第32回介護福祉士試験問題解説【問題114~125】全12問総合問題

 

総合問題

(総合問題1)
次の事例を読んで,問題114から問題116までについて答えなさい。

事 例
Lさん(78 歳,女性)は一人暮らしをしている。「もったいない」が口癖で,物を大切にし,食べ物を残さないようにして生活している。
半年前,脳の細い血管が詰まっていることがわかり,入院して治療を受けた。左半身にしびれがあり,右膝の変形性関節症(osteoarthritis)で痛みもあったために,介護保険の申請をしたところ,要介護1になった。
家事はできるだけ自分でしたいという希望から,週に2回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して,掃除と調理を訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒にしている。

問題114 
Lさんが入院するきっかけになった脳の疾患として,適切なものを1つ選びなさい。

1 ラクナ梗塞(lacunar infarction)
2 くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)
3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)
4 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
5 高次脳機能障害(higher brain dysfunction)

 

 

 

★問題114正解=1
◆◆解説◆◆

問題 114   正解は 1 といたします

脳血栓の中でも、脳の深い部分を流れている細い血管が

詰まってしまうことで起きる脳梗塞を、『ラクナ梗塞』といいます。

ラクナとは、ラテン語で、小さなくぼみという意味でそうです。

問題115 
ある日. Lさんと一緒に調理していた訪問介護員(ホームヘルパー)は,賞味期限が2日前に切れた缶詰を見つけた。
Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 黙って処分する。
2 食べてはいけないと伝える。
3 食べやすいように,缶のふたを開けておく。
4 食べ方を相談する。
5 保存容器に移して保管するように勧める。

 

 

 

★問題115正解=4
◆◆解説◆◆

問題 115   正解は 4 といたします

あくまで、一般論ですが。

缶詰は、

未開封であれば、賞味期限が過ぎていても、食べることが

できるとされます。

しかし、それには、条件があります。

それは、適切な環境状態で保存することです。適切な環境とは、

湿気が少なく、直射日光の当たらない冷暗所です。

勝手に、調理したり、廃棄せずに、

Lさんの意向を確かめることが、のぞましいですね。

問題116 
介護保険の申請をしてから半年がたち,更新申請の時期になった。この半年でLさんは,訪問介護員(ホームヘルパー)が来ない日もいすに座って調理をするなど,回復してきている。更新申請の結果, Lさんは要支援1になった。
次のうち, Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として,適切なものを1つ選びなさい。

1 訪回介護事業所の訪間介護員(ホームヘルパー)
2 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター
3 地域包括支援センターの主任介護支援専門員
4 訪問介護事業所のサービス提供責任者
5 生活介護のサービス管理責任者

 

 

 

★問題116正解=3
◆◆解説◆◆

問題 116   正解は 3 といたします

要介護1から、要支援1に。

Lさんの努力はもちろんのこと、

訪問介護員のかたがたの、支えも大きいですね。

ご存知のように、

要介護1から、要介護5は、介護給付。

要支援1と、要支援2は、予防給付。

給付の上限も異なりますし、

ケアプラン作成に関しても変更があります。

5つの設問から、

地域包括がプランを担当することが

想定されますので、

正解は、設問3 となります。

総合問題2
次の事例を読んで,問題117から問題119までについて答えなさい。
事 例
Mさん(80歳,男性)は, 2年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して,介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。
その後, Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため, Mさんは, U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。
Mさんの入所当日,担当のA介護福祉職は,生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で,Mさんと関わった。

問題117 
次のうち,A介護福祉職が確認した記録として,適切なものを1つ選びなさい。

1 施設サービス計画書
2 インシデント報告書
3 エコマップ
4 プロセスレコード
5 フェイスシート

 

 

 

★問題117正解=5
◆◆解説◆◆

問題 117   正解は 5 といたします

『フェイスシート』とは、

医療・福祉分野等で、援助を目的とした情報収集において使用される

利用者の「氏名」「年齢」「性別」「家族構成」「健康状態」など

の基本データをまとめた、用紙のことですね。

サービスを利用する前において、

まずはじめに「この利用者はどのような人か」を知る書類と

いえば、わかりやすいでしょうか。

 

 

問題118 
入所当日の昼食後,A介護福祉職はMさんに歯ブラシと歯磨き粉を渡して,歯磨きを促した。しかし, Mさんは歯ブラシと歯磨き粉を持ったまま,不安そうな顔で歯を磨こうとしなかった。
このときのMさんの症状に該当するものとして。適切なものを1つ選びなさい。

1 幻視
2 失行
3 振戦
4 脱抑制
5 常同行動

 

 

 

★問題118正解=2
◆◆解説◆◆

問題 118   正解は 2 といたします

手や足など、運動を行う体の器官を運動器といいます。

運動器に異常がないのに、

身につけた一連の動作を行う機能が低下することを、

失行(しっこう)といいます。

たとえば、

うがいをして水を吐き出す、という一連の動作ができなく

なってしまう・・・ などが、失行にあたります。

問題119 
面会に訪れた妻はA介護福祉職に,「最初は夫を施設に入れて申し訳ない気持ちもあったが,元気そうな夫を見て,今はこの施設を利用してよかったと思っている」と話した。A介護福祉職は妻の発言を受けて,介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが必要であると考えた。そこで, A介護福祉職は施設職員と検討した。その結果,地域の家族介護者を対象に,介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを,独自の事業として継続的に行うことを法人として決定した上で,必要な手続きを行うこととした。U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。

1 公益事業
2 日常生活自立支援事業
3 相談支援事業
4 自立相談支援事業
5 地域生活支援事業

 

 

★問題119正解=1
◆◆解説◆◆

問題 119   正解は 1 といたします

精査中です。

いましばらくの、御時間の御猶予を・・・

総合問題3
次の事例を読んで,問題120から問題122までについて答えなさい。
事 例
Bさん(22歳,男性)は, 19歳の時に統合失調症(schizophrenia)を発症し,精神保健指定医の診察の結果,入院の必要があると診断された。Bさん自身からは入院の同意が得られず,父親の同意で精神科病院に入院した。
その後,数回の入院院を繰り返した後,21歳から居宅介護を週1回,訪問看護を月2回,デイケアを週3回利用しながら一人暮らしをしている。
居宅介護では,料理や掃除,買物などの介護福祉職の支援を受けているが,Bさんも調子の良いときは一緒に行っている。訪問看護では,Bさんは,服薬を忘れることがあるため,看護師と一緒に薬の飲み忘れがないかを確認している。また,デイケアでは,運動と園芸のグループに参加している。

問題120 
Bさんが19歳で精神科病院に入院したときの入院形態として,正しいものを1つ選びなさい。

1 任意入院
2 医療保護入院
3 応急入院
4 措置入院
5 緊急措置入院

 

 

 

★問題120正解=2
◆◆解説◆◆

問題 120   正解は 2 といたします

厚生労働省資料によりますと、

医療保護入院は下記のようになります。

【対象】  

入院を必要とする精神障害者で、自傷他害のおそれはないが、

任意入院を行う状態にない者

【要件等】  

精神保健指定医(又は特定医師)の診察、及び、家族等の

うち、いずれかの者の同意が必要

(特定医師による診察の場合は12時間まで)

問題121 
Bさんは,居宅介護のC介護福祉職にはデイケアや生活のことについて安心して話すようになってきた。ある日, C介護福祉職が掃除をしていて,薬が2週間分内服されていないことを見つけた。また, Bさんは,「Cさんにだけ話します。
みんなが私の悪口を言って。電波を飛ばして監視しています」とおびえながら話した。話を聞いたC介護福祉職のBさんに対する最初の言葉かけとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1「今すぐ薬を飲んでください」
2「悪口の内容を詳しく教えてください」
3「薬を飲んでいないからですよ」
4「医師に話しておきますね」
5「それは不安ですね」

 

 

 

★問題121正解=5
◆◆解説◆◆

問題 121   正解は 5 といたします

むずかしい局面ですね。

服薬をやめてしまった理由が、わかりませんので

内服をしていないことを、とがめるのはNG。

中止期間があったことから、主治医の許可なく、勝手に

内服を開始することも、やはり、NG。

告げ口的なニュアンスも、避けるべきですよね。

おびえながら話してくれるBさんを、受け止める。

設問5の対応が、のぞましいとかんがえます。

問題122 
Bさんは, C介護福祉職と話したことをきっかけに、定期的に服薬できるようになり,以前と同じ支援を受けながら一人暮らしを続けている6最近は,ディケアで就労を目指すグループ活動に自ら参加するようになった。Bさんは,「就労に挑戦してみたい」という気持ちはあるが,就労経験のある他のメンバーの失敗談を聞くと,「自信がない」とも言っている。
Bさんへの支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 白分で料面!と掃除かできるようになることが優先であると話す。
2 服薬ができなかったことを取り上げ,治療に専念するように話す。
3 無理せず,今の生活を維持することが大切であると話す。
4 長所を一緒に探し,どのような仕事が向いているのかを考えようと話す。
5 他のメンバーの失敗原因を考え,失敗しない対策をしようと話す。

 

 

 

★問題122正解=4
◆◆解説◆◆

問題 122   正解は 4 といたします

文句なしの、設問4 ですよね!!

総合問題4
次の事例を読んで,問題123から問題125までについて答えなさい。

事 例
Dさん(59歳,女性)は30年年前に関節リウマチ(rheumatoid arthritis)を発症して現在,障害者支援施設に入所している。
Dさんは,朝は手の動きが悪く痛みがあるが,午後,痛みが少ないときは関節を動かす運動を行っている。
足の痛みで歩くのが難しく車いすを使用しているが,最近は手の痛みが強くなり,自分で操作することが難しい。また,食欲がなく,この1か月間で体重が2 kg減っている。夜中に目が覚めてしまうこともある。

問題123 
Dさんの朝の症状の原因として,最も可能性が高いものを1つ選びなさい。

1 睡眠不足
2 低栄養
3 平衡感覚の低下
4 筋力低下
5 関節の炎症

 

 

★問題123正解=5
◆◆解説◆◆

問題 123   正解は 5 といたします

関節リウマチの症状は、朝起きてから30分以内くらいに

最も出やすく、日中や、夜は落ち着くのが特徴です。

その意味で、朝の身支度や朝食の準備などは、初期症状に

気づくことができるかもしれません。

関節リウマチは女性に多く、痛みや腫れの症状は手指の、

第2関節に出るのが典型的で、左右対称になりやすいことが

知られています。

問題124 
使っていた車いすを自分で操作することが困難になったDさんが「障害者総合支援法」で電動車いすを購入するときに利用できるものとして,適切なものを1つ選びなさい。

1 介護給付費
2 補装具費
3 自立支援医療費
4 訓練等給付費
5 相談支援給付費

(注)
「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

★問題124正解=2
◆◆解説◆◆

問題 124   正解は 2 といたします

補装具費と聴くと、なんだか下肢に使用するタイプ

だけのように思えますが・・・

『補装具費』とは、

障害者総合支援法に基く、自立支援給付の1つに

該当します。

補装具の購入、借り受け、または、修理に要した費用に

ついて支給されます。

補装具とは、障害者の身体機能を補完し、または、代替し、

かつ、長期間にわたり、継続して使用されるものとされ、

具体的には、

義肢、装具、車椅子などをいいます。

問題125
Dさんは,「ここ数日,朝だけでなく1日中,何もしないのに手足の痛みが強くなってきた」と訴えている。
日常生活でDさんが当面留意すべきこととして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 前あきの衣類より,かぶりの衣類を選ぶ。
2 ベッドのマットレスは,柔らかいものを使用する。
3 関節を動かす運動を控える。
4 できるだけ低いいすを使う。
5 頸部が屈曲位になるように,高めの枕を使用する。

★問題125正解=精査後3
◆◆解説◆◆

問題 125   正解は 3 といたします

ここ数日、何もしないのに手足に、強い痛みがあることから、

局所の安静のため、これまでの運動は一時的に控え、

速やかな医療機関の受診がのぞまれますね。

第32回介護福祉士国家試験 試験問題と解答解説  目次

解答速報一覧はこちらから

問題難易度アンケート

得点状況アンケート

・【問題001~2】 全2問 人間の尊厳と自立

・【問題003~4】 全2問 人間関係とコミュニケーション

・【問題005~16】 全12問 社会の理解

・【問題017~26】 全10問 介護の基本

・【問題027~34】 全8問 コミュニケーション技術

・【問題035~60】 全26問 生活支援技術

・【問題061~68】 全8問 介護過程

・【問題069~76】 全8問 発達と老化の理解

・【問題077~86】 全10問 認知症の理解

・【問題087~96】 全10問 障害の理解

・【問題97~108】全12問 こころとからだのしくみ

・【問題109~113】全5問 医療的ケア

・【問題114~125】全12問総合問題

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