第29回介護福祉士国家試験問題解説 問題13
第29回介護福祉士国家試験問題解説
問題13
Dさん(45歳,男性)は脊髄損傷(spinal cord injury)による肢体不自由で,
身体障害者手帳3級を所持している。同居家族の高齢化もあり,「障害者総合支援法」に
基づくサービスを利用するために認定調査を受けたところ,障害支援区分3と判定された。
Dさんが利用できるサービスとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 療養介護
2 重度訪問介護
3 重度障害者等包括支援
4 短期入所
5 行動援護
(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
◆解答解説
問題13
正解は、4と、します。
ここは、考えても、考えても、わからんかった・・・なんて、御声がたくさん聞こえてきそう
ですね。 やはり、午前の部、関所でもある【社会の理解】は、難問系の出題が並ぶようです。
けれど。
けれど。
けれど。
どんなに考えても、わからない・・・そんな時であっても、【白紙解答】はNG!!です。
あとで解こうと思っていて忘れたり、時間切れになって再トライできなかった場合には、
ゼロ点決定だからですね。
決めた時間どおりに問題を解いて、その時点でのファイナルアンサーを、かならずマーク。
見直しタイムで、再トライがおすすめであります。
これなら、得点の可能性もずっと、ずっと、高くなりますよね。
障害者自立支援法から、改正を重ねて、現在の『障害者総合支援法』が制定されました。
従来の対象者は、難病のかたなどにも拡大され、また、【障害区分程度】は【障害支援程度】
にあらためられています。
費用面でも、自己負担は原則として、応能負担になり、低所得のかたがたへの施策もいっそう
充実されています。 フレッシュな視線で、見直しを頑張った・・・と言えますね。
さて、給付内容ですが、厚生労働省資料を御一緒に、見てまいりましょう。
実は、いろいろな条件が設けられていることに、気づかれるとおもいます。ここが、問題13の
【ひっかけポイント』だったのですね。
◆◆ 居宅介護
居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に
関する相談及び助言、その他の生活全般にわたる援助を行います。
【対象者】
障害程度区分が区分1以上(障害児にあってはこれに相当する心身の状態)である者
ただし、通院等介助(身体介護を伴う場合)を算定する場合にあっては、下記のいずれにも
該当する者
(1) 区分2以上に該当していること
(2) 障害程度区分の調査項目のうち、次に掲げる状態のいずれか一つ以上に認定されていること
「歩行」 「3 できない」
「移乗」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
「移動」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
「排尿」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
「排便」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
◆◆ 重度訪問介護
重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする方に、居宅において、入浴、排せつ及び食事等
の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般に
わたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行います。
【対象者】
重度の肢体不自由者であって常時介護を要する障害者
※平成26年4月から対象者を重度の知的障害者・精神障害者に拡大する予定
具体的には、障害程度区分が区分4以上であって、下記のいずれにも該当する者
(1) 二肢以上に麻痺等があること
(2) 障害程度区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも
「できる」以外と認定されていること
・・・・・・Dさんは、障害支援区分3ですから、設問2は、却下となるのですね。
◆◆ 同行援護
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に
同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護、排せつ及び食事等の介護その他の
当該障害者等が外出する際に必要な援助を適切かつ効果的に行います。
【対象者】
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等であって、同行援護アセスメント票に
おいて、移動障害の欄に係る点数が1点以上であり、かつ、移動障害以外の欄に係る点数の
いずれかが1点以上である者
ただし、身体介護を伴う場合を算定する場合にあっては、下記のいずれにも該当する者
(1) 区分2以上に該当していること
(2) 障害程度区分の調査項目のうち、次に掲げる状態のいずれか一つ以上に認定されている
こと
「歩行」 「3 できない」
「移乗」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
「移動」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
「排尿」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
「排便」 「2 見守り等」、「3 一部介助」又は「4 全介助」
◆◆ 行動援護
障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の
介護、排せつ及び食事等の介護、その他行動する際に必要な援助を行います。
【対象者】
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要する者で、
障害程度区分が区分3以上であり、障害程度区分の認定調査項目のうち行動関連項目(11項目)
等の合計点数が8点以上(障害児にあってはこれに相当する心身の状態)である者
◆◆ 療養介護
病院において機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、日常生活上の世話
その他必要な医療を要する障害者であって常時介護を要するものにつき、主として昼間において
病院において行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常
生活上の世話を行います。
また、療養介護のうち医療に係るものを療養介護医療として提供します。
【対象者】
病院等への長期の入院による医療的ケアに加え、常時の介護を必要とする障害者として次に
掲げる者
(1) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者等気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行って
いる者であって、障害程度区分が区分6の者
(2) 筋ジストロフィー患者又は重症心身障害者であって、障害程度区分が区分5以上の者
(3) 改正前の児童福祉法第43条に規定する重症心身障害児施設に入居した者又は改正前の
児童福祉法第7条第6項に規定する指定医療機関に入所した者であって、平成24年4月1日
以降指定療養介護事業所を利用する(1)及び(2)以外の者
・・・療養介護、行動援護、どちらも、Dさんには該当しませんね。よって、却下に。
◆◆ 生活介護
障害者支援施設その他の以下に掲げる便宜を適切に供与することができる施設において、入浴、
排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を要する
障害者であって、常時介護を要するものにつき、主として昼間において、入浴、排せつ及び
食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な
日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の
向上のために必要な援助を行います。
【対象者】
地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に
掲げる者
(1) 障害程度区分が区分3(障害者支援施設に入所する場合は区分4)以上である者
(2) 年齢が50歳以上の場合は、障害程度区分が区分2(障害者支援施設に入所する場合は
区分3)以上である者
(3) 生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせを希望する者であって、障害程度区分が
区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等
利用計画を作成する手続きを経た上で、利用の組み合わせが必要な場合に、市町村の判断で
認められた者
[1] 障害者自立支援法の施行時の身体・知的の旧法施設(通所施設も含む。)の利用者
(特定旧法受給者)
[2] 法施行後に旧法施設に入所し、継続して入所している者
[3] 平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害児施設(指定医療機関を含む)に入所して
いる者
[4] 新規の入所希望者(障害程度区分1以上の者)
◆◆ 短期入所(ショートステイ)
居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設
その他の以下に掲げる便宜を適切に行うことができる施設等への短期間の入所を必要とする
障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせ、入浴、排せつ及び食事その他の必要な
保護を行います。
【対象者】
※ 福祉型(障害者支援施設等において実施)
(1) 障害程度区分が区分1以上である障害者
(2) 障害児の障害の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する
障害児
※ 医療型(病院、診療所、介護老人保護施設において実施)
遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を
有する者及び重症心身障害児・者 等
・・・見つかりました! 正解は、【ショートステイ】でした。
◆◆ 重度障害者等包括支援
重度の障害者等に対し、居宅介護、同行援護、重度訪問介護、行動援護、生活介護、短期入所、
共同生活介護、自立訓練、就労移行支援及び就労継続支援を包括的に提供します。
【対象者】
常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障がある者のうち、四肢の
麻痺及び、寝たきりの状態にある者並びに知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を
有する者
具体的には、障害程度区分が区分6(障害児にあっては区分6に相当する心身の状態)に該当する
者のうち、意思疎通に著しい困難を有する者であって、以下のいずれかに該当する者
・・・重度障害者等包括支援も、、Dさんには、該当しませんので、却下いたします。
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