第31回介護福祉士試験問題 解答解説 問題114-125 総合問題

午後問題

第31回介護福祉士国家試験問題114-125

総合問題

第31回介護福祉士国家試験問題無料解答解説

(総合問題1)

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事例〕
Fさん(78歳、男性)は、妻(75歳)と二人で暮らしていた。1か月前に脳出血
(cerebral hemorrhage)で入院して、左半身の不全麻痺がある。立ち上がりや歩行に介
助が必要なため、杖や手すりを使用した歩行訓練をして、杖歩行が可能になった。病
院のソーシャルワーカーの勧めで、Fさんは介護保険の申請をして結果を待っていた。
ある日、「医師から退院の許可が出た」と、妻から介護求援専門員(ケアマネジャー)
に連絡があった。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「Fさんの退院後の在宅サービスを検討した
いので病院に集まってほしい」と、在宅支援の関係者に会議への参加を依頼した。訪
問介護員(ホームヘルパー)は、ケアプランの検討のために病院に行って、会議に参加
した。会議には、主治医、病棟看護師、理学療法士も参加した。トイレで転ぶのでは
ないかというFさんの心配について話し合った結果、トイレに手すりが必要だという
ことになった。また、左足指に白癬(tinea)があり、薬が処方されていることも確認された。

★【問題114】

介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集した会議として、正しいものを1つ選びなさい。

1 退院前カンファレンス

2 サービス担当者会議

3 支援調整会議

4 地域ケア会議

5 介護・医療連携推進会議

 

 

 

 

問題114★★★解答2

解説

ケアマネージャーが、召集した会議・・・という、箇所がここでは、

ヒントとなっていますね。

場所は病院ですが、あくまで、目的は、『Fさんの、退院後の在宅サービスを

検討すること』。

サービス担当者会議を、ここはがんばって、選びたいところでした。

★【問題115】

図はFさん宅のトイレである。手すりを設置する位置として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 A

2 B

3 C

4 D

5 E

 

 

 

 

問題115★★★解答1

解説

ひだり半身の、不全麻痺がある、Fさん。(78歳・男性)

歩行訓練の結果、現在は、杖歩行が可能。

退院を控え、トイレで転ぶのではないか・・・と心配しています。

トイレに手すりをつける場合には、当然に、みぎに、手すりの設置が

必須となります。

ということは、設問1のA、もしくは、設問2のBの、どちらかに。

御存知のかたも、多いとおもいますが、

便器から手すりが遠くなるほど、体の重心移動を利用して立てるので

力学的には、立ちやすくなります。

逆に便器に近すぎると、腕力に頼ることになり、手すり効果を発揮できません。

立ち上がったときに、手すりが背中の方にまわり、肩に負担が掛かることも

あります。

以上のことから、設問1の、Aに、軍配!!

★【問題116】

訪問介護員(ホームヘルパー)が、自宅に戻ったFさんの皮膚疾患に関する日常生活上の留意点を妻に指導する内容とし
て、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 からだを温める。

2 足を乾燥させる。

3 着衣や寝具は熱処理する。

4 足にワセリンを塗る。

5 処方された塗り薬は気がついたときに塗る。

 

 

 

 

問題116★★★解答2

解説

白癬とは、いわゆる、『みずむし』のことですね。

医学の進歩とともに、みずむし薬にも、飲み薬タイプなどといった、

画期的なものつくりだされています。

Fさんの場合は、問題の文章からは、くわしくは読み取れませんが、

ひだりの足指に白癬があり、薬が処方されている・・・とありますね。

足の皮膚は、清潔に保ち、さらりとした状態をキープできるよう、

こころがけるといいですね。

塗り薬は、主治医の指示どおりに、ていねいに塗布。

気になることがあれば、勝手にワセリンなどは使用せず、主治医に相談を。

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。

〔事例〕

Gさん(84歳、女性)は、8年前に経済的な理由から養護老人ホームに入所した。

Gさんは、「自分のことは、自分でやりたい」といつも話しており、毎朝の体操が日

課であった。施設のプログラムである健康体操にも他の利用者と楽しみながら毎週参加していた。

しかし、最近は、足がすくんだようになり、始めの一歩をうまく出せず、歩行に不

安を抱えるようになった。

Gさんは、物忘れなどの症状が以前からみられていたこと、また他の症状もみられ

るようになったことから、医師の診察を受けたところ、レビー小体型認知症(dementia

with Lewy bodies)と診断された。

Gさんは、居室の前にあるトイレに行くとき、転倒してけがをするのではないかと

不安になっている。Gさんが入所している施設は、N県から介護保険サービス事業者

の指定を受けている。この施設で生活を続けたいというGさんの意向を受けて、本人

を交えて施設職員と介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援の内容を検討した。

★【問題117】

Gさんが診察を受けるきっかけとなった他の症状とは、発症した認知症(dementia)の特徴的な症状の一つである。

他の症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 片麻痺

2 脱抑制

3 幻視

4 常同行動

5 感情失禁

 

 

 

 

 

問題117★★★解答3

解説

★【問題118】

Gさんの移動に関する支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 床にある目印をまたぐように声かけをする。

2 車いすで移動する。

3 居室にカーペットを敷く。

4 歩幅を小さくするように声かけをする。

5 四点杖の使用を勧める。

 

 

 

 

 

 

問題118★★★解答1

解説

★【問題119】

Gさんの意向を踏まえた介護保険サービスとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 看護小規模多機能型居宅介護

2 小規模多機能型居宅介護

3 短期入所療養介護

4 特定施設入居者生活介護

5 認知症対応型共同生活介護

 

 

 

 

 

問題119★★★解答4

解説

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事例〕
Hさん(26歳、女性)は、腰髄損傷(lumbar spinal cord injury)で両下肢麻痺の障害
があり、車いすを使用してA D L (Activities of Daily Living : 日常生活動作)は自立
している。銀行で働きながら一人暮らしをして、休日は、友人とスキューバダイビン
グを楽しんでいた。
Hさんは、こだわりや責任感が強く真面目で、悩みごとを打ち明けられない性格であった。
ある日、友人が表情の暗いHさんを心配して話を聞いてみると、「食事が喉を通ら
ず、頭痛や思考力低下があり、寝つきは良いが、すぐに目が覚めて眠れず、仕事上の
ミスが続き仕事に行けない日がある」と話した。友人の勧めで専門医を受診した結果、
Hさんはうつ病(depression)と診断された。
その後、治療を受けながら仕事を続けていたが、激しい動悸、息苦しさ、めまいを
伴うパニック発作が繰り返し起こり、仕事を休職して治療に専念することにした。

★【問題120】

Hさんの睡眠障害として、正しいものを1つ選びなさい。

1 レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome)

2 概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)

3 レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)

4 環境因性睡眠障害

5 中途覚醒

 

 

 

 

 

問題120★★★解答5

解説

★【問題121】

Hさんの食欲不振や睡眠障害は改善せず、日常生活に介護が必要になり居
宅介護を利用し始めた。半年ほど経過した頃、「早く良くなりたい」と介護福祉職に話した。
介護福祉職が、 Hさんのつらい思いを受容した上でかける言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「早く良くなってくださいね」

2 「すぐに治りますよ」

3 「ゆっくり休むことも必要ですよ」

4 「治療、頑張ってくださいね」

5 「気分転換に旅行に行くといいですよ」

 

 

 

 

 

問題121★★★解答3

解説

★【問題122】

Hさんは仕事を休職して治療に専念した結果、趣味のスキューバダイビン
グが楽しめるまでに回復した。介護福祉職に、「仕事に復帰しようと思っている皿話した。
介護福祉職が紹介するサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 リワークプログラム

2 レスパイトサービス(respite service)

3 ピアカウンセリング(peer counseling)

4 セルフヘルプグループ(self-help group)

5 ガイドヘルプサービス

 

 

 

 

 

問題122★★★解答1

解説

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。

〔事例〕

Jさん(女性)は、介護福祉士養成施設の学生である。Jさんは、希望していた障害

児入所施設で実習をすることになった。この実習では、障害特性を理解して、介護実

践の在り方を学ぶだけではなく、個別支援計画(介護計画)作成と実施、評価までの介

護過程の展開を学ぶことになっていた。

Jさんは、対象となる利用者としてK君(15歳、男性)を担当することになった。

K君は重度の脳性麻輝(cerebral palsy)がある。K君が2歳の時に両親は離婚して、

母親が一人でK君を育てていた。母子の生活は困窮していた。K君が9歳の時に、母

親はK君を施設に入所させることを希望し、この施設に入所することになった。現在

K君は、言語による意思の疎通は困難であり、座位が保持できる程度である。また、

てんかん(epilepsy)の発作(強直間代発作)が時々みられるが、重積発作ではない。

★【問題123】

 

K君が入所している施設の根拠となる法律として、正しいものを1つ選びなさい。

1 母子及び父子並びに寡婦福祉法

2 「障害者総合支援法」

3 生活保護法

4 児童虐待の防止等に関する法律

5 児童福祉法

(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援す
るための法律」のことである。

 

 

 

 

 

 

 

問題123★★★解答5

解説

★【問題124】

Jさんは、K君の支援計画作成に責任を持つ職員に計画作成の注意点など
を聞きたいと、実習指導者に相談した。
K君の支援計画作成に責任を持つ職員として、正しいものを1つ選びなさい。

1 生活支援員

2 児童自立支援専門員

3 サービス提供責任者

4 児童発達支援管理責任者

5 相談支援専門員

 

 

 

 

 

問題124★★★解答4

4 解説

受験生の職場と関連のある受験生にとっては、容易な問題で、それ以外の受験生にとっては何を問うているのかさっぱりわからん・・・・・

と言う問題でしょう。

個別支援計画の作成者分類

児童系サービスにおいては    → ●児童発達支援管理責任者が個別支援計画作成
(児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援・障害児入所施設)

大人系サービス(要は大人対象) →●サービス管理責任者が個別支援計画作成

障害児相談支援においては  →  ●相談支援専門員が個別支援計画作成

問題文では、障害児入所施設となっているので、障害児相談支援ではないと解釈し、相談支援専門員は解答に値しないと判断し、児童発達支援管理責任者を解答に採用しました。

●児童発達支援管理責任者と●サービス管理責任者の違いは?

児童発達支援管理責任者と同じようにサービス全体の管理や個別支援計画の作成を行うサービス管理責任者ですが、その違いはどこにあるのでしょうか?大きく分けると二つの違いに分けられます。

支援の対象者の年齢層が異なる

そもそも障がい児を対象とした施設・事業は、施設入所等は児童福祉法、児童デイサービス等の事業は障がい者自立支援法で定義されたもので、重症心身障がい児(者)通園事業は非営利事業として行われていたものでした。ですが、平成24年4月に児童福祉法にこれらが一本化され、体系も再編されました。その際に誕生したのが児童発達支援管理責任者です。その際に支援をする対象を大人としたのがサービス管理責任者で、対象が子どもとなったのが●児童発達支援管理責任者です。

 

 

 

 

 

 

★【問題125】

Jさんは個別支援計画作成にあたって、昼食後にK君と向き合う時間を多
くとった。ある日、 K君に話しかけていると、突然両上下肢を硬直させ、がたがた
震わせた後、意識を失ってしまった。慌てたJさんはすぐに、近くの職員に連絡を
した。
K君の発作が落ち着いた後、実習指導者がJさんに、K君の発作時の対応につい
て教える内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 大声で名前を呼ぶ。

2 タオルを口にくわえさせる。

3 顔を横にして顎を上げる。

4 救急車を呼ぶ。

5 からだを押さえて発作を止める。

 

 

 

 

 

 

問題125★★★解答3

解説

もんだい  125

てんかんの、持病をもつ、K君。

強直間代発作が時々みられるが、重積発作ではない・・・とありますね。

てんかん発作がおきても、通常は数分間で自然に消退します。しかし、発作が異常に

長引いたり、

いったん発作が終わっても、意識が戻らないうちにまた繰り返す場合は、てんかん重積状態と

いいます。

てんかん重積状態とは、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1981年に作成した分類によると、

「けいれん発作が30分以上続くか、または、短い発作でも反復し、その間の意識の回復が

ないまま30分以上続く状態」と定義されています。

K君のてんかん発作は、『強直間代発作』とされます。

『強直発作』

全身に力が入り、突っ張った状態になります。また、倒れることもあります。

発作時間は、数秒から、1分以内です。

頭部や上半身を屈曲(くっきょく)するだけの、数秒の短い発作もよくみられます。

『間代発作』

からだが律動(りつどう)的にピクピク、ガクガクする症状がみられます。

『強直間代発作』

突然意識を失って強直発作がおこり、その後に、間代発作がおこります。

発作中に、ぜったいにしてはいけないことの1つとして、割りばしを、くちのなかに

いれたり、タオルをかませたりすることがあげられます。

発作中、または発作後に、嘔吐(おうと)することがあるため、 吐きそうになったら

ゆっくり顔を横に向けて、吐物がのどにつまらないようにします。

場合によっては、すみやかな救急要請も必要となります。

関係者全員での、ただしい対応方法の習得と、情報の共有がのぞまれますね。

 

みなさま、全125問のトライ、ほんとうに、ほんとうに、御疲れ様でした。

また、駆け足での、ささやかな解説にさいごまで、御付き合いいただき

まことにありがとうございます。

どうぞ、御疲れがでませんよう、御自身をいたわり、たくさん、たくさん、

ほめてあげてくださいね。

それでは、みなさまのナイスファイトに心からの敬意を表しつつ、これにて

失礼いたします。 ありがとうございました。

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