第21回精神保健福祉士国家試験問題解説 専門科目 精神保健福祉の理論と相談援助の展開(問題36-問題60)

第21回精神保健福祉士国家試験問題解説 

専門科目 精神保健福祉の理論と相談援助の展開  (問題36-問題60)

 

★【問題36】

次のうち、障害者福祉に関する法律の内容として、正しいものを1つ選びなさい。

1 障害者の雇用の促進等に関する法律では、事業主に精神障害者雇用を義務づけている。

2 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律では、知的障害者福祉施策も包含している。

3 「障害者総合支援法」では、対象としている障害者は1 8歳以上の者である。

4 「障害者虐待防止法」では、社会的障壁による権利侵害の防止を目的としている。

5 「障害者差別解消法」では、民間企業に社会的障壁の除去の実施についての合理的配慮を義務づけている。

(注)1 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
2 「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
3 「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

 

 

 

 

 

問題36★★★解答3

解説

精査中です。

いましばらくの、御時間の猶予を・・・

★【問題37】

問題37
次の記述のうち、精神科病院の退院後生活環境相談員(精神保健福祉士)の業務として、適切なものを2つ選びなさい。

1 本人が退院を希望してから、ピアサポーターと交流できる機会を設ける。

2 退院に向けた意欲の喚起や相談支援を行う。

3 退院日が決まった段階で、地域援助事業者に支援を依頼する。

4 地域相談支援の利用に当たり、地域移行支援計画を作成する。

5 地域生活のための、クライシスプランを検討する。

 

 

 

 

 

問題37★★★解答25

解説

平成25年の精神保健福祉法改正により、精神科病院の管理者に以下の事項を

義務付けています。

【医療保護入院者の退院】に向けた相談支援や、地域援助事業者等の紹介、

円滑な地域生活への移行のための、院後の居住の場の確保等の調整等の業務を

行う『退院後生活環境相談員』を、精神保健福祉士等から選任しなければ

ならない。

患者さんは、退院後の生活を思い描き、期待と、不安の入り混じった

御気持ちのことでしょう。

順調に退院後の日常生活がスタートしても、、体調の波に困惑することが、

あるかもしれません。

【クライシスプラン】とは、

このような、病状が悪化した場合の、対処方針を意味します。

御本人にとって、危機的状況(クライシス)をささえるためのプラン

ですから、

退院後にあわてるのではなく、あらかじめ、医療機関とも連携して、

本人との話し合いなどで原案の作成、関係者における協議がのぞまれ

ます。

★【問題38】

問題38
次のうち、「平成26年患者調査」(厚生労働省)において、平成11年の同訓査と比較して、その推計患者数が減少しているものとして、正
しいものを1つ選びなさい。

1 精神病床の入院患者

2 うつ病の入院患者

3 統合失調症の外来患者

4 アルコール依存症の外来患者

5 精神疾患の総患者

 

 

 

 

 

問題38★★★解答1

解説

精査中です。

いましばらく、御時間の猶予を・・・。

★【問題39】

問題39
次の記述のうち、ソーシャルワークにおける権利擁護の中の代弁機能に当たるものとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 風呂に入っておらず衛生の保持ができていない子どもがいたため、保護者面談で状況を把握した。

2 購入した商品の不満をうまく伝えられない通院患者から依頼を受けて、消費生活センターに同行した。

3 精神科の入院患者に対し、精神医療審査会の役割と利用の仕方について学習会を開催した。

4 被災者に対する医療費減免に関する制度の存続を求めて、関係自治体に対し話合いを求めた。

5 金銭管理に困難のある精神障害者の家族に対し、日常生活自立支援事業とその窓口を伝えた。

 

 

 

 

 

問題39★★★解答2

解説

権利擁護のなかの、代弁機能・・・

もんだい28でも、登場した、『アドボカシー』ですね。

どなたも、貴重な追加点をあげてくださったと思います。

★【問題40】

次の記述のうち、精神科リハビリテーションにおけるチームアプローチで構成員に求められるものとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 それぞれの視点でモニタリングを行い、その結果を共有する。

2 意見が対立した場合は、外部の専門家に決定を委ねる。

3 インフォーマルな関係形成を控える。

4 緊急事態が起きたときも、意見の一致を優先する。

5 それぞれがチームの目標を設定し、職種の専門性を発揮する。

 

 

 

 

 

 

問題40★★★解答1

解説『チームアプローチ』が、テーマですね。

ここは、落ち着いて消去法で、ひっかけを見破りたいところで

ありました。

★【問題41】

次の記述のうち、1994 年にWHO、ILO、UNESCOにより示された合同政策方針における「地域に根差したリハビリテーション(CBR)」の考え方
として、正しいものを1つ選びなさい。

1 ストレスー脆弱性一対処モデルを基盤とする。

2 合理的配慮が初めて定義された。

3 公的サービスを主軸に置く。

4 総合的な地域開発の戦略の一つである。

5 病気の再発防止を目的とする。

 

 

 

 

 

問題41★★★解答4

解説

『CBR』の定義として、以下があげられます。

CBRは、

障害をもつすべての子ども、および大人のリハビリテーション、機会均等化

および、社会統合に向けた、地域社会開発における戦略の一つである。

CBRは、障害のある人、家族、およびコミュニティ、並びに適切な

保健医療・教育・職業・社会サービスが一致協力することによって実施される。

(1994年合同政策方針、WHO、ILO、UNESCO)

★【問題42】

次のうち、相談援助のインテーク段階において、相談機関が対応可能かどうかを判断する方法として、適切なものを1つ選びなさい。

1 コーディネーション

2 エングージメント

3 スクリーニング

4 モニタリング

5 リファーラル

 

 

 

 

 

問題42★★★解答3

解説

スクリーニングとは、選抜・選別する・・・ という意味をもちます。

インテーク面接では、

相談者が求める支援・サービスなどを的確に把握したのち、援助者が属する機関

などにおいて、それらが提供可能であるか、否かを、伝えることになります。

行なえないのであれば、他の機関等への照会・紹介も必要ですよね。

★【問題43】

次の記述のうち、相談援助のプランニング段階の説明として、正しいものを1つ選びなさい。

1 援助終了後の変化を定期的に確認し、必要に応じて援助を再開する。

2 提供されているサービスの状況を確認しながら、課題達成度を把握する。

3 サービスの提供について、関係者が個々の役割を担い援助する。

4 ニーズを充足するための様々な社会資源を検討し、それらの活用を考える。

5 クライエントのニーズ充足度や効果を客観的に精査する。

 

 

 

 

 

問題43★★★解答4

解説

相談援助の、プランニング段階・・・

ということは。

まさに、支援の計画を作成中。

よっしゃあ。

消去法で、1点、追加ですね。

★【問題44】

地域活動支援センターに勤務するG精神保健福祉士は、利用者のHさんか
ら、次のような相談を受けた。Hさんは、「今のマンションに一人暮らしをする
ようになって半年経ったけれど、昨日、管理人さんから自転車を停める場所が
間違っていると注意を受けたんです。停める場所には、いつも注意しているので、
絶対に間違っていないと話したのですが、なかなか信じてもらえずに・・・。
もう一度確認してもらったら、管理人さんの勘違いだったんです。どうして疑われたのかな・・・。病気だからかな」と、涙ぐみながら話し
た。
G精神保健福祉士は、「半年も住んでいるのに悔しかったですよね」と返答した。
次のうち、G精神保健福祉士が行った面接の技法として、適切なものを1つ選びなさい。

1 要約

2 繰り返し

3 感情の反映

4 言い換え

5 支持

 

 

 

 

 

問題44★★★解答3

解説

相手の感情や、情動に気づき、それを、相手に伝える・・・

これが。

カウンセリングの技法の1つである、感情の反映ですね。

『共感』を高めることに、つながるとされます。

★【問題45】

次の記述のうち、グループワークの作業期における精神保健福祉士の関わりとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 メンバーのニーズを把握して計画を立てる。

2 グループ内でのルールをメンバーと決める。

3 個々のメンバーと波長合わせを行う。

4 グループ内に形成されたサブグループを活用する。

5 グループ目標の達成度をメンバーと評価する。

 

 

 

 

 

問題45★★★解答4

解説

グループワークにおいても、

開始期から、終結期までの、援助課程があります。

そのうちの1つが、『作業期』ですね。

作業期では、

グループ内の相互交流が活発になり、サブグループ同士での衝突、

あるいは、リーダーとなる援助者への反発などが見られるようになります。

★【問題46】

P市保健センターのJ精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)は、Kさん
(38歳、男性)から妻のことで電話相談を受けた。Kさんの妻は双極性障害で、精神科に通院している。
Kさんは単身赴任中で、妻はP市で小学3 年生の子どもと二人で暮らしている。最近、妻の症状が悪化して、
朝起きられず、そのために子どもは学校を休みがちであるという。そのことで、妻は自分を責めている。
Kさんは、妻と子どもが心配で毎日連絡は取っているが、仕事の都合で家に戻ることはできない。
「何か利用できるものはありませんか?」と尋ねるKさんにJ精神保健福祉相談員は、Kさんをねぎらった上で、
活用できる制度を念頭に置いて、妻宅に訪問することを伝えた。
次のうち、J精神保健福祉相談員が考えた、活用できる制度として、適切なものを1つ選びなさい。

1 児童発達支援

2 居宅介護

3 自立生活援助

4 短期入所

5 放課後等デイサービス

 

 

 

 

 

問題46★★★解答2

解説

自立生活援助とは、

居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題につき、定期的な巡回、

または随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、障がい者の状況を把握し、

必要な情報の提供および助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の自立した

日常生活を営むための環境整備に必要な援助を行う、障害福祉サービスです。

夫が単身赴任中のKさんは、利用可能なのでしょうか?

障害者支援施設、もしくは共同生活援助を行う住居等を利用していた

障がい者、または居宅において単身であるか、その家族と同居している

場合であっても、当該家族等が障害や疾病等のため居宅における自立した

日常生活を営む上での、各般の問題に対する支援が見込めない状況にある、

障がい者であって、上記の支援を要する者が対象となります。

Kさん、利用可能ですね。

★【問題47】

L精神保健福祉士は、精神科病院に勤務して3 年目に、デイケア担当から閉鎖病棟の担当となり、
退院後生活環境相談員も兼ねることになった。1か月後、L精神保健福祉士は、
「病棟での患者の様子を目の当たりにして、デイケアの利用者と違うので、
入院患者とどのように接していけばいいのか分からなくなった。
自分の専門性に自信がなくなった」と、上司のM精神保健福祉士に相談した。
次のうち、この場面でM精神保健福祉士に求められるスーパービジョンの内容として、適切なものを1つ選びなさい。

1 この状況に対する戸惑いは当然だと返す。

2 入院患者との面接場面のロールプレイを行う。

3 他職種の専門性を説明する。

4 退院支援委員会の開催場所や会議前に準備することを教える。

5 退院後生活環境相談員と担当看護師、主治医との関係を解説する。

 

 

 

 

 

問題47★★★解答2

解説

スーパービジョンは、対人援助職者(スーパーバイジー)が、

指導者(スーパーバイザー)から教育を受ける、『過程』をいいます。

指導者が、援助者と規則的に面接を行い、継続的な訓練を通じて

専門的スキルを向上させることを目的としているわけですね。

管理的機能、 教育的機能、 そして、支持的機能の

3つの機能をもつとされる、スーパービジョン。

みなさまの、職場では、どのように取り入れておられますか?

★【問題48】

精神保健福祉センターのA精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)のところ
へ、先乱市政だよりを読んでセンターのことを知ったというBさん(60歳,女
性)が訪問してきた。Bさんは、「仕事・も辞めて、パチンコばっかりする息子に困っている。
嫁と孫にも逃げられ、実家に転がり込んできた。やめろと言っても怒るばっかりだし、
無理やりパチンコ代をくれとせがまれるんです。いつまでこの子のことで
手を煩わせなければならないのか‥・。つらいです」と話した。
次のうち、この場面でA精神保健福祉相談員が紹介したBさん白身が利用できる
社会資源の情報として、適切なものを1つ選びなさい。

1 婦人保護施設

2 セルフヘルプグループ

3 生活福祉資金貸付制度

4 家庭裁判所

5 一時生活支援事業

 

 

 

 

 

問題48★★★解答2

解説

脳内の、特殊なたんぱく質が、原因の1つとの説もある、

ギャンブル依存症。

すでに、『やめたくても、やめられない』状態といえるため、

回復するには、適切な支援が必要となります。

家族療法や、認知行動療法などが有効とされ、また、一部の患者さんには、

自助組織である、ギャンブラー・アノ二マス(GA)も、有用とされています。

セルフセルプグループには、

御家族も参加できるものも、多くありますので、ともに回復にむけて、

すすめますね。

★【問題49

次の事例を読んで、問題4 9から問題5 1 までについて答えなさい。
〔事例〕

Cさん(5 0歳.女性)は精神科病院に入院している。Cさんは、専門学校在学中に
統合失調症を発症し、退院後に中退した。その後は就職をせずに実家で家事手伝いを
しながら、同居する姉夫婦の子どもの面倒を見ていた。両親は既に亡くなっている。
これまでCさんは何度か入退院を繰り返しており、今回の入院は3 年間となっている。
現在の症状は安定している。

Cさんの病棟に新たにD精神保健福祉士が配置された。D精神保健福祉士は、早速
Cさんと面接を行った。担当看護師からCさんは退院に否定的ではないと聞いていた
が、面接でCさんは退院したくないと言うばかりであった。

不思議に思ったD精神保健福祉士は、姉夫婦と面談したところ、来月には姉の長男
が結婚して同居することになっているとのことであった。そのことを外泊時にCさん
が知り、それから外泊もしなくなったという。姉夫婦も家族構成の変化や家が狭いことを考えると、
Cさんとの同居はできれば避けたいとの意向であった。翌日、D精神保健福祉士は病棟での
多職種チームによるカンファレンスに臨み、Cさんへの援助内容について提案した。(問題49)

多職種チームの援助によって退院したCさんは、デイケアに週3 日通い始めた。
通所当初はメンバーとの交流も少なく、プログラム参加も消極的であった。
ある日、就職した元メンバーがデイケアに顔を出し、働く生活について生き生きと話していた。
それを聞いたCさんはとても驚き、担当のE精神保健福祉士に「私なんかなんにもできていないし、
とてもあんな人にはなれない」とポツリとつぶやいた。(問題50)

その後、Cさんは少しずつプログラムに参加するようになり、メンバーとの交流も
増えていった。処理能力の低さや緩慢な動作がありながらも、6か月後にはミーティ
ングの司会を担当するまでになった。ある時、E精神保健福祉士との面接でCさんは、
「この歳だけど、私も一度でいいから会社勤めをしてみたいんです」と語り、就職の意
欲を示した。(問題51)

 

問題49
次の記述のうち.D精神保健福祉士の提案として、適切なものを1つ選びなさい。

1 Cさんを伴ってグループホームを訪問し、Cさんの視野を広げる。

2 姉夫婦に家族心理教育を行い、Cさんが実家に戻れる環境を作る。

3 作業療法でCさんの家事能力を高め、実家での役割を作る。

4 早めに実家への退院を進め、アウトリーチチームで家族も含めて支える。

5 Cさんの気持ちを尊重し、地域移行支援を一旦中止する。

 

 

 

 

 

 

問題49★★★解答 1か2 (精査)

解説

生まれ育った家に、居場所がなくなっていた・・・

だれにとっても、ショックなこと。

Cさんが、退院したくないと言うばりだった・・・という

箇所からも、『すまい』に関する問題の解決がのぞまれます。

そして。

退院後の選択肢は、決して、自宅一択ではないことに、気づくことも

とても、たいせつですね。

★【問題50】

次のうち、この時点のCさんにとって必要なデイケアの役割及び機能として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 居場所

2 疾患の回復

3 生活リズムの改善

4 自己効力感の回復

5 社会的機能の回復

 

 

 

 

問題50★★★解答4

解説

自己効力感とは、

簡単に申せば、課題、困難、チャレンジに対して「私ならできる!」という

自信、確信のことですね。

★【問題51】

次の記述のうち、この時にE精神保健福祉士がCさんに話した内容として、適切なものを1つ選びなさい。

1 「プログラムに袋詰め作業を取り入れて、作業スピードの向上を図りましょう」

2 「就労継続支援B型事業所なら働けるので、来週見学に行きましょうか」

3 「同じ障害があっても働いている方から、困難を乗り越えた経験を聞きましょう」

4 「服薬が自己管理できるようになったら、仕事を考えましょう」

5 [就職して再発する方がたくさんいます。今の生活を楽しみませんか」

 

 

 

 

問題51★★★解答3

解説

一度でいいから、会社勤めをしてみたい・・・

仲間に触発されて、Cさんは、就職に意欲を示しておられます。

良き先輩たちからの、リアルなお話しや、アドバイスは、Cさんにとって、

とても、有意義なものとかんがえます。

ちなみに、設問2の、『就労継続支援B型事業所』は、

年齢制限はなく、障害や体調に合わせて自分のペースで働くことができ、

就労に関する能力の向上が期待できます。事業所と雇用契約を結ばないため、

賃金ではなく、生産物に対する成果報酬の「工賃」が支払われます。

特別支援学校などの卒業後にそのまま利用することはできず、いったん就労経験を

経るか、就労移行支援事業所を利用した際に、働くことに関する課題などの

アセスメントが行われていなければなりません。

現段階では、Cさんの、ニーズにマッチしていないですね。

次の事例を読んで、問題52から問題54までについて答えなさい。

〔事例〕
発達障害者支援センターのF精神保健福祉士は、Gさん(35歳、女性)から息子の
Hさん(7歳)のことで相談を受けた。Gさんの話は、「Hは、幼少期から人見知りや
こだわりが強かったが、障害とは思っていなかった。保育園でもささいなことで泣き
出していたが、園長から、『Hさんの個性として受けとめましょう』と言われていた。

しかし、地元のV小学校に入学すると、音に過敏で先生の話が聞けない、ノートが取
れない、場面の切替えができない、運動会に参加できないなど、様々なつまずきがみ
られた。
そして、2年生になると授業についていけなくなり、登校を嫌がって自宅でテレビゲーム
ばかりするようになった。
そこで、専門医を受診したところ、自閉症スペクトラムと診断された」とのことである。
Gさんには診断にショックを受けながらも、無理やり登校を強いてきたことを責める様子がみられた。
そして、「私はこれからHにどのように接したらいいのでしょうか」とF精神保健福祉士に尋ねた。(問題52)

V小学校には特別支援学級はなかったが、GさんもHさんも転校は望んでいなかった。
そこで、F精神保健福祉士はV小学校と協議の場を設け.Hさんが安心して学校に通うための対応を提案した。(問題53)

Hさんが4年生に進級した時に、特別支援学級が設置され、Hさんは通常の学級と
の併用を開始した。ところが、しばらくするとHさんは、「なぜ自分だけが他の教室
に行くの?」と特別支援学級に行くのを拒み、通常の学級での個別の配慮も嫌がるよ
うになった。Gさんは、Hさんの言動に驚く一方、Hさんが他の児童と自分を比べざ
るを得ない状況に心を痛めた。Gさんの思いを聞いたF精神保健福祉士は、この件に
ついてV小学校と協議を重ねた。そして、Hさんと同じ配慮が望ましい児童が複数い
ることも分かり、同様の配慮を教室環境や授業展開に取り入れた。結果として、Hさ
んが落ち着いて学習できる環境は、他の児童の学習効果につながるものでもあった。
また、この取組を通して、児童たちが、Hさんの困り事や支援の意義を理解できるよ
うになったことは大きな成果であった。(問題54 )

★【問題52】

次の記述のうち、F精神保健福祉士のGさんへの助言内容として、適切なものを1つ選びなさい。

1 Hさんが苦手な科目の家庭学習の時間を、増やす。

2 Hさんの行動ではなく、性格に注目する。

3 Hさんがうまくできないことを、細部にわたって指示する。

4 Hさんが家庭でできそうなことを、見付けて目課にする。

5 Hさんと同年代の子どもができることを基準に目標設定する。

 

 

 

 

問題52★★★解答4

解説

できそうなことをみつけて、日課にする・・・

ちいさなことであっても、積み重ねてゆくことで、

Hさん本人の、社会生活における困難を軽減する可能性もあります。

おかあさんも、一緒にできることなら、コミュニケーションもとれますね。

日本自閉症協会のホームページから、一部御紹介してみましょう。

◆◆  支援の基本的な考え方

思春期より前は、しっかりと構造化された環境を整えることによって、子どもの

安心と安全を保障することが重要です。

得意な領域の発達は十分に保障しつつ、苦手な領域を過剰に訓練することは厳に慎まねば

なりません。自律スキル(自分にできることは自信をもって行い、無理なことはやらないと

判断できるスキル)とソーシャルスキル(できないことがあれば他者に相談するスキルと

ルールを守ろうとする意欲)をバランスよく育てていくために、他者と合意しながら活動する

習慣を身につけていくことが重要です。

子どもが小さいうちは、子どもが意欲をもって取り組めそうなことを中心に大人から提案し、

その提案に子どもが同意して活動するということを繰り返し行っていきます。

★【問題53】

次の記述のうち、F精神保健福祉士がV小学校に提案した内容として、適切なものを2つ選びなさい。

1 Hさんが授業で理解できない内容は、繰り返して話す。

2 学校行事では、Hさんへの事前の説明は控えて緊張を和らげる。

3 Hさんが、授業中にタブレット端末を活用する。

4 教室にはできるだけ多くの情報を掲示して見えるようにする。

5 活動の目的ごとに教室内のエリアを区分する。

 

 

 

 

問題53★★★解答35

解説

適切なものを、2つ選択です。

みなさまも、御存知のように、

2016年4月に障害者差別解消法が施行され、障害のある子どもが他の

子どもと平等に学べるよう、国公立学校が「合理的配慮」をすることを

義務化されました。

合理的配慮とは、

障害のある人が他の人と平等に暮らすために、周囲の人や学校、会社などが

無理のない範囲で行うべき 

①支援や、②ルールの変更、③環境の調整が、該当します。

例えば・・・

見えない人に声で文字情報を伝える、音に敏感な子どもに教室でヘッドフォンの

着用を認める、車いすの人のために動線を広くするなどなど、意外にも、柔軟な

対応ですね。

★【問題54】

次のうち、V小学校の児童への取組を示すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ソーシャルキャピタル

2 ユニバーサルデザイン

3 ソーシャルロール・バロリゼーション

4 ヘルスプロモーション

5 アフアーマテイブアクション

 

 

 

 

問題54★★★解答2

解説

アファーマティブアクションは、ポジティブアクションとも呼ばれ、

性別や人種などにおいて、社会的に差別されている人たちを救済するための

措置です。

具体的には、教育や就業などで優遇(肯定的・積極的な差別)するなどといった

方法が採られています。

差別・・・という箇所が、不適切であることから、

日本では、アファーマティブアクションを「積極的格差是正措置」と訳して

います。

みなさまなら、どんなネーミングになさいますか??

次の事例を読んで、問題55から問題57までについて答えなさい。

〔事例〕

人口8万人の地方都市Q市は、人口減に歯止めがかからず、空き家問題も顕在化し、
空き家対策の担当係を設置している。J精神保健福祉士は、隣の市の精神科病院で
2 0年間勤務していたが、数年前にQ市唯一のW精神科病院に転職した。同病院には、
実家がきょうだいに代替わりし、帰る家がないなど社会的諸条件が整わないため退院
できない患者が多数人院していた。J精神保健福祉士は、それらの患者の地域移行に
向けて、地域の関係機関との連携づくりを始めた。(問題55)

同時期にQ市が設置する地域支援協議会では、精神障害者家族会代表者から、
「親の施設入所や死亡により、一人暮らしになる精神障害者が増えつつある。
その中には、症状が再燃し、入院となる人も出てきている。親亡き後のことを考えてほし
い」という意見が出された。
そこでQ市では、地域支援協議会に、W精神科病院、地域活動支援センター1 型、
就労継続支援B型事業所、保健所、家族会及び当事者会を構成メンバーとする
専門部会を立ち上げることとなり、J精神保健福祉士が部会長に就任した。

初回の部会では、J精神保健福祉士がフアシリデーターとなり、「Q市における精神障害者のニーズと対策」
というテーマで、相互に批判をしないというルールの下で多様な意見を出し合った。(問題56)

その後に意見を整理した結果Q市の現状としては、受入れ条件が整えば退院可能
な者の対策が進んでいないことが共有された。そのような患者が地域生活を始めるた
めにも、また、親との離別により単身となった精神障害者が地域での暮らしを継続し
ていくためにも、居住支援の必要性を確認した。そこで、J精神保健福祉士は、専門
部会として、空き家を活用した居住支援を行っている自治体の視察を企画した。そし
て、Q市の精神保健福祉担当の職員だけでなく、空き家対策を担当する職員にも同行
してもらうように働き掛けた。(問題57)

★【問題55】

次のうち、この時点で、J精神保健福祉士が連携した地域の機関として適切なものを1つ選びなさい。

1 指定一般相談支援事業所

2 指定居宅介護支援事業所

3 指定通院医療機関

4 精神保健福祉センター

5 地域包括支援センター

 

 

 

 

 

問題55★★★解答1

解説

指定一般相談支援事業者の事業内容には、

『地域移行支援』、『地域定着支援』があげられます。

地域移行支援事業には、

入所施設に入所している障害者、又は精神科病院に入院している精神障害者に

ついて、住居の確保、その他の地域における生活に移行するための活動に関する相談、

地域移行のための障害福祉サービス事業所等への同行支援等があります。

どうしても、わからない場合でも・・・

白紙解答は、ぜったいにNG。

あとでと思っていて、時間が足りなくなったり、

見直しでスルーしちゃったりすると、

『ゼロ点』確定だからですね。

そのとき考える、BESTアンサーをマークする!!

貴重な1点になる可能性だってあります。

★【問題56】

次のうち、この場面で、J精神保健福祉士が用いた方法として、適切なものを1つ選びなさい。

1 ブレインストーミング

2 デルファイ法

3 半構造化インタビュー

4 KJ法

5 パネルディスカッション

 

 

 

 

 

 

問題56★★★解答1

解説

文中の、相互に批判をしないというルールで・・・という

箇所が、ポイントですね。

『ブレーンストーミング』とは、

ある問題やテーマに対し、参加者が自由に意見を述べることで、多彩なアイデアを

得るための会議法をいいます。

何人かが集まって、他人のアイディアを批判することなく、自由に多くのアイディアを

出し合い、ルールとして,自由奔放が歓迎され、他人の発言への否定的・批判的発言は

禁止されます。

★【問題57】

次のうち、この場面で、J精神保健福祉士が行った働き掛けとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 ケアマネジメント

2 コラボレーション

3 コミュニティアセスメント

4 コンサルテーション

5 リーダーシップ

 

 

 

 

 

 

問題57★★★解答234精査中

解説

コンサルテーションとは、対人援助の専門家が、組織体制や運営、職務や援助

業務、援助計画に関する課題や問題などに取り組むために、特定の領域の専門家から

新しい情報・知識・技術を習得する過程ととらえると、正答にたどり着きそうですね。

次の事例を読んで、問題58から問題60までについて答えなさい。

〔事例〕
X地域活動支援センター(I型)(以下「センター」という。)は、近隣のR市中学校よ
り中学2 年生を対象とした福祉教育の依頼を受けた。「総合的な学習の時間で精神障
害を取り上げたい。生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ
機会になってほしい」という。センターに勤務するK精神保健福祉士は、以前、セン
ターの利用者に、「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われた
ことを思い出し、改めてセンターに期待される役割を考えた。(問題58)

依頼を受けたK精神保健福祉士は、中学校教諭、センター利用者、民生委員、同僚
の精神保健福祉士たちと共同検討会を行い、授業の目的や内容について協議を始めた。
授業で取り上げる精神疾患の種類や知ってほしい社会資源を検討していた時、セン
ターの利用者から、「病気やサービスの説明だけで生徒がこころの健康を考えたり、
障害のある人と一緒に生きていけるような地域をつくれるだろうか。講義だけでいい
のでしょうか?」との意見が出された。そこでK精神保健福祉士は次のように発言した。

(問題59)
検討会を重ねるうちにそれぞれの思いや願いを率直に語る雰囲気ができ、各々の
立場での考え方を共有していった。生徒たちのメンタルヘルス、地域での精神障害者
の生活、感じる偏見などの話題を通して授業の目的や内容が明確になり、案がまと
まった。授業のテーマは、「誰かに相談することは自分と大切な人を守る」とし、内容
はプログラム1 としてメンタルヘルスや当事者体験の講義、プログラム2として交流
体験型学習と決定した。

(問題60)
授業実施後、生徒たちから、「誰もが一日一日を一生懸命生きていることが分かった」、
[自分と周りの人を大切にして行動したい]などの感想が寄せられた。また教諭
より、「当事者の方と交流して、地域で共に生きることを生徒たちが考える機会に
なった」とコメントがあった。その後、K精神保健福祉士は授業についての報告書を
まとめ、この取組を他でも展開していけるよう教育委員会に働き掛けを行っている。

 

★【問題58】

次のうち、この時点でK精神保健福祉士が考えたX地域活動支援センターO型)の役割として、適切なものを1つ選びなさい。

1 地域における連携強化のための調整

2 障害に対する理解の促進のための普及啓発

3 在宅障害者への社会適応訓練

4 地域のボランティア育成

5 相談支援事業の実施

 

 

 

 

問題58★★★解答2

解説

地域活動支援センターは、地域で生活している身体障害者、精神障害者、

知的障害者などのかたが、利用できる通所施設です。

地域で暮らす障害者のなかには、積極的に地域社会とのつながりを持つことが

難しく、孤立してしまう人もおられます。

地域活動支援センターでは、そのような障害者に対して、日中の居場所づくりや

生きがいづくり、日常生活での困りごとを相談できる機会の提供などを行い、

地域社会との交流を促進する役割を持っています。

地域活動支援センターは事業の内容によって、I型、II型、III型に分類されて

います。

『I型』では、

医療・福祉の領域や、地域の社会基盤との連携強化のための調整、地域住民ボランティア

育成、障害に対する理解促進を図るための普及啓発などの事業を行っています。

さらに、相談支援に関する事業を実施している(もしくは委託を受けている)ことも

条件となります。

そのため、I型の地域活動支援センターには、精神保健福祉士や、社会福祉士などの

専門職員の配置が必要となるのですね。

★【問題59】

問題59
次の記述のうち、この場面でK精神保健福祉士が発言した内容として、適切なものを2つ選びなさい。

1 「入院患者さんへの手紙を生徒の皆さんに書いてもらいましょうか」

2 「精神疾患の説明を省きましょうか」

3 「皆さんの地域共生のイメージを聞かせていただけますか」

4 「社会資源の情報提供があれば、十分ではないでしょうか」

5 「みんなが自分のこととして考えられるような方法を挙げてみませんか」

 

 

 

 

 

問題59★★★解答35

解説

ありがたいことに!!

センターの利用者さん達が、貴重な意見をくださっています。

そのままを受け止めて、2つ選びたいところです。

★【問題60】

問題60
次の記述のうち、プログラム2 の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 生徒がセンター利用者の体験談を聞いて感想文を書く。

2 センター利用者が生徒にボランティアの依頼をする。

3 生徒がセンター利用者の作成した精神疾患のクイズに答える。

4 生徒が疑似体験ツールを用いて統合失訓症の疑似体験をする。

5 センター利用者と生徒が精神的不調に気付いた時のロールプレイをする。

 

 

 

 

 

問題60★★★解答5

解説

プログラム2は、『交流体験型学習』がおこなわれました。

どなたも、きっと、ワークショップという言葉を耳にされたことが

おありかとおもいます。

日本語に訳すなら、『参加体験学習』、あるいは、『参加体験型グループ学習』

などですね。

参加体験学習は、一方通行的な、知識伝達型の学習に対置するものといえます。

体験型学習では、

体験学習を進めた後、参加者がどう感じたのか、何に気づいたのかを自分自身で

ふりかえり、再確認します。

それを、参加者の間で紹介しあったり、発表することで、さまざまな意見にふれる

ことができます。そのことにより、体験学習でのさまざまな体験が整理され、本当に

大切にするべきことを、参加者全体で共有することができるとされます。

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