第30回介護福祉士試験問題 解答解説77-86 認知症の理解
第30回介護福祉士国家試験問題解答解説
認知症の理解
【認知症の理解】
単独で、1つの科目となる『認知症の理解』。 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者と
なる2025年を目途として、その対策が急がれていることは、皆さまも御存知のとおりですね。
いわゆる、『2025年 もんだい』が、それに該当します。
統計によれば、85歳以上のかたでは、2人に1人が、認知症の症状があるそうです。
御長寿であれば、当然のことでもあるわけですが、国としては、手をこまねいては
いられない、たいせつな問題となります。 『国家戦略』として関係省庁が共同で
その対策をたてているのですね。
さて、問題番号、および、解説の前に、すこーしだけ、おさらいを御一緒に。
★★★ 我が国における、認知症のかたの数は、どのくらいかと申しますと・・・
厚生労働省の2015年1月の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、
65歳以上の高齢者の、『約7人に、1人』と推計されています。
これに伴い、上記のように2025年には、高齢者の『5人に、1人!!』が、認知症になると
推計されています。
認知症は高齢になればなるほど、発症する危険は高まります。認知症は特別な人に起こる
特別な出来事ではなく、歳をとれば誰にでも起こりうる、身近な病気と考えられるのですね。
認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI: mild cognitive impairment)」と推計
される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということ
になります。
医療機関を受診して認知症と診断された人だけでもこの数字ですから、症状はすでに出ている
のにまだ受診していない人も含めると、患者数はもっと増えるのではないでしょうか・・・・
今後高齢化がさらに進んでいくにつれ、認知症の患者数がさらに膨らんでいくことは確実です。
厚労省が今回発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は
700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の『約5人に、1人!!』となる見込みだそうです。
また、認知症は高齢者だけの病気ではにことにも、要注意です。65歳未満で認知症を発症する
場合もあり、「若年性認知症」と呼ばれています。介護保険制度における、【特定疾病】の1つ
でもありますね。
若年性認知症はアルツハイマー病が多く、とくに40代、50代の働き盛りで起こると老年性の
認知症よりも早く進行し、症状も重くなる傾向があるとされています。
仕事や子ども、マイホーム、お金の問題など、高齢者の認知症とは違う現役世代ならではの
悩みを抱えるため、ご本人にも、また、その御家族にも、手厚いサポートが必要になります。
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ここで、皆さまにぜひとも知っておいていただきたいのが、我が国の、国家戦略でもある
【新・オレンジプラン】です。正式名称は、【認知症施策推進総合戦略】となります。
厚生労働省資料より抜粋して、その内容を御紹介いたしましょう。7本の柱に御注目を!!
(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
社会全体で認知症の人を支える基盤として、認知症の人の視点に立って認知症への社会の
理解を深めるキャンペーンや認知症サポーターの養成、学校教育における認知症の人を含む
高齢者への理解の推進など、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進を図ります。
(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
本人主体の医療・介護等を基本に据えて医療・介護等が有機的に連携し、認知症の容態の
変化に応じて適時・適切に切れ目なく提供されることで、認知症の人が住み慣れた地域の
よい環境で自分らしく暮らし続けることができるようにします。このため、早期診断・早期
対応を軸とし、行動・心理症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)
や身体合併症等が見られた場合にも、医療機関・介護施設等での対応が固定化されないように、
退院・退所後もそのときの容態にもっともふさわしい場所で適切なサービスが提供される
循環型の仕組みを構築します。
(3)若年性認知症施策の強化
若年性認知症の人については、就労や生活費、子どもの教育費等の経済的な問題が大きい、
主介護者が配偶者となる場合が多く、時に本人や配偶者の親等の介護と重なって複数介護に
なる等の特徴があることから、居場所づくり、就労・社会参加支援等の様々な分野にわたる
支援を総合的に講じていきます。
(4)認知症の人の介護者への支援
高齢化の進展に伴って認知症の人が増えていくことが見込まれる中、認知症の人の介護者
への支援を行うことが認知症の人の生活の質の改善にも繋がるとの観点に立って、介護者の
精神的身体的負担を軽減する観点からの支援や介護者の生活と介護の両立を支援する取組を
推進します。
(5)認知症を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
65歳以上高齢者の約4人に1人が認知症の人又はその予備群と言われる中、高齢者全体にとって
暮らしやすい環境を整備することが、認知症の人が暮らしやすい地域づくりに繋がると考えられ
生活支援(ソフト面)、生活しやすい環境の整備(ハード面)、就労・社会参加支援及び
安全確保の観点から、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進に取り組んでいます。
(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
認知症をきたす疾患それぞれの病態解明や行動・心理症状(BPSD)を起こすメカニズムの
解明を通じて、認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等
の研究開発の推進を図ります。また、研究開発により効果が確認されたものについては、
速やかに普及に向けた取組を行います。なお、認知症に係る研究開発及びその成果の普及の
推進に当たっては、「健康・医療戦略」(平成26年7月22日閣議決定)及び「医療分野研究
開発推進計画」(平成26年7月22日健康・医療戦略推進本部決定)に基づき取り組みます。
(7)認知症の人やその家族の視点の重視
これまでの認知症施策は、ともすれば、認知症の人を支える側の視点に偏りがちであった
との観点から、認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーン
(再掲)のほか、初期段階の認知症の人のニーズ把握や生きがい支援、認知症施策の企画・
立案や評価への認知症の人やその家族の参画など、認知症の人やその家族の視点を重視した
取組を進めていきます。
それでは、解答番号と、ささやかですが、解説をお届けいたします。
午後の部で、御疲れもMAXとなり、考えても、考えても、わからない・・・そんな問題も
あったかとおもいます。
なんか、過去問題より、ずいぶん難しいなあ・・・ こんなお声も、聴こえてきそうですが、
基本問題を取りこぼさずに、1点を積み上げてゆけば、大丈夫! 大丈夫!!
認知症の理解
問題77
認知症(dementia)の人への基本的な関わりとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 いすから立ち上がろうとする人に、「座っていてください」と言う。
2 トイレで排泄したいと言う人に、「今のおむつは機能が良いので、おむつの中にしてもすっきりします」と言う。
3 息子の居場所を心配する人に、「息子さんは会社で働いていますから、安心してください」と言う。
4 家に帰りたいと言う人に、「施設で楽しく過ごしましょう」と言う。
5 自分は何もわからなくなってしまったと悲しむ人に、「認知症(dementia)になった人は、皆さん同じです」と言う。
解答問題77
正解は、 3 といたします
現場でのシーンを思い浮かべると、むねがつまる、設問でもありますが・・・
問題78
初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’stype)にまける認知機能障害の特徴として、適切なものを1つ選びなさい。
1 時間に関する見当識障害は認められない。
2 エピソード記憶が障害される。
3 手続き記憶が障害される。
4 記憶障害の進行は急速に進む。
5 若い頃のことを忘れてしまう。
解答問題78
正解は、2 といたします
『エピソード記憶』とは・・・
エピソード記憶とは、体験を通して何かを覚えることです。例えば、海外旅行に行った
時のことや、野球の試合を球場に見に行った時の記憶は、エピソード記憶です。
特徴としては、「頑張って覚えよう」としなくても、自然に覚えられることです
アルツハイマー病では、この、『エピソード記憶』が障害されるため、
学歴や職業など、自分が生活してきたことや体験したこと(エピソード)そのものを
忘れてしまうことがあります
御本人は、体験自体がすっぽり抜け落ちているので、周囲と話がかみ合わなくなります。
ここで、試験出題基準における、『認知症の理解』を おさらいしてみましょう。
◆◆印は、中項目を、 ◇◇印は、小項目をしめします。
◆◆ 認知症ケアの歴史
◆◆ 認知症ケアの理念
◆◆ 認知症高齢者の現状と今後
◇◇ 認知症高齢者の数の推移、その他
◆◆ 認知症に関する行政の方針と施策
◇◇ 認知症高齢者支援対策の概要(相談対策の整備、在宅対策、施設対策、
権利擁護対策、地域密着型サービス、その他)
◆◆ 認知症による障害
◇◇ 記憶障害
◇◇ 見当識障害
◇◇ 失語、失行、失認、その他
◆◆ 認知症と間違えられやすい症状
◇◇ うつ病
◇◇ せん妄
◆◆ 認知症の原因となる主な病気の症状の特徴
◇◇ アルツハイマー型認知症
◇◇ 血管性認知症
◇◇ レビー小体型認知症
◇◇ 前頭側頭型認知症
◇◇ クロイツフェルト・ヤコブ病
◇◇ その他(慢性硬膜下血腫等)
◆◆ 若年性認知症
◆◆ 病院で行なわれる検査、治療の実際
◇◇ 検査
◇◇ 治療
◇◇ 予防
◆◆ 認知症の人の特徴的な心理・行動
◇◇ 認知症が及ぼす心理的影響
◇◇ 認知症の人の特徴的な行動障害
◇◇ 周辺症状の背景にある、認知症のある人の特徴的なこころの理解
(混乱、不安、怯え、孤独感、怒り、悲しみ、その他)
◆◆ 認知症に伴う機能の変化と日常生活への影響
◇◇ 認知症の人の特性を踏まえたアセスメント(保たれている能力と低下している
能力の把握、家族との関係の把握、その他)
◇◇ 環境変化が認知症の人に与える影響(なじみの人間関係、居住環境、その他)
◇◇ その他
◆◆ 地域におけるサポート体制
◇◇ 地域包括支援センターの役割・機能
◇◇ コミュニティ、地域連携、まちづくり
◇◇ ボランティアや認知症サポーターの役割・機能
◆◆ チームアプローチ
◇◇ 多職種協働の継続的ケア
◆◆ 家族への支援
◇◇ 家族の認知症の受容の過程での援助
◇◇ 家族の介護力の評価
◇◇ 家族のレスパイト
◇◇ その他
問題79
前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)の特徴として、適切なものを1つ選びなさい。
1 物忘れの自覚
2 幻視
3 抑うつ
4 急速な進行
5 常同行動
解答問題79
正解は、5 といたします
前頭側頭型認知症(FTD)とは、前頭葉や側頭葉が委縮して起こる認知症です。
特徴として、行動の異常や、人格の変化、言語障害がみられるとされます。
FTDは、他の認知症と違い、指定難病に認定されています。
前頭葉と側頭葉は、脳の4割を占める重要な器官です。前頭葉は思考や感情の表現、判断を
コントロールするため、人格や理性的な行動、社会性に大きく関ります。
一方側頭葉は、言葉の理解、聴覚、味覚のほか、記憶や感情をつかさどります。
どちらも大変重要な働きを担っているので、機能低下による影響は甚大です。
前頭側頭型認知症の初期には、物忘れや失語はあまりみられず、人格の変化や非常識な
行動などが目立ちます。そのため、精神疾患と診断されてしまう場合があるので、
鑑別診断が重要となってきます。
常同行動とは・・・
DTDの中期では、
同じ行動を繰り返す「常同行動」が現われます。例えば、毎日同じ時間に同じ道順で
散歩する、同じメニューを作る、なくなるまで食べ続ける、決まった時間に決まった
行動を取らないと気がすまない(時刻表的な生活)、手を叩くなどがみられます。
初期には、あまり、もの忘れはみられないことから、設問1は、却下に。
幻視、抑うつは、FTDの特徴ではないため、却下に。
発症後、平均して6年から8年で、寝たきりになるとされます。
病状は、初期、中期、後期とすすんでゆくとされることから、、設問4も、却下いたし
ました。
解答問題80
Cさん(70歳、女性)は息子(35歳)と二人暮らしをしている。息子の話によると、1年前から時々夜中に、「知らない人が窓のそばに立っている」などと言うことがある。また、ここ3か月で歩くのが遅くなり、歩幅が狭くなった。家事は続けているが、最近探し物が目立ち、料理の作り方がわからないことがある。病院で検査を受けたが、頭部MRIでは脳梗塞(cerebral infarction)や脳出血(cerebral hemorrhage)の指摘はなかった。
Cさんの状況から、最も可能性の高いものを1つ選びなさい。
1 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
2 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)
3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)
4 血管性認知症(vascular dementia)
5 うつ病(depression)
解答問題80
正解は、2 といたします
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多い、認知症です。
1976年に、日本の小阪憲司(現横浜市立大学名誉教授)らによって報告され、
1995年にレビー小体型認知症という名称が付けられました。
アルツハイマー型が、女性の発症率が高いのに比べ、レビー小体型は男性の方が多く、
女性の約2倍といわれています。
幻視以外にも、症状として、
パーキンソン病と間違われることもあるほど、似た症状が出てきます。手が震える、
動作が遅くなる、筋肉がこわばる、身体のバランスを取る事が難しくなるなどの症状が
出ます。
手の震えは何もしていない時の方が出やすく、物を持つなど何かをしようとすると震えが
少なくなります。歩く時は、小股でちょこちょこ歩くようになり、一旦止まってしまうと、
次の一歩が出にくくなります。また顔の表情も乏しくなり、笑っても怒っても口元が変わる
くらいで、感情が読み取りにくくなります。
レビー小体型認知症は、
MRI や、脳血流の検査では、健康な人や他の病気との区別が難しい例もあるとされます。
問題81
認知機能の評価に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 長谷川式認知症スケールで認知症(dementia)の診断が可能である。
2 FAST(Functional Assessment Staging)は、血管性認知症(vascular dementia)の重症度判定に用いる。
3 IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)のアセスメント(assessment)は、軽度の認知症(dementia)において有用である。
4 MMSE(Mini-Mental State Examination)は、日常生活の行動観察から知能を評価する検査である。
5 言語機能が障害されると、認知症(dementia)の重症度評価はできなくなる。
解答問題81
正解は、3 といたします
ここは、迷いに迷って、正答できなかった・・・かなしい。
こんな受験生さん、きっと大多数ではないでしょうか??
認知機能障害によって、日々の生活に支障を来すようになるのが『認知症』の最大の特徴
です。
生活機能は、日常生活動作能力(ACTIVITY OF DAILY LIVING
:ADL)
とも呼ばれているのは、皆さまも御存知のとおりですね。
ADLの中でも、自分自身の身のまわりのことを自立して行う能力は、基本的日常生活動作能力
(BASIC ACTIVITIES OF DAILY LIVING : BADL)
または、身体的日常生活動作能力(PHYSICAL ACTIVITIES OF DAILY
LIVING : PADL)(例:排泄、食事、着替え、身繕い、移動、入浴)、家事など
一人暮らしを維持していくために必要な能力は、手段的日常生活動作能力(INSTRUMENTAL
ACTIVITIES OF DAILYLIVING : IADL)
(例:電話の使用、買い物、食事の支度、家事、洗濯、交通手段を利用しての移動、服薬管理、
金銭管理)とよばれます。
こちらも、皆さまのほうが、よく御存知ですよね。
認知症が軽度の段階では、IADLのみが障害され、中等度になるとBADLが部分的に
障害され、重度になると、BADLが、全面的に障害されるとされます。
迷った設問は、どれも、とてもたいせつな知識です。
御時間がつくれた際には、ぜひ、じっくり確認なさってみてくださいね。
問題82
血管性認知症(vascular dementia)の危険因子として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 認知症(dementia)の家族歴
2 甲状腺機能低下症(hypothyroidism)
3 頭部外傷の既往
4 メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)
5 ダウン症候群(Down’s syndrome)
解答問題82
正解は、 4 といたします
メタボリック・シンドロームは別名「内臓脂肪症候群」といいます。
内臓脂肪が蓄積された状態に加えて、高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)の
うち、二つ以上を合併した状態です
アメリカにおける調査では、中年の肥満者はアルツハイマー型認知症に、3倍なりやすく、
脳血管型認知症は、5倍になったと報告されています。
スウェーデンでは、肥満の人は、2倍、認知症になりやすいと報告されているそうです。
また、動物実験では、蓄積した内臓脂肪から、脳の神経細胞を破壊する生理活性物質が
分泌されていると報告されています。
問題83
認知症(dementia)の人への日常生活上の支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 次に何をすればよいか判断できない人には、ヒントを伝えて一人で考えてもらう。
2 通所介護(デイサービス)を利用する曜日がわからない人には、施設への入所を勧める。
3 自分が今どこにいるのかわからない人には、そのたびに場所を伝える。
4 着衣失行のある人には、着脱のたびに介護福祉職が代わりに行う。
5 数分前の出来事を思い出せない人には、昔の思い出を聞かないようにする。
解答問題83
正解は、3 といたします
ここでも、貴重な追加点を、あげていただけたとおもいます。
しっかし。
なんちゅう。
せつもんやねん。
問題84
在職中に若年性認知症(dementia with earlyonset)になった人の家族に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 子ども世代に与える心理的な影響が大きい。
2 子どもが若年性認知症(dementia with earlyonset)になる可能性が高い。
3 身体的機能に問題が認められないので、家族の介護負担は少ない。
4 家族の気づきによって早期発見されることが多い。
5 本人への病名の告知は家族が行う。
解答問題84
正解は、1 といたします
働き盛りのかたがたを襲う、若年性認知症。
おおくのかたは、御仕事で昼間は、御家族とははなれていますので、設問4は、
却下に。
遺伝に関するこのような統計は、現在ではありませんので、設問2も却下に。
設問3は、どなたも学習されて、却下してくださったとおもいます。
残るは、設問1、それとも、設問5 でしょうか・・・
若年性認知症コールセンター資料から、抜粋して御紹介いたしましょう。
ご本人や配偶者が現役世代であり、病気のために仕事に支障がでたり、仕事をやめる
ことになって、経済的に困難な状況になってしまいます。
また、子どもが成人していない場合には、親の病気が与える心理的影響が大きく、
教育、就職、結婚などの人生設計が変わることになりかねません。
さらにご本人や配偶者の親の介護が重なることもあり、介護の負担が大きくなります。
想像しただけで、継続的な支援が、必要とされることが、つたわりますね。
問題85
Dさん(75歳、男性)は、介護福祉職のEさんの近所に3年前に引っ越してきた。Dさんは引っ越してきた時から一人暮らしである。最近、Dさんは、「米が盗まれてしまって、夕飯が作れなくて困っている。米を貸してほしい」と、夕方、Eさんの家をたびたび訪ねるようになった。Dさんの家族は海外赴任中の息子家族だけだと、以前Dさんから話を聞いたことがある。Eさんは息子と一度も会ったことはない。
EさんがDさんについて相談する機関として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所
2 地域活動支援センター
3 居宅介護支援事業所
4 認知症疾患医療センター
5 地域包括支援センター
解答問題85
正解は、5 といたします
地域包括支援センターには、以下の4つの業務があります。
① 総合相談支援業務
② 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
③ 介護予防ケアマネジメント業務
④ 権利擁護業務
上記のうち、①が、このケースでは利用できますね。
「認知症かもしれない」「介護に疲れた」「ご近所の高齢者の様子がおかしいので
心配」など、高齢者の健康・生活に関わる相談を幅広く受け付けます。相談内容により、
様々な制度や専門機関の中から必要なサービスを選択し、仲介します。
支援が必要だと思われる高齢者について、家族以外の人が相談することもできます。
問題86
認知症(dementia)の利用者F・さんは、施設外へ出て行って一人で帰れないことを繰り返している。Fさんへの予防的対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Fさんが出て行こうとするたびに、制止する。
2 Fさんの視線の高さに合わせて、出入口に「通行止め」と書いた札を貼る。
3 Fさんに「ここがあなたの家です」と、繰り返し説明する。
4 Fさんと一緒にスタッフも出かけて、戻るように指示する。
5 Fさんの日常の様子を観察した上で、出て行く理由や目的を検討する。
解答問題86
正解は、5 といたします
これも、認知症ケアにおける『基本』ですね。
まずは、Fさんが外出する理由や、目的を知ることが必須です。
もちろん、客観的には、目的がないように見れるかもしれませんが、Fさんには、
あるのですね。
警視庁統計によりますと、平成28年における「認知症または認知症の疑い」による
行方不明者数は、15432人 とされます。
地域住民や警察に保護されたとしても、認知症が進んでいた場合、自分の名前や住所
などが的確に答えられないことも多いため、どこの誰なのかを突き止めるのが難しく
なってしまうのですね。
Fさんの行動を理解しつつ、危険回避のための各種対策もまた、必須であります。