解説 問題95(午前)
【午前 問題95】
次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(52歳、男性)は、5年前に健康診断で高血圧を指摘されていたが、そのままにしていた。5年ぶりに健康診断を受けたところ尿蛋白+で、内科を受診し腎機能障害を指摘された。Aさんは、慎重160cm、体重56kgであり、体温36.1℃、呼吸数18/分、脈拍64/分、整で、血圧166/96mmHgであった。血液検査データは、Hb9.3g/dL、アルプミン3.6g/dL、クレアチニン2.3mg/dL、HbAlc5.6%、K3.9mEq/L、推算糸球体濾過量<eGFR>25mL/分/1,73㎡であり、特に自覚症状はなく、浮腫はみられない。
Aさんは、慢性腎臓病ステージ4と診断され、精査目的で入院した。「特に病状がないのに腎臓が悪いと言われて本当に驚いたよ。高血圧が関係していると医師に言われたけれど、どういうことですか」と Aさんが看護師に尋ねた。
Aさんへの説明で適切なのはどれか。
1.「高血圧で尿が少なくなり腎臓を悪くします」
2.「高血圧が続くと腎臓の濾過機能が低下します」
3.「高血圧では腎臓病の病状が現れにくくなります」
4.「腎臓の機能がさらに低下すると血圧は低くなります」
【解説】
正解は、2と考えます。
慢性腎臓病は、下記のように、大きく5つのステージに分類されます。
ステージ1 : 腎機能は正常または高値と推測されます
ステージ2 : 腎機能は、正常かたは軽度に低下していると推測されます
ステージ3 : 腎機能は軽度から中程度に低下していると推測されます
ステージ4 : 腎機能は中程度から高度に低下していると推測されます
ステージ5 : 腎機能は高度に低下していると推測されます
さて、皆さまも御存知のように、腎臓の機能と血圧には、大聴く、3つのふかーーーーーい関係があるとされます。
★ 1つめは、塩分(ナトリウム)と、水分(尿)の調節ですね。
通常であれば、摂り過ぎた塩分は、水分とともに尿として体外に排泄されますが、腎機能が低下すると、この排泄機能が悪くなってしまいますので、血液の量が増え、血圧は上がってしまうことになります。
★ 2つめは、血圧調整にかかわるホルモンの分泌です。
腎機能の低下により、血圧調整能力も、低下してしまいますので血圧は上昇傾向となるとされます。
★ 3つめは、末梢血管の抵抗ですね。
腎臓の働きが悪くなり、血圧が上昇すると末梢血管が硬くなり、血液が流れにくくなります。
そのため、末梢血管抵抗が大きくなり、血圧はさらに上昇することもあります。