第19回精神保健福祉士国家試験問題54

第19回介護福祉士国家試験問題解説

次の事例を読んで,問題52から問題54までについて答えなさい。
 
〔事 例〕
 
Lさん(62歳,男性)は幼い頃に両親を亡くし, 20歳代前半で統合失調症を発症し
た。精神科病院の入院を何度か経てQ市のY救護施設に入所してから,既に20年が
経過している。Lさんは目立った症状もなく,施設の日課に沿って生活し,料理プロ
グラムでは手際の良さを見せた。一方,プログラムとして食材の購入に出かけた際に,
購入リストにある食材が見つからなくても店員に尋ねることができないことが目立っ
た。また,プログラム以外では自室で好きな音楽を聴いて過ごすことが多く,他の利
用者との交流はほとんどなかった。Y救護施設のM生活指導員(精神保健福祉士)は,
Lさんには地域で暮らす力があると思い,面接を重ねた。そして,Lさんが面接に慣
れてきた時点で,今後の希望や地域で暮らすことについて投げかけてみた。しかし,
Lさんは,「施設を出て生活するなんて考えたこともない」「外の人はみんな冷たい」
「特にしたいこともない」と言うばかりだった。(問題52)
 
ある日,M生活指導員は,長期入院を経てアパートで暮らすピアサポーターを施設
に招き入所者との懇談会を開催した。懇談会に参加したLさんは,ピアサポーターの
話を真剣な面持ちで聞き入っていた。(問題53)
 
その後. Lさんは漠然と地域で暮らしたいと思うようになり,面接でその思いを表
現するようになった。そこで, M生活指導員はLさんの思いを実現するために,Y救
護施設が確保したアパートの空き室での宿泊体験を提案した。宿泊体験の結果,Lさ
んは買物やゴミ出しがうまくできないこと,お金を計画的に使うのが難しいこと,日
常の小さな困りごとを相談できる人がそばにいないと不安を感じることが分かった。
 
M生活指導員は,Lさんが施設を退所し,地域での生活に必要な支援体制を整える
べく,関係者に呼びかけてケア会議を開催した。(問題54)

 

 

問題54
次の記述のうち, M生活指導員がケア会議で出席者に提案した現時点での支援計画として,適切なものを2つ選びなさい。

1 居宅介護事業者が,家事に関わる援助を行う。

2 基幹相談支援センターが,成年後見制度利用支援事業を開始する。

3 相談支援事業者が,身近な日常生活の相談を担う。

4 就労移行支援事業者が,就労に向けた訓練を行う。

5 生活保護の担当者が,住宅入居等支援事業を開始する。

◆解答解説

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