第30回介護福祉士試験問題 解答解説61-68 介護過程
第30回介護福祉士国家試験問題解答解説
介護過程
問題61
介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 疾病の診断資料として活用する。
2 職種間の専門性の違いを明確にする。
3 介護福祉職の業務負担を軽減する。
4 利用者の自己実現を支援する。
5 家族の希望や思いを代弁する。・
★★
解答 4
解説
⑦ 【介護課程】
さあ!!
午前の部、さいごの科目である、『介護過程』がスタートです。
旧カリキュラムが一新され、第24回本試験から、新カリキュラムに準拠した出題がなされる
こととなりました。
【介護課程】も、新しい科目の 1つなのですね。
1つの事例に対して、2つの問題が用意されたり、『短文形式の事例問題』が登場したりと、
現場での対応力・実践力を問うような、内容の問題が特徴とおもわれます。
ここでは、この科目の学習において、たいせつな基本となる、
【介護課程の展開における8つの基本視点】を忘れることなく、問題に取り組むことが
得点につながったのではないでしょうか。
※ 介護課程の展開における8つの基本視点とは・・・
① ICFの視点に基く利用者の把握
② 尊厳を守るケアの実践
③ 個別ケアの実践
④ 生活と人生の継続性の尊重
⑤ 生きがいや役割のある人生
⑥ 生活の私立支援
⑦ 多種職協働・連携
⑧ 根拠に基く介護実践と的確な記録
問題61
正解は、 4 といたします
介護課程とは、ひとことで申せば、問題解決アプローチ。
なんか、かっこいいですね。
利用者さんが望む、よりよい生活、よりよい人生を実現するという、介護の
目的を達成するために、利用者さんの課題(生活課題)を介護の立場から、
系統的に判別して、解決するための計画を立て、実践、評価するまでの、
一連のプロセスをいうのですね。
ここさえ押さえてあれば、皆さまの実力なら、あとは事例をじっくり解くだけ。
専門用語なんかに惑わされず、ここでも、しっかり追加点をあげたいところです。
★★
問題62
利用者のアセスメント(assessment)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者本人の希望に沿った情報を収集する。
2 家族のニーズを優先させながら情報を収集する。
3 介護福祉の知識を活用して情報を解釈する。
4 生活課題を明確にした後で情報を関連づける。
5 利用者の情報を整理した後で要望を聞く。
★★
解答 5
解説
問題62
正解は、5 といたします
ここは、どなたも、貴重な追加点を、あげていただけたとおもいます。
アセスメントとは、
介護の必要性を総合的に判断するために、利用者さんについて、『情報収集』、
『情報の解釈・関連付け・統合化』、『課題の明確化』を行なうこととされます。
現場では、『課題分析』とすることも、多いかもしれないですね。
★★
問題63
介護計画の立案に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 以前の介護計画は考慮せずに立案する。
2 現実的で実践可能な内容にする。
3 介護福祉職の望む利用者像を目指す。
4 本人や家族の希望と乖離してもよい。
5 安全性よりも効果を優先する。
★★
解答 2
解説
問題63
正解は、 2 といたします
介護計画の目標設定では、
利用者さんの自己実現を目指すものであること、利用者さんが、
取り組むことができるものであることがあげられます。
生活における、目標の設定では、
利用者さん、みずからが、御自身の望む生活に向けて、一定期間に実現できる
ことを段階的にすすめてゆきます。
★★
問題64
介護記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 事実はありのままに記録する。
2 鉛筆で記録する。
3 数日後に記録する。
4 介護福祉職の感情を記録する。
5 他職種との関わりを除外して記録する。
★★
解答 1
解説
問題64
正解は、 1 といたします
解説不要ですね!!
設問2から4に、に、おもわず笑ってしまった受験生さん、多数かも。
さて、ここで皆さまに、1つ、質問がございます。
問題や、設問の文章を御読みになる際に、どのようにされていますか??
① ゆっくり、線などは引かずふつうに、読みすすめるのみ
② 気になる箇所に、波線を引いたり、囲んだりして、読みすすめる。
③ 『斜線』で文節ごとに、区切りながら、読みすすめる。
できれば、③の、斜線で区切りながら・・・が、おすすめです。
下記のように、 よく似ている表現がつづいた場合などに、読み間違いを防ぐ
ことにも有効だからですね。
(例題)
アセスメント(ASSESSMENT)に関する次の記述のうち,適切なものを 1つ
選びなさい。
◆ 今/できている/活動の/分析は/しない。
◆ これからできそうな活動の予測はしない。
◆ 利用者が/嫌がる/ことは/検討/しない。
◆ 他職種からの情報は検討しない。
◆ 1つの/情報/だけで/検討/しない。
斜線有りのほうが、斜線無しよりも、文章により、集中できて、勘違い率が下がり
そうとおもわれませんか??
読み間違いのケアレスミスが多いかも?? な受験生さん、よろしかったら、1度
お試しになってみて下さいね。
★★
問題65
介護過程の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護計画の内容に対する介護福祉職の満足度を評価する。
2 支援の実施状況に関する情報を整理して、評価する。
3 複数ある短期目標は集約して評価する。
4 実施後に評価基準を定めて評価する。
5 家族が多角的な視点から評価する。
★★
解答 2
解説
問題65
正解は、2 といたします
設定した目標については、
利用者さんが達成できたかどうかという視点から、、介護職員が検討します。
ここでも、追加点をあげていただけたとおもいます。
★★
問題66
Eさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。廊下を頻繁に歩き、他の利用者の部屋に入ってはトラブルになりかけている。介護福祉職が声をかけると、「私には行くところがある」と怒鳴る。Eさんのアセスメント(assessment)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 怒鳴られた介護福祉職の気持ちを情報として活用する。
2 「廊下を頻繁に歩かないごと」を生活課題に設定する。
3 他の利用者とトラブルになりかけている情報は不要と判断する。
4 「私には行くところがある」という言葉を解釈する。
5 言動から短気な性格だと考えて分析する。
★★
解答 4
解説
問題66
正解は、 4 といたします
アセスメントに関する、事例問題の登場です。
認知症である、Eさん。
廊下を頻繁に歩き、
他の利用者の部屋の部屋に入っては、トラブルになりかけています。
『私には行くところがある』と、声をかけた介護福祉職に怒鳴ります。
設問4が、ビンゴですね。
アセスメントの基本的な視点として、以下があげられます。
① 生命の安全性
健康状態が悪化するような点はないか?
② 生活の安定
日常生活の自立、継続ができていない点はないか?
③ 人生の豊かさ
その人らしく生活できていない点はないか?
★★
問題67
Fさん(75歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementiaoftheAlzheimer’stype)である。家族の介護負担が増加して、3日前から介護老人保健施設に入所している。入所前から、トイレに間に合わずに尿失禁をしてしまうことがあるため、昼夜、リハビリパンツを使用している。歩行は自立している。夜間、トイレに起きているが、その後、眠っていることが確認されている。
Fさんの尿失禁の改善を目標に収集する情報として、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
1 介護負担となっている家族背景
2 施設生活に対する不安
3 夜間の中途覚醒状況
4 トイレに行く時間帯
5 歩行に必要な下肢筋力
★★
解答 4
解説
問題67
正解は、 4 といたします
Fさんの、尿失禁の改善を目標とした、情報収集ですから・・・
設問1は、却下に。
設問2も、ここでは不適切として却下に。
設問5も、歩行は自立していることから、却下に。
失禁してしまう時間帯が、入所後は、つかめていないのですね。
よって、設問3も、ここでは却下いたします。
ぜつみょう。
ひっかけですね。
★★
問題68
Gさん(66歳、女性)は.1年前に脳梗塞(cerebralinfarction)を発症して片麻痺になった。在宅復帰を目指し、介護老人保健施設に入所して、「家に帰れるように頑張らなくちや」と熱心に立位訓練に取り組んでいた。しかし、同居していた孫が3日前に訪れてから、「体調が悪い」と言って、閉じこもり、食事は半分も食べなくなった。傾聴ボランティアがGさんの居室を訪れると、「訓練しても帰るところがない」と泣いて話したという。
Gさんに対する介護福祉歌の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食事量を評価して、栄養指導を行う。
2 立位訓練を評価して、回復状況を把握する。
3 家族と調整して、退所後の住まいを整える。
4 サービス担当者会議に孫を招集する。
5 傾聴ボランティアの情報を基に、本人の生活ニーズを確認する。
★★
解答 5
解説
★★
問題68
正解は、5 といたします
事例問題とわかっていても、なんだか胸が詰まりますが・・・
『午前の部』、ラストの問題です。
ていねいに、1点、追加点をあげましょう!!
ここは、落ち着いて、消去法でのぞみたいところですね。
設問1は、もちろん、秒殺。
設問2も、速攻で却下に。
設問3も、論外ですね。
設問4も、不適切です。
いま、Fさんに関する、たいせつな情報を握るのは、傾聴ボランティアの
かたです。
ボランティアさんから、まずは、おはなしを聴かねばなりませんよね。
傾聴ボランティアからの情報を基に、本人の生活ニーズを確認する。
設問5を、正解といたしました。
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皆さま、たいへん、御疲れ様でした!! これにて、『午前の部』が、終了となります。
ここで、介護福祉士国家試験の【合格率】について、すこしだけ御紹介してみましょう。
介護福祉士国家試験は、1989年より、第1回が実施されました。
2015年までに、なんと、27回行なわれてきたのですね。
受験者数は、新カリキュラムとなった、第24回では、14万人を下まわりましたが、
第26回、第27回では、ジャンプアップ!!
ふたたび、15万人を超えたそうです。
ちなみに、
15万人って、東京都東村山市の人口とおなじくらい!! なんですね。 すごい!
気になる合格率は、新カリキュラムにかわるまでは、50パーセントで推移。
第24回では、63・9 パーセント。
第25回では、64・4 パーセント。
第27回では、61・0 パーセント。
そして、昨年の第29回では、72・1 パーセントと 発表されています。
ううむ。
素晴らしいですね。
こんなに、難しい、試験内容なのに。
皆さま、御一人、御一人の、日々の頑張りや、御努力が、伝わる数字ですね。
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