第29回介護福祉士国家試験問題解説 問題42

第29回介護福祉士国家試験問題解説

問題42
実行機能障害のある利用者への更衣の介護として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 季節に合う衣類を介護福祉職が選ぶ。

2 利用者の好みよりも機能性を重視する。

3 必要な衣類をまとめて渡す。

4 隣で,洋服を着る動作を示す。

5 着る順番を紙に書いて渡す。

◆解答解説

問題42

正解は、4と、します。

解答速報でも、各社、正解番号が分かれた問題42。

まずは、『実行機能障害』のおさらいです。

実行機能とは、「目的をもった、一連の行動を自立して有効に成し遂げるために必要な
機能」と定義されています。

簡単に申せば、【行動するための段取りが取れない、行動の順番がわからないため、実行
出来ないこと】となります。

実行機能障害は、いろいろな認知機能障害が関連して起きるものとされ、記憶障害や失語、
失認、失行、判断力の低下などが複雑に絡み合っています。認知症の進行とともに、
実行機能障害も進行していきます。

このため、日常生活に大きな支障を来たすことになります。

お味噌汁を作ろうと、お湯をわかしたけれど、次に何をすればようかが、わからなくなるの
ですね。

トイレに行ったけれど、便器へのしゃがみかた、腰かけかたなどが、わからないことも
あります。

実行機能障害が出現してくると、行動の手順や段取りを組み立てることができなくなります。
自分で何をしていいのかわからず、行動がちぐはぐになり、途中で混乱してしまうことがも
増えることでしょう。

けれど、手や足が御不自由なわけではありませんので、適切な支援があれば、御自身での
更衣が可能な部分も、多くあるとおもわれます。 

できることは、どこでしょう? できることは、なにでしょう? 
反対に、支援が必要なことは、どこでしょう・?  なにでしょう??  1つ1つ、丁寧に
みてゆくことが大切ですね。

では、このような状態にある人の更衣を介助する場合、どのような支援が適切なので
しょう??

御本人の詳しい状況(年齢、性別、普段着ている洋服、どの程度まで、御自身で更衣が
可能なのかなど)が問題の文章からは読み取れません。

このことから、5つの設問のなかで、いちばん原則的なものを選ぶとしたら・・・

実行機能障害のある人への対応の原則の1つ、それは、利用者さんの状況に応じつつ、
『つぎに、していただきたいことを言葉や、しぐさなどで、介護者が、わかりやすく
笑顔で示して、うながす』こと。

1度にぜんぶを伝えようとせず、1つ終了したら、次にすすむのがBEST。

もし、御本人がわからなくなっていても、このことで、下着に腕を通したり、セーターを
かぶったりという行為を、思い出す支援が可能ですよね。

そケアに関わる人が、そばで一緒に見守っていてくれれば、安心感も増します。

ゆっくり、一緒に、楽しく、更衣ができれば、御本人の達成感も大きく、自信にもつながり
ますよね。

着る順番を書いたメモ紙をもらうだけでは、途中でわからなくなった場合に、途方に暮れて
しまう。あるいは、更衣そのものをやめてしまう可能性も、大きいのでは??と考えます。

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