第19回精神保健福祉士国家試験問題16
第19回介護福祉士国家試験問題解説
問題16
精神作用物質の乱用対策及び援助に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 ハーム・リダクションとは,刑務所での服役の代わりに,裁判所の監督下で治療施設に通所させる処遇システムである。
2 危険ドラッグとは,麻薬及び向精神薬取締法に基づいて厚生労働省が指定し,その販売が規制される薬物を指す。
3 AA(アルコホーリクス・アノニマス)とは,アルコール依存症を抱えた人が治療のために入所する民間リハビリテーション施設のことである。
4 ブリーフ・インターペンションとは,多量飲酒などの問題飲酒者の飲酒量を減らすことを支援する方法の一つである。
5 CAGE(ゲージ)とは, 10項目から構成される,問題飲酒の早期発見を目的としたスクリーニングテストである。
◆解答解説
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問題16
正解は、4と、いたしました。
【危険な飲酒や、有害な飲酒に対するスクリーニング、および、ブリーフインター
ベンション】は、WHOが、2011年に採択した、『アルコールの有害な使用を低減
するための世界戦力』において、推奨されています。
一部その内容を、御紹介してみますと・・・
減酒支援(ブリーフインターベンション)のポイントとして以下があげられます。
○「何らかの形で始める」ことが重要です。評価のための聞き取りだけでも、酒量が減る
ことが多くみられますので、支援内容の細部にこだわり過ぎず、とにかく始めてみましょう。
○共感することが重要です。飲酒習慣を変えることの困難さ、背景にあるかもしれない
日常生活における苦労を受け止めて共感する姿勢を示すと、介入効果も高まります。
○減酒目標は達成可能なものにし、押しつけることなく対象者が自ら設定することを支援
しましょう。
○1回目の支援を行ってから2回目の支援(フォローアップ支援)を行うまでの期間は、
2~4週間程度としましょう。ただ、これはあくまで目安ですので、保健指導の流れに合わせて
柔軟に対応していただくことが可能です。また、基本は2回ですが、必要に応じて3回、4回と
続けます。
○フォローアップ時に飲酒量が減っていなくとも、再度チャレンジしてみるよう促しましょう。
目標が高すぎると思われた場合には、フォローアップ支援時に目標を見直すことも可能です。
○このような簡単な支援によって酒量は減り、その効果は比較的長く続くことが多くの研究に
よって示されています。しかし、アルコール依存症である対象者にこの減酒支援を実施した場合は
この効果はあまり期待できません。
この点も踏まえ、飲酒量の多い対象者であって、支援を開始して4~6週間たっても酒量が減ら
ないか、むしろ増えた場合には、可能なら精神保健福祉センター等と連携して専門医療機関での
治療につなげるようにしましょう。