第21回精神保健福祉士国家試験問題解説 専門科目 問題1-10

皆さま、『第21回 社精神保健福祉士国家試験』、ほんとうに、御疲れ様でした!!

御仕事と両立しての受験のかた、直前まで御家庭の用事に追われ、睡眠不足の日々と闘い

ながらの受験のかた、どなたも本当に、大変だったこととおもいます。

さまざまなご事情で御仕事から、ひととき離れての受験のかたもおいででしょう。御体調と

相談しながら、学習を続けたかた、御家族の介護を続けながらの受験となったかたも、きっと

おられることと存じます。皆さまの日々の御努力が、大きく、実を結びますように!!!

今年は、センター試験前より各地で大雪がつづきました。 寒さも厳しいこの時期の

受験では、どなたも、体調管理、スケジュール管理等も、大変だったことでしょう。

どうぞ、皆さま、御疲れなどでませんように。

1年で、1番寒い、この時期の国家試験は、とても、とても、過酷ですよね。

御住まいの地域によっては、交通機関のこと等が心配で、よく眠れず朝を迎えた

受験生さんもたくさんおいででしょう。

大雪・強風などで、会場までの道のりも、御苦労があったこととおもいます。

無事に帰宅され、温かい御部屋でくつろぎ、御疲れがすこし和らぎましたなら、当サイト

『解答速報・プチ解説』にも、ぜひ、御目通しくださいね。

皆さまのナイスファイトに敬意を表しつつ、難しかった問題、気になる問題など、

御一緒に、ゆっくりと振り返らせていただければ幸いです。

それでは、つたない文章でございますが、皆さまどうぞ宜しく御付き合い下さいませ。

 

 

精神疾患とその治療

問題1 
神経系の構造に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 末梢神経系は脊髄と末梢神経からなる。

2 間脳は視床が人部分を占める。

3 脊髄の上端は小脳に続く。

4 錐体路(すいたいろ)は脊髄で交叉する。

5 大脳基底核は大脳皮質にある。

 

 

 

 

★解答2
★★★解説

試合に勝利するには、まずは、『ルール』を熟知することがたいせつ。

ここで、御一緒に、おさらいしてみましょう。

みなさまが、見事、難関突破なさるには、下記の条件をクリアすることが

必要となります。

【社会福祉振興・試験センター】によりますと・・・

◆◆ 次の2つの条件を満たした者を合格者とする。

『1』

問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の

 得点の者。

『2』

 上記の『1』を満たした者のうち、試験科目16科目群(ただし、(注意2)に該当

 する者にあっては、5科目群。)の各科目群、すべてにおいて、得点があった者。

① 精神疾患とその治療

② 精神保健の課題と支援

③ 精神保健福祉相談援助の基盤

④ 精神保健福祉の理論と相談援助の展開

⑤ 精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム

⑥ 人体の構造と機能及び疾病

⑦ 心理学理論と心理的支援

⑧ 社会理論と社会システム

⑨ 現代社会と福祉

⑩ 地域福祉の理論と方法

⑪ 福祉行財政と福祉計画

⑫ 社会保障

⑬ 障害者に対する支援と障害者自立支援制度

⑭ 低所得者に対する支援と生活保護制度

⑮ 保健医療サービス

⑯ 権利擁護と成年後見制度

(注意1) 

配点は、1問1点の 163点満点である。

(注意2) 

精神保健福祉士法施行規則第6条の規定による、試験科目の一部免除を

受けた受験者にあっては、配点は、1問1点の80点満点である。

合格へのイメージが、整われたでしょうか?

それでは、さっそく、問題1から、御一緒にみてまいりましょう。

みなさま、どうぞよろしく御付き合いくださいませ。

問題 1解説

間脳(かんのう)は、脳幹の中で、第三脳室を囲む、脳部位をいいます。

視床、視床上部、視床後部、視床下部の四部から、形成されます。

内部には第三脳室があり、視床下部からは下垂体が出ており、視床下部・下垂体

神経分泌系を形成しています。

複雑な情報処理のために、【視床】が、他の部分よりも大きく発達しています。

【視床】は種々の情報を受けて,それらを互いに関係づけ,終脳,視床下部などに

伝えることが実験的に証明されているそうです。

人では内臓、血管などの働きを調節する自律神経の中枢、および五感の中間中枢が

あるのは、みなさまも御存知のとおりですね。

頑張って、頑張って、いっぱい勉強したのに、1問目で、くじけた・・・

こんな受験生さん、おられないでしょうか??

実は、1問目を、あえて、むずかしくつくるのは、試験作成の常套手段。

ケアレスミスなく、基本問題で得点を積み上げてゆけば、みなさまの実力なら

難関突破まちがいなしです!!

錐体路とは、
主として運動野からおこり脊髄の運動神経細胞に投射する神経線維束である。
この線維束が延髄の腹側面の正中線の両側で錐体という膨らみをつくるところからこの名がある。
錐体路がその走行の途中で障害されると、運動麻痺を起こす。
これに対し、大脳基底核が障害されると、不随意運動や筋緊張の異常が現れる。

問題2
次のうち,パニック障害でみられる症状として,正しいものを1つ選びなさい。

1 強迫行為

2 体感異常

3 幻視

4 チック症状

5 閉所恐怖

 

 

 

★解答5
★★★解説

某J事務所所属の、売れっ子タレントさんも、この疾患のためにしばらく御休みを

発表なさっって、話題になりましたね。

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、

そのために生活に支障が出ている状態を『パニック障害』といいます。

このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロール

できないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が

起きやすい場所や、状況を避けるようになります。とくに、電車やエレベーターの中など

閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあると

されます。

 

問題3
次のうち、重篤で進行性の身体疾患に罹患している可能性への頑固なとらわれが主な症状である疾患として,正しいものを1つ選びなさい。

1 心気障害

2 神経衰弱

3 身体化障害

4 離人・現実感喪失症候群

5 身体表現性自律神経機能不全

 

 

 

 

★解答1
★★★解説

なんだか、どの設問も、正しく思えてきますが・・・

設問1の、『心気障害』とは、自分が何かしら重篤な病気にかかっているのでは

ないかと思い込み、強い不安が生じる精神疾患です。さまざまな検査を行っても、

実際にどこが悪いということはいのですが、不安は払拭されないのですね。

心気症の症状は変動しつつも慢性的に経過するものです。精神療法を取り入れつつ、

過度な不安には対処方法を身につけることが重要です。

なお、アメリカ精神医学の精神疾患診断マニュアルである『DSM-5』では

「心気症」ではなく、「病気不安症」という名前で病気が定義されているそうです。

ちょっぴり似てますが、

設問4の、身体化障害とは、30歳以前に発症し、何年にもわたって反復性で多彩な

身体愁訴(胃腸症状、疼痛症状、心肺症状、転換症状、性症状、女性生殖器症状など)が

みられる精神障害です。

また、

設問5の、身体表現性自律神経機能不全は、系統的器官における自律神経症状と

して、動悸、発汗、紅潮、振戦などの他覚的な自律神経亢進に基づく症状が特徴

です。現在では、詳細な疫学は不明です。症状として身体化障害と重なる部分が多く

鑑別が困難な場合が多いそうです。

 

問題4

患者の訴えと症状に関する次の組合せのうち,正しいものを1つ選びなさい

 

 

1 「気を失うかと思った」         ーーーーーー 抑うつ気分

2 「大切にしていた着物を家族に盗まれた」 ーーーーーー 貧困妄想

3 「車を運転したときに交通事故を起こしたような気がする」ーーーー パニック発作

4 「隣の家の人が電磁波攻撃を仕掛けてくる」   ーーーーーー 害妄想

5 「誰もいないのに人の声が聞こえてきた」    ーーーーーー 強迫観念

 

 

 

 

★解答4

★★★解説

このあたりから、ようやく、いつもの調子が出てきてほっとした・・・

そんな受験生さん、きっと多数おられたこととおもいます。

寒さや緊張で、からだも、こころも、あたまのなかも、ほぐれるのに

時間が必要ですよね。

さあ! ここから、貴重な1点を積み上げて、まいりましょう。

 

 

 

 

問題5

次の記述のうち,うつ病患者の訴えとして,適切なものを1つ選びなさい。

 

 

1 ただならぬ災害が起ころうとしていることが分かる。

2 街で人と擦れ違った瞬間に「私は神だ」と確信した。

3 自分は、誰か他人の意思によって操られている。

4 自分の体と他人の体の区別が曖昧になった。

5 自分は過去に重大な罪を犯したので,罰を受けている。

 

 

 

★解答5

★★★解説

『うつ病』には、気分の落ち込み以外にも、じつに、さまざまな症状がある

ことは、みなさまのほうが、よく御存知ですよね。

設問5に該当する、『罪業妄想』も、その1つです。

罪業妄想とは、過去の些細なことに固執し、深刻なまでに自分を責めたて「自分は重大な

ミスをおかし、罪に問われる。」といった訴えです。

仕事の失敗をすべて自分のせいにしたり、自分がおかした些細なルール違反は重大な処罰に

値するといった考えもあてはまります。「自分のせいで迷惑をかけて申し訳ない。」

「罪に問われるため家族をやしなっていくことができない。」等の訴えで表現される場合も

あるそうです。

 

 

 

問題6

次のうち,てんかんの診断に最も有用な検査として,正しいものを1つ選びなさい。

 

 

1 脳波検先

2 頭部CT

3 SPECT(脳血流シンチグラフィ)

4 脳脊髄液検査

5 頭部MR I

 

 

 

 

★解答1

★★★解説

解説不要ですよね!!

どなたも、追加点をあげてくださったこととおもいます。

基本問題こそ、ぜったいに、取りこぼしなく。

 

 

問題7

次のうち,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(S S R I )の副作用でみられることが多いものを2つ選びなさい。

 

 

1 運動失調

2 体重減少

3 消化性潰瘍

4 眠気

5 嘔気

 

 

 

 

★解答 精査中

★★★解説

ただいま、精査中です。

いましばらく、御時間の猶予を・・・

 

 

問題8

修正型電気けいれん療法に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

 

 

1 施行前の飲食の制限は不要である。

2 てんかんの主たる治療法である。

3 妊娠中の女性にも行うことができる。

4 副作用を減らすためにサイン波電流を用いる。

5 麻酔科医との連携が必要である。

 

 

 

 

★解答35

★★★解説

妊娠中の女性にも・・・という、設問3が、なんとも迷うところでしたね。

ECTは、ELECTRO CONVULSIVE THERAPYの略称で、

日本語では、「電気けいれん療法」と呼ばれています。

修正型の場合は、あたまに、修正を意味するmをつけ、m‐ECTと表示されます。

頭部に電気を流し、けいれんを起こすことで、脳の機能を改善する治療法として、

なんと! 1930年代に開発されました。

うつ状態・そう状態・興奮状態・強い幻覚や妄想がある状態などに、高い効果・即効性が

あることが知られています。

現在では、全身麻酔と筋肉のけいれんを起こさなくする薬を使用して、全身けいれんに

伴う骨折や、脱臼などを予防しながら、電気けいれん療法を行うことが一般的です。

ECTが適応される疾患は、薬物療法での改善効果が見られない、うつ病・統合失調症や、

躁うつ病・混合性感情状態・緊張病などと言われています。

また、自殺の危険性が高い場合や、焦燥を伴う重症の精神病で、早急な対応が求められる

場合など、さらには、高齢者や妊婦など、薬物を十分に使用できないと考えられる場合など

にも適用されます。

ちなみに、治療で利用される電気刺激は、『パルス波』とよばれるもので、設問4は、

びみょうな、ひっかけでありました。

 

 

問題9

次のうち,統合失調症の非薬物的治療法として,最も用いられているものを1つ選びなさい。

 

 

1 理学療法

2 作業療法

3 内観療法

4 曝露療法

5 精神分析療法

 

 

 

 

★解答1

★★★解説

ここは迷わず、シンプルに、設問2を、選びたいところでした。

統合失調症の代表的な治療として、薬による治療と、精神科リハビリテーションがあります。

急性期には薬による治療が基本になりますが、なるべく早い時期から、薬と精神科リハビリ

テーションを組み合わせた治療を行うことが効果的とされます。

精神科リハビリテーションは、病気の症状で生じる「生活のしづらさ」を改善し、

スムーズに安定した生活を送れるようにすることを目的に行なわれます。

具体的には、デイケア、作業療法、SST(生活技能訓練)、心理教育などのプログラムがあり、

医療機関や地域の精神保健福祉センター、自立訓練事業所などで実施されています。

 

問題10

厚生労働省による「平成26年患者調査」及び「平成26年病院報告」の結果にみられる特徴として,正しいものを1つ選びなさい。

 

 

1 精神疾患を有する総患者数は約100万人である。

2 精神疾患を有する総患者数のうち,最も多いのは統合失調症である。

3 精神病床数は約34万床である。

4 精神病床における入院患者数で,最近10年間の認知症(アルツハイマー病)は横ばいである。

5  精神病床における平均在院日数は1年を超えている。

 

 

 

 

★解答3

★★★解説

患者調査とは、病院及び診療所(以下「医療施設」という。)を利用する患者について、

その属性、入院・来院時の状況及び傷病名等の実態を明らかにし、併せて地域別患者数を

推計することにより、医療行政の基礎資料を得ることを目的とし、3年に1回、実施される

ものです。

患者調査では、傷病分類別の患者数(外来・入院、都道府県別)、受療率(外来・入院、

都道府県別)等の結果を提供しています。

そして!! 注目すべきは、問題の文中にある、・・・病院報告 の部分ですね。

2つの調査結果について、問いかけていることがわかります。

厚生労働省資料によりますと、平成26年度の病院報告において、

精神病床は、338174 床で、1606 床 減少とのこと。

設問3の、精神病床数は、約34万床であるが、正解といたします。

数字を並べた設問は、ひっかけ率が高いもの。

ベッド数とか、かんけーねーしと、つい、つられてとばしちゃった受験生さん、

ファイト! ファイト!

根拠資料

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