第30回介護福祉士試験問題 解答解説1-2 人間の尊厳と自立
第30回介護福祉士国家試験問題解答解説
人間の尊厳と自立
問題1
1960年代後半からアメリカで展開した自立生活運動に関する記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 障害者自身の選択による自己決定の尊重を主張している。
2 障害者の自立生活は、施設や病院で実現されるとしている。
3 「ゆりかごから墓場まで」の実現にむけた制度設計を目指している。
4 障害者が機能回復を図ることを「自立」としている。
5 介護者を生活の主体者として捉えている。
解答
1
解説
問題1
正解は、 1と いたします。
自立生活運動(じりつせいかつうんどう)とは、
(英 :INDEPENDENT LIVING MOVEMENT)とは、
障害者が自立生活の権利を主張した社会運動のこと・・・ ですよね。
アメリカのカリフォルニア州で、しょうがいをもつ、
スタートしたとされます。
IL運動とも呼ばれ、ここでは、
自立の概念について、
【自立生活とは、意思決定、あるいは、日常の生活における、
最小限にするために、自分の納得できる選択にもとづき、
これには、
身辺処理、地域における日常生活などへの参加、
【自立】とは、単に、
ではなく、心理的に他者への依存から脱却し、
設問1を、選んでいただけたのではないでしょうか??
ちなみに、昨年の29回 問題1では、片麻痺の高齢女性が転倒後、不安から、歩くことを拒むようになり、口数も減って・・・という、『短文・事例問題』
また、問題2では、障害児・者への、『ノーマライゼーション』
過去問題を、できれば、
この科目では、頑張って、○○○を しっかり理解してくださいねとか、
この単元では、頑張って、◇◇◇を 覚えてくださいね などといったメッセージ皆さまへの、熱い、熱い、期待!! それが、『過去問題』ともいえるからですね。
◆◆◆ ここで、試験攻略のための【コツ】をすこしだけ・・・
御存知の受験生さんも、多いと存じますが、【各種試験の1問目】
あえて! あえて! 難しめに、作成されることが多いようです。
受験生さんの、やる気をくじけさせ、
なので、見たことも、聞いたこともない設問が飛んできても、『
『やっぱりね』 程度に思っていただいて、OKです。
時間通りに解いたら、
介護福祉士試験のように、問題数が多い試験では、
点数を稼ぐ問題、とにかくマークする問題、どちらも配点は、【
前半では特に、いわゆる、『スーパー難問』
皆さま、落ち着いて、おとなの対応で、まいりましょう。
★★
問題2
Aさん(65歳、男性、要介護2)は、昨年、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerk,type)と診断された。妻は既に亡くなり、娘のBさん(35歳)は遠方に嫁いでいる。Aさんは、現在、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で生活している。Aさんは、現在、介護福祉職に対して、「Bは頭もいいし、かわいいし、きっと妻に似たんだな」とよく話していた。
Bさんが面会に来た時、「誰だい。ご親切にありがとうございます」というAさんの声と、「私はあなたの娘のBよ、忘れちゃったの」「お父さん、しっかりしてよ」と怒鳴るBさんの声が部屋から聞こえた。
介護福祉職がAさんへのアドボカシー(advocacy)の視点からBさんに行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Aさんへの行動は間違っていると話す。
2 Bさんに対するAさんの思いを話す。
3 Aさんの成年後見制度利用を勧める。
4 Aさんとはしばらく面会しないよう話す。
5 Bさんの思いをAさんに伝えると話す。
★★
解答 2
解説正解は、2 といたします
『アドボカシー』とは、
代弁(アドボケート)や、権利擁護の意味で用いられる専門用語ですね。
事例問題から、下記のことが読み取れます。
介護保険の1つでサービスである、グループホームを利用中のAさん。
お嬢さんのBさんは、遠方に嫁いでいます。
お嬢さんのBさんのことを、奥様に似て、頭が良く、かわいいと、何度も
繰り返しお話しされていた。
しかし。病状はすすみます。
お嬢さんの、Bさんのことが、すこしづつ、認識できなくなってきて、
面会でも、自分の娘とは、認識できず、
Bさんは、そのことが受容できなくて、怒鳴ってしまった・・・
怒鳴られたけれど、Aさんは、お嬢さんにきちんと御自身の病状などを説明する
ことがおそらく困難・・・
問題2は、
Aさんへの、アドボカシーの視点から、Bさんに行なう対応を尋ねていますので
介護福祉士職員は、【Aさんの代弁者となって】、Bさんに、お話しすることに
なりますよね。
この場合であれば、
亡くなった奥さまに似て、あたまが良くて、かわいいBさんをとてもおもって
おられることを、Aさんにかわって、お話しすること・・・となるでしょう。
さあ! つづいて、3問目。 落ち着いて。落ち着いて。皆さまなら、大丈夫。
しっかり文章を読んで正解を選んだら、丁寧に、かつ、迅速に、マークであります。
この際に、番号を間違えてマークしないように、また、見直し時間に、スムーズに
チェックできるように、選んだ解答番号を、問題用紙の問題番号上部などに、御自身の
『ファイナルアンサー』を、メモしておくといいですね。
さて、次にすすむ前に少しだけ、おさらいであります。
ぜったいに、おさえておきたい、人間の尊厳と自立についての関連法を抜粋しました。
御時間のあるときに、他の条文もぜひ、ちょこっと、御目通しくださいませ。
◆◆◆ 日本国憲法 第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利に
ついては、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要と
する。
◆◆◆ 日本国憲法 第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
(2)
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び
増進に努めなければならない。
◆◆◆ 介護保険法 第1条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、
入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を
要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を
営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、
国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な
事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
◆ 障害者基本法 第3条
すべて障害者は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を
有するものとする。
(2)
すべて障害者は,社会を構成する一員として社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に
参加する機会を与えられるものとする。
★★