第31回介護福祉士試験問題 解答解説 問題69-76 発達と老化の理解

午後問題

第31回介護福祉士国家試験問題69-76

発達と老化の理解

第31回介護福祉士国家試験問題無料解答解説

ここからは、『午後の部』の、ぷち解説となります。

みなさま、あらためまして、第31回 介護福祉士国家試験 御疲れ様でした。

前日の大きな地震や、大雪による交通機関・移動手段の変更などなど、

試験に集中することがむずかしかった受験生さんも、おおぜいおられた

こととおもいます。

どうぞ、頑張った御自身をじゅうぶんに、ねぎらってさしあげてくださいね。

どうぞ、こころも、からだも、ゆっくりとすごす時間をつくってくださいね。

どなたもきっと、すでに御忙しい毎日に戻られておられることでしょう。

御疲れがすこし和らぎましたなら、ささやかな解説ですが、答え合わせなどの

参考資料として、こちらのサイトにも御立ちよりいただければ幸いです。

★【問題69】

乳幼児の標準的な心身の発達に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1 生後3か月頃、指を使って積み木がつかめるようになる。

2 生後6か月頃、つかまり立ちができるようになる。

3 1歳頃、喃語(なんご)が現れ始める。

4 2歳頃、二語文を話すようになる。

5 3歳頃、愛着(アタッチメント(attachment))が形成され始める。

 

 

 

 

問題69★★★解答4

解説

生後、2ヶ月から、3ヶ月くらいの赤ちゃんが、機嫌の良いときに、『アー』とか、

『ウー』などの声を出すことを、クーイングといいます。

泣き声とか、さけび声とは、ちがうものとして、声を発しているのですね。

これは、成長により、くちや、のどの、かたちがかわってきているから。

ここで注目すべきは、

どちらも、舌をつかわずに発音する、母音であること。

ことばの発達のスタートは、母音からなのですね。

さらに、4ヶ月くらになると、クーイングをつなげたような、『アーアー』とか、

『ウーウー』という声もだせるようになってきます。

これが、いわゆる、『喃語』 ですね。

5ヶ月くらいになると、『ダ』とか、『パ』といった声も出し始めます。

でも、まだ、ことばには、聞き取れないですよね。

しかし! さらなる進化をとげた、赤ちゃんは!!

1歳ごろになると、(7ヶ月くらいからの場合も多いとされてます)、

いよいよ、『マンマン』とか、『ダーダー』などといった、じぶんの好きな喃語を

繰り返し喋るようになるそうです。

そして!

そして!

いよいよ、二文語を話し始めるのが、2歳ごろとされます。

『りんご・ちょおだい』 とか、『わんわん・きた』、『ぱぱ・だっこ』などと

いった、なんとも可愛いことばは、ずっと聴いていたくなりますね。

ちなみに。

2歳で2文語、3歳で3文語を、めやすにすることが多いそうですが、これは、

ほんとうに、あくまで、あくまで、あくまで、『めやす』。

2歳をすぎたころに、

ある日、堰を切ったように、おしゃべりをはじめるこどもたちも、いっぱい

いるのだそうです。

★【問題70】

高齢者に対する次の見方のうち、エイジズム(ageism)に該当するものを1つ選びなさい。

1 心身機能の個人差が大きくなる。

2 視覚機能が低下する。

3 流動性知能が低下する。

4 認知機能が低下する。

5 頑固な性格になる。

 

 

 

 

 

問題70★★★解答5

解説

『エイジング』と、読み間違えちゃった受験生さん、おおぜいおられたかも

しれないですね。

ざんねんながら、『エイジズム』とは、われわれが目指すものとは、逆のもの。

エイジズムとは、

年齢差別、特に高齢者に対する偏見と差別をいう。高齢者を、役に立たない無用なもの、

あるいは能力の劣ったものといった否定的なステレオタイプでとらえ、差別すること。

セクシズム(性差別)、レイシズム(人種差別)と並ぶ、主要な差別問題のひとつと

されます。

★【問題71】

加齢に伴う身体機能の変化として、適切なものを1つ選びなさい。

1 周辺視野が広くなる。

2 低周波の音から聞こえにくくなる。

3 味覚の感受性が低下する。

4 振動に敏感になる。

5 嗅覚が敏感になる。

 

 

 

 

問題71★★★解答3

解説

加齢による味覚の変化は、

一般的には、濃い味からあっさり味へと変わる、と思われているのではないでしょうか?

ところがその反対に、中高年になって、濃い味を好むようになる人も少なくありません。

なぜ、そんなことが起こるのでしょうか?

私たちが感じる味覚には、大きくわけると甘味・酸味・苦味、塩味の、4種類があります。

これらの味を、私たちは舌にある味蕾(みらい)というセンサーで感じています。

中高年になるにつれ、味蕾の細胞が減少したり、感度がにぶくなったりすると、

少しずつ味がわかりにくくなります。

個人差はありますが、4つの味覚のなかで、最も感度の低下を自覚しやすいのは

『塩あじ』なのだそう。

加齢とともに、いつもの味付けが、無意識のうちに、濃くなってしまう・・・

なるほど、なっとくですね。

さて、つづいて話題は御高齢のかたの、『きこえ』について。

加齢にともなう難聴の特徴は??と、たずねられたら、どなたもきっと、

高音性難聴!!と、おこたえになるとおもいます。

加齢にともない、高い周波数の音から、聴こえにくくなってくるのですね。

電話の呼び出し音や、体温計などのアラームの音などが、聴こえにくくなるとされ、

全体的にくぐもって、はっきりしないかんじに聴こえるのだそうです。

★【問題72】

尿失禁に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 認知症(dementia)で尿を漏らすのを、腹圧性尿失禁という。

2 トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という。

3 重い物を持った時に尿を漏らすのを、混合性尿失禁という。

4 いろいろな原因が重なって尿を漏らすのを、溢流性尿失禁という。

5 前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)で尿を漏らすのを、機能性尿失禁という。

 

 

 

 

問題72★★★解答2

解説

失禁とひとくちに申しても、その原因や、メカ二ズムは実にさまざま。

複数の要素がかさなることだって、起こり得ますよね。

日本泌尿器学会 ホームページより、一部抜粋して御紹介してみましょう。

◆ 腹圧性尿失禁とは

重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、

お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿失禁です。

女性の尿失禁の中で最も多く、週1回以上経験している女性は500万人以上といわれて

います。

これは骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や

出産を契機に出現したりします。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を

傷める原因になるといわれています。

◆  切迫性尿失禁とは

急に排尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。

トイレが近くなったり、トイレにかけ込むようなことが起きたりしますので、外出中や

乗り物に乗っている時などに大変に困ります。

本来は脳からの指令で排尿はコントロールされていますが、脳血管障害などによりその

コントロールがうまくいかなくなった時など原因が明らかなこともあります。

しかし多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性

尿失禁をきたしてしまいます。

男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も、切迫性尿失禁の原因に

なります。

★【問題73】

Aさん(95歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所して6かガ
になる。入所間もない頃は、「買物に行きたい」「友達に会いに行きたい」と、いろい
ろ介護福祉職に要望したが、それらの要望には応えてもらえなかった。現在Aさん
は、認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められない。しかし、
ほとんどの時間をベッドで過ごしていて、「どこか行きたいところはないですか」と
介護福祉職が聞いても、「ない」と答えるだけである。
Aさんの現在の状態を説明するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 学習性無力感

2 反動形成

3 統合失調症(schizophrenia)の陰性症状

4 せん妄(delirium)

5 パーソナリティの変化

 

 

 

 

問題73★★★解答1

解説

なんとも。

せつない。

けーすせっていです。

学習性無力感とは・・・

米国の心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表した概念で、抵抗することも

回避することも困難なストレスに、長期間さらされ続けると、そうした不快な状況下から

逃れようとする、自発的な行動すら起こらなくなる現象をいいます。

★【問題74】

高齢者の疾患と治療に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 複数の慢性疾患を持つことは、まれである。

2 服用する薬剤の種類は、若年者より少ない。

3 服用する薬剤の種類が増えると、薬の副作用は出にくくなる。

4 高血圧症(hypertension)の治療目標は、若年者と同じにする。

5 薬剤の効果が強く出ることがある。

 

 

 

 

問題74★★★解答5

解説

加齢にともない、自分では気づかなくても、肝臓や、腎臓といった、お薬に

かかわる臓器の機能にも、変化がおきることがあります。

肝臓の血流量は減少し、腎臓の排泄機能も低下する・・・といった変化

ですね。

これにより、

お薬の分解に時間がかかってしまううえ、

さらに、

排泄まで長く、からだの中に薬剤がとどまることから、

お薬の作用が、想定よりも、強くですぎてしまうことがあるのですね。

★【問題75】

高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1 1日に1回、排便がない状態をいう。

2 病気が原因となることは、まれである。

3 腹筋の筋力低下は、原因となる。

4 薬剤が原因となることは、まれである。

5 下剤の服用を優先する。

 

 

 

 

問題75★★★解答3

解説

ここはどなたも、しっかり追加点をあげてくださったとおもいます。

★【問題76】

Bさん(68歳、女性)は、 3か月前から、自宅の階段を昇り降りするとき

に、両膝の痛みが強くなってきた。整形外科を受診したところ、変形性膝関節症

(knee osteo arthritis)と診断された。Bさんの身長は153 cm、 体重は75 kg である。

Bさんの日常生活の留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 歩行を控える。

2 正座で座る。

3 膝を冷やす。

4 体重を減らす。

5 杖は使わない。

 

 

 

 

問題76★★★解答4

解説

175センチで、 53キログラムかと 読み間違えた・・・

そんな受験生さんが、おられませんか??

試験って、おもいがけないところで緊張するもの。

みじかい設問の文章であっても、斜線で区切りながら読むなど、

御自身にフィットした、ケアレスミス予防策を、ぜひ!!

さて、Bさんです。

ここはやはり。

主治医の医学的管理下で、適正体重へのただしいコントロールがふさわしいと

かんがえられますね。

BMIの算出方法は、【 体重 ÷ 身長 ÷ 身長 】

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