者の姿勢を確保する介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 顎を上げてもらう。
2 テーブルは,肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。
3 テーブルと体の間を30 cm離す。
4 体幹を後方に傾けてもらう。
5 いすに浅く座ってもらう。

★問題45正解=2
◆◆解説◆◆

 

可能な範囲で、

椅子には、深く、しっかりと腰をかけ、足底が、床に

つく状態で。

誤嚥防止のために、

顎はすこし引いて、体幹は、きもーち前に。

椅子とテーブルの間は、あけすぎないように注意。

となると、設問2 ですね。

 

問題 46 
高齢者の食生活に関する助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 骨粗借症(osteoporosis)の予防として,ビタミンD (vitamin D)の摂取を勧める。
2 高血圧症(hypertension)の予防として,果物の摂取を控える。
3 便秘の予防として,水分摂取を控える。
4 ドライマウス(dry mouth)の予防として,柔らかい食物を勧める。
5 逆流性食道炎の予防として、食後すぐに横になる。

★問題46正解=1
◆◆解説◆◆

カルシウムの吸収をたすけるのが、ビタミンD。

骨の健康を高める食事、日光を浴びての散歩や運動などが

のぞまれます。

骨粗しょう症は、無症状のまま進行して、骨折ではじめて気づく

こともあるため、治療を受けていない人が、とても多いと

されます。

病院などでは、待合室に骨密度を測定する機器を設置している

ところもみかけます。

骨密度の測定検査には、痛みはありませんので、気になる人は、

早めに調べていただくとよいですね。

 

問題 47 
左半側空間無視のある利用者の食事介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 利用者の左側にトレー(tray)を置く。
2 トレー(tray)の右側に印をつける。
3 クロックポジションに従って配膳する。
4 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。
5 利用者の右側にあるテレビをつけておく。

★問題47正解=4
◆◆解説◆◆

体験したことがないと、説明されても理解しにくいのが、

半側空間無視の患者さんの空間認知。

大脳半球が障害されたことにより、半側からの、さまざまな刺激

(視覚、聴覚、触覚など)を認識できなくなります。

視力は正常で、見えているはずなのに、認識しにくい・・・

たとえば、

テーブルの片側置いてある、お味噌汁のおわんに気づかない。

お皿のおかずの、半分だけ食べてしまう。

絵を描いてもらうと、半分が欠けた状態となることも。

左半側空間無視の患者さんであれば、

御自身の『左側』が認識しづらくなりますので、

設問1、設問2、設問3は、速攻で却下に。

設問5は、食事介助に最もふさわしいと判断する

根拠がないため、これも、却下に。

心理的に無理なく、全量摂取していただけるよう、

上手に促してゆく・・・ことが、のぞまれます。

問題 48 
清拭の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 目のまわりは目尻から目頭に向かって拭く。
2 背部は患側を下にして拭く。
3 腹部は臍部から恥骨部に向かって拭く。
4 両下肢は末梢から中枢に向かって拭く。
5 皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。

★問題48正解=4
◆◆解説◆◆

御自身が入院などで、清拭の御世話になった・・・

こんな受験生さんは、きっと少数派ではないでしょうか?

御風呂に入れないとき、夏の暑い時期、あるいは、

発熱で汗くさくなっちゃったとき、などなど。

まさに、清拭の価値を再認識。

決して、あなどってはならないとも再認識。

設問1は、論外にて却下。

設問2は、秒殺。

設問3も、選んだら、学習やり直し。

設問5も、やはり秒殺で。

設問4にあるとおり、

血液の循環を促進するためにも、可能であれば、

下肢は、末梢から中心部に向かってが原則となります。

問題 49 
利用者の状態に応じた入浴の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 血液透析を受けている人は,透析直後に入浴する。
2 胃ろうを造設している人は,入浴を控える。
3 心臓機能障害がある人は,半身浴にする。
4 酸素療法を行っている人は,鼻カニューレを外して入浴する。
5 回腸ストーマを造設している人は,食後1時間以内に入浴する。

★問題49正解=3
◆◆解説◆◆

 

一見、専門用語が並んで難しそうですが、

落ち着いて解き進めれば、みなさまなら、大丈夫。

『入浴』が、楽しみのひとつでもある人は多いもの。

医師の指示のもと、安全・安楽な、くつろぎタイムに

なれば、QOLの向上にもつながります。

設問1の、

透析患者さんの入浴では、

血圧、体液状態が不安定な透析患者さんでは、入浴による

血圧変動が更に大きくなるので、特に注意が必要です

そのため、

血液透析直後の入浴は、原則として禁止とされます。

透析直後は、血圧が低い傾向にあり、入浴によって

更に血圧が低下する可能性があること、

また、入浴によって

シャント穿刺部の出血と、感染の危険性が高いからですね。

設問2の、

胃ろう患者さんは、入浴OKですので、(×)に。

設問3の、

酸素療法を行なっている場合には、

原則として、装着したまま入浴しますので、(×)に。

設問5の、

回腸ストーマの患者さんでは、

ストーマ装具をつけたまま、シャワー浴をしたり湯船につかっても

大丈夫です。

ただし、

食後2時間くらいは、排便しやすくなりますので、

入浴は、避けるのがベスト。

心臓機能障害がある人の入浴は、心臓への負担を避けるためにも、

みぞおちの高さの、『半身浴』がのぞましいとされます。

よって、設問3が、正解に。

問題 50 
右片麻痺のある利用者が,ベッドサイドでポータブルトイレを使用するときの設置場所として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 A
2 B
3 C
4 D
5 E

★問題50正解=2
◆◆解説◆◆

 

ポータブルトイレは、原則として、健側の足元に。

問題では、右片麻痺となっていますので、

左側の、足元に置くのがベストですね。

問題 51 
膀胱留置カテーテルを使用している利用者への介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 水分摂取を控えてもらう。
2 カテーテルが折れていないことを確認する。
3 採尿バッグは膀胱と同じ高さに置く。
4 尿漏れが見られたらカテーテルを抜去する。
5 尿量の確認は看護師に依頼する。

★問題51正解=2
◆◆解説◆◆

膀胱留置カテーテル法とは、膀胱に溜まった尿を、カテーテル(細い管)を

通じて、体外に出す方法です。

カテーテルは、シリコンや、ラテックスでできており、

尿は、採尿(蓄尿)パッグに溜める仕組みです。

カテーテルはやわらかで、ある程度のからだの動きには沿えますが、

押しつぶされたり、折れ曲がったりしてしまうことにより、

尿の逆流による感染が起こる危険性があるため、注意が必要です。

また、採尿バッグは、

膀胱よりも、低い位置で、安定した状態をキープします。

これも、尿の逆流による、感染症を防ぐためですね。

問題 52 
解熱を目的にした坐薬(座薬)の挿入に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 挿入時は仰臥位(背臥位)で膝を伸ばす。
2 挿入時は腹式呼吸を促す。
3 坐薬(座薬)はとがっていない方から挿入する。
4 挿人後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。
5 衣服を整えてから手袋を外す。

★問題52正解=4
◆◆解説◆◆

発熱したときにも、

痛みがあるときにも、

利用されるのが、『座薬』。

坐薬は、肛門から挿入し、体温、または分泌液で徐々に溶ける

固形の薬剤です。

坐薬は成分が直腸から吸収され、肝臓を通過しないため、

薬が分解されにくく、

比較的安定した効果を発揮します。

また、他の薬剤や、食事との影響もありません。

ただし。

設問4にあるとおり、

おしりの穴に、挿入する使用法のため、せっかく入れた座薬が、

逆戻りして、出てきてしまうことがあるので要注意。

ティッシュなどで、そっと押さえ、肛門部には、ちからを

入れず、安楽な姿勢で薬が効き始めるのを待っていただくのが

ベストです。

 

問題 53 
肉入りのカレーを常温で保存し,翌日,加熱調理したときの食中毒の原因菌として,最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。

1 ウエルシユ菌
2 カンピロバクター
3 サルモネラ菌
4 腸炎ビブリオ
5 黄色ブドウ球菌

★問題53正解=1
◆◆解説◆◆

一晩、寝かせたカレー♪♪

みんなが楽しみにしちゃう、美味しさですが・・・

大きなお鍋で煮て、常温で、一晩置いたカレーには、危険もぎゅっと

つまっています。

その犯人は、設問1の、ウエルシュ菌。

ウェルシュ菌とは、人や動物の腸管、土や水の中など自然界に

幅広く生息している菌です。

感染した場合、下痢や腹痛などの症状が現れます。

この菌の怖いところは、高温の環境でも死滅しないよう、

芽胞(がほう)という体を守る特殊なカプセルのような構造になって

生き残る点です。

一旦この芽胞を作ってしまうと、100℃の温度にも耐えることが

できます。

つまり、

芽胞を作る前のウェルシュ菌は熱に弱いのですが、芽胞を作ってしまうと

高温でも、死滅させることが難しくなってしまうのです。

また、酸素が無いところでよく増殖しやすいため、

例えばカレーに使うような、大きな鍋の底で増殖しやすくなります

 

問題 54
ノロウイルス(Noro virus)に感染した人の嘔吐物のついた衣服の処理に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 嘔吐物を拭き取ったペーパータオルはごみ箱に捨てる。
2 汚染された部分にアルコールを噴霧する。
3 汚染された部分を強くもみ洗いする。
4 嘔吐物を取り除いた後,次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。
5 40°Cの湯で洗濯する。

★問題54正解=4
◆◆解説◆◆

 

できれば・・・

すみやかに・・・

処分がベストですが・・・

どうしても、そうできない場合には、

必ず手袋を着用して、嘔吐物を取り除き、

次亜塩素酸ナトリウム溶液に漬け、

そのあと、他の衣類などとは別にして、

洗濯します。

問題 55 
Aさん(85 歳女性,要介護1)は,認知症(dementia)があり判断能力が不十分である。一人暮らしで,介護保険サービスを利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに,物品売買契約書を見つけた。Aさんは,「昨
日,訪問販売の業者が来た」「契約書については覚えていない」と話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)から連絡を受けたサービス提供責任者が,迅速にクーリング・オフの手続きを相談する相手として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 行政書士
2 消費生活センター
3 家庭裁判所
4 保健所
5 相談支援事業所

★問題55正解=2
◆◆解説◆◆

着物、宝石、骨董品、健康食品、書画に、壷・・・

認知症のかたを狙った、悪徳な物品販売は後を絶ちません。

チームを組んで、何種類もの販売を繰り返す輩も!

問題55のようなケースに遭遇したなら、

まずは、クーリングオフ。

消費生活センターへの相談が、ベストですね。

 

問題 56 
眠れないと訴える高齢者に介護福祉職が行う助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 起床時に日光を浴びるように勧める。
2 日中,長い昼寝をするように勧める。
3 夕食後2時間以内に就寝するように勧める。
4 寝る前に緑茶を飲むように勧める。
5 決まった就床時刻を守るように勧める。

★問題56正解=1
◆◆解説◆◆

なぜ、日光を浴びると、良眠に効果があるのでしょう??

キーワードは、

『セロトニン』と、『メラトニン』。

『セロトニン』は、

脳から分泌される睡眠ホルモンである、メラトニンの原料。

『メラトニン』には、季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌の

リズムといった 概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する

作用があるのですね。

もちろん、日光浴だけでは改善されない場合もあります。

睡眠障害を訴える、御高齢のかたは多いとされます。

御年だからと放置せず、主治医に相談することも大切です。

開題 57 
施設における安眠を促すための環境に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 湿度は20%以下に設定する。
2 寝衣は,体に密着した形のものを選ぶ。
3 冷暖房の風が,体に直接当たるようにする。
4 夜間の照明は,部屋全体がはっきり見える明るさにする。
5 介護福祉職同士の会話が響かないようにする。

★問題57正解=5
◆◆解説◆◆


問題 58 
睡眠薬を服用している高齢者への介護福祉職の対応として,適切なものを1つ選びなさい。

1 アルコールと一緒に服用してもらった。
2 服用後, 1時間は起きているように伝えた。
3 日中,ふらつきがみられたので医師に伝えた。
4 通常の量では眠れないと言われたので,追加して飲むように伝えた。
5 体調に合わせて服薬時間を変更した。

★問題58正解=3
◆◆解説◆◆

睡眠薬のイメージとして、夜のあいだだけ、

効いているようにおもえますが、

高齢者においては、朝起きてからも、薬効が残っている

ことも有り得ます。

当然に、ふらつき、転倒などによる、大きな事故にも

つながりかねません。

すみやかな、医療機関への連絡がのぞまれます。

良いねむりには、環境整備が欠かせません。

個人差はありますが、

室温は、夏なら、25度くらい、冬なら23度くらいで、

湿度は、50パーセントから、60パーセントが望ましいと

されます。

リラックスできるパジャマと寝具。

暗い環境で眠ることは、メラトニンの分泌を

促します。

人の声は、睡眠を阻害しやすいとされますので、

介護スタッフのかたの声も、配慮できればベスト。

 

問題 59 
Bさん(83歳,女性)は,介護老人福祉施設に入所している。終末期で,「最期はこの施設で迎えたい」という本人の希望があり,家族もそれを望んでいる。
昨日から死前喘鳴が出現し,医師から,「あと数日でしょう」と言われた。「呼吸が苦しそうだ」と言っている家族への介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」
2「Bさんに意識はないので心配いらないですよ」
3「痰の吸引をすると楽になるので準備しますね」
4「Bさんを励ましてください」
5「すぐに救急車を呼びましょう」

★問題59正解=1
◆◆解説◆◆

お別れのときが近づくと、呼吸にも変化があらわれます。

咳払いができないほどに衰弱した患者さんでは、

咽頭や気道の内部に唾液などの液体が溜まってくると、

ゴロゴロといった音(喘鳴)が聞かれるようになります。

『死前喘鳴』は、咽頭の後方部分での唾液の貯留が原因で

起こります。

御家族にとっては、息が苦しそう・・・と不安になるのも

当然ですが、『死前喘鳴』は、死が近いことを示す徴候です。

そばで見ていると凄くつらそうですが、ご本人はもうあまり意識が

ありません。

このような状態になっても、五感のうち、聴力は残っていると言われて

います。

そばで手を握って、「そばにいるよ」「大丈夫だよ」と声をかけて

あげることもよいでしょう。

 

問題 60 
高齢者施設において介護福祉職が行う死亡後の介護について.最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ペースメーカーを取り除く。
2 口が閉じない場合は紐で顎を固定する。
3 衣服は着衣がしやすい服を選ぶ。
4 全身清拭には水を使用する。
5 家族に,死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。

★問題60正解=5
◆◆解説◆◆

 

御家族によっては、

ゆっくりシャンプーをしてあげたい、

大好きだったお洋服に着替えさせたい、

お化粧をしてあげたい、

などといった御希望がある場合も。

お辛くて、なにもできない場合ももちろん

あります。

スタッフだけですすめることなく、

御家族にも、お声をかけて確認する、設問5が

のぞましいとかんがえます。

第32回介護福祉士国家試験 試験問題と解答解説  目次

解答速報一覧はこちらから

問題難易度アンケート

得点状況アンケート

・【問題001~2】 全2問 人間の尊厳と自立

・【問題003~4】 全2問 人間関係とコミュニケーション

・【問題005~16】 全12問 社会の理解

・【問題017~26】 全10問 介護の基本

・【問題027~34】 全8問 コミュニケーション技術

・【問題035~60】 全26問 生活支援技術

・【問題061~68】 全8問 介護過程

・【問題069~76】 全8問 発達と老化の理解

・【問題077~86】 全10問 認知症の理解

・【問題087~96】 全10問 障害の理解

・【問題97~108】全12問 こころとからだのしくみ

・【問題109~113】全5問 医療的ケア

・【問題114~125】全12問総合問題

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