第31回介護福祉士試験問題 解答解説 問題1-2 人間の尊厳と自立
午前問題
第31回介護福祉士国家試験問題1-2
人間の尊厳と自立
第31回介護福祉士国家試験問題無料解答解説
ごあいさつ
皆さま、『第31回 介護福祉士国家試験』本当に、本当に、本当に、御疲れ様でした!!
御仕事と両立しての受験のかた、直前まで御家庭の用事に追われ、睡眠不足の日々と闘い
ながらの受験のかた、どなたも本当に大変だったこととおもいます。
さまざまなご事情で御仕事から、ひととき離れての受験のかたもおいででしょう。御体調と
相談しながら、学習を続けたかた、御家族の介護を続けながらのかたも多くおられることと
存じます。皆さまの日々の御努力が、大きく、大きく、実を結びますように!!!
御住まいの地域によっては、突然の大きな地震に、昨夜は学習どころではなかった・・・
そんな受験生さんも、たくさんおいででしょう。
大雪・強風などで、会場までの道のりも、御苦労があったこととおもいます。
本当に、御疲れ様でした。無事に帰宅され、すこし御疲れが和らぎましたなら、当サイト
『解答速報・プチ解説』にも、ぜひ御目通しくださいね。
皆さまの、ナイスファイトに敬意を表しつつ、難しかった問題、気になる問題などなど、
御一緒に、ゆっくりと振り返らせていただければ幸いです。
後に続く後輩受験生さんのために、ぜひ、『解答番号』および『難易度アンケート』にも
御協力くださいますよう御願い申し上げます。
それでは、つたない文章でございますが、皆さまどうぞ宜しく御付き合い下さいませ。
★【問題1】
<領域:人間と社会>
[人間の尊厳と自立]
Aさん(82歳、女性、要介護2)は、夫を7年前に看取り、その後は一人
暮らしをしている。夜中にトイレに行った時に転倒し、大腿骨頸部を骨折(fracture)
して3か月入院した。自宅に手すりをつけ、段差をなくす住宅改修をした後、退院
した。何かにつかまれば、いすからの立ち上がりや歩行ができる。人と関わるのは
苦手なため自宅での生活が中心である。遠方に一人息子が住んでおり、月に1度は
様子を見に帰ってくる。週3回、訪問介護(ホームヘルプサービス)の買物代行や部
屋の掃除などの生活援助を利用している。Aさんはできるだけ自分のことは自分で
行い、このまま自宅での生活を維持したいと希望している。訪問介護員(ホームヘ
ルパー)が訪問したときに、Aさんは一人暮らしを続けることが不安であると告げた。
Aさんに対する訪問介護員(ホームヘルパー)の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「訪問介護(ホームサービス)を毎日利用したらどうですか」
2 「一人暮らしは大変なので息子さんと同居したらどうですか」
3 「また転ぶかもしれないと思っているのですか」
4 「グループホームに入居することを考えたらどうですか」
5 「手すりをつけたし、段差もなくしたので転びませんよ」
問題1★★★解答 3
解説
第31回 介護福祉士国家試験の、『第1問目』は!!
利用者さんへの、訪問介護職員としての、ふさわしい対応を問うものでした。
過去問題から、どなたも、この出題パターンには慣れておられると
おもいますので、余裕で先制点を挙げてくださったのではないでしょうか。
できるだけ、自分のことは自分で行い・・・ そう願う、Aさんですが、
転倒、骨折の体験を経ていますので、自宅での生活の継続に、不安があっても、当然ですよね。
転倒に対する、恐怖があって当然ですよね。
まずは。
転倒の恐怖や、在宅生活継続への不安を、そのまま、受け止めることが、望ましい
でしょう。
★【問題2】
問題2
「夜と霧」や「死と愛」の著作があるフランクル(Frankl,V)が提唱した価値の説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 公民権運動により差別を解消すること。
2 生命が制限される状況において、いかなる態度をとるかということ。
3 最低生活水準を保障すること。
4 ライフサイクル(life cycle)を通じたノーマルな発達的経験をすること。
5 アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃すること。
問題2★★★解答 2
解説
もんだい2 正解は、2とします。
ヴィクトール・エミール・フランクル(1905年3月26日から1997年9月2日)は、
オーストリアの精神科医、心理学者ですね。
著作は多数あり日本語訳も多く重版されており、特に、ナチス収容所での体験を
描いた『夜と霧』で知られています。
御読みになったことがある受験生さんも、多いのではないでしょうか?
さて、このフランクル氏は、
人間が実現できる『価値』は、創造価値、体験価値、態度価値の、3つに分類される・・・と
唱えています。
創造価値とは、人間が行動したり何かを作ったりすることで実現される価値です。
仕事をしたり、芸術作品を創作したりすることがこれに当たる。
体験価値とは、人間が何かを体験することで実現される価値です。
芸術を鑑賞したり、自然の美しさを体験したり、あるいは人を愛したり
することでこの価値は実現される。
態度価値とは、人間が運命を受け止める態度によって実現される価値です。
病や貧困やその他様々な苦痛の前で活動の自由(創造価値)を奪われ、
楽しみ(体験価値)が奪われたとしても、その運命を受け止める態度を決める
自由が人間に残されている。
フランクル氏は、アウシュビッツという極限の状況の中にあっても、人間らしい尊厳のある
態度を取り続けた人がいたことを、自ら体験されています。
態度価値について、学習されたみなさまが、『夜と霧』を再読なさると、感想もかわってくるかも
しれないですね。