第30回介護福祉士試験問題 解答解説97-108 こころとからだのしくみ
第30回介護福祉士国家試験問題解答解説
こころとからだのしくみ
こころとからだのしくみ
問題97
記憶と学習に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 短期記憶とは、数日保持される記憶である。
2 記銘とは、情報を覚えることである。
3 意味記憶とは、自分に起こった出来事の記憶である。
4 道具的条件づけの代表例に「パブロフの犬」がある。
5 観察学習とは、自分の行動を反省することによる学習である。
解答問題97
正解は、2 といたします
記憶を、DVDに、TV番組を『録画』するシーンにたとえますと・・・
記銘 : 新しく覚えること(録画)
保持 : 覚えたことを継続すること
再生 : おもいだすこと
設問1の、短期記憶とは、
たとえば、電話番号のように、いま覚えても、すぐに忘れても、ふつうな記憶で
記憶の保有時間は、15秒から、20秒程度とされます。
設問3の、意味記憶とは、
長期記憶に位置づけられ、単語や、記号の意味に関する知識に関する記憶ですね。
設問4の、道具的条件づけとは
ある刺激を提示し、それに対して自発的に示す反応のレパートリーの中から適切なものに
だけ、餌など何らかの強化を与えることで、特定の刺激と反応との結びつきを成立させる
という方法を、オペラント条件づけ(道具的条件づけ)とよびます。
皆さまも、よく御存知の『パブロフの犬』(条件反射)異なる、位置づけとなります
のでここは、却下に。
設問5の、観察学習とは
観察学習、モデリングは、心理学者のバンデューラによって提唱されました。
他者(モデル)の行動や態度、あるいは感情の表出を観察することで、その行動型を学ぶ
学習方法ですね。
一般に、観察学習は観察者が他者を模倣することであるととらえられてきましたが、
1960年代、アメリカ合衆国の心理学者アルバート・バンデューラは、人は他者をまねるの
ではなく、他者の行動からありのまま学びとるのだと主張しました。
観察学習はバンデューラが唱える社会的学習理論の中心要素をなし、観察学習が
成立するには、注意・保持・再生・動機づけの、四つの過程が必要であると説いて
います。
ここで、こころちからだのしくみの『試験出題範囲』を、御一緒に確認してみましょう。
◆印は、大項目を、 ◇印は、そのうちの、中項目をしめしています。
スペースの関係で、小項目は割愛いたしましたが、ご覧いただくと、学習のヒントとなる
内容であることに、気づかれるとおもいます。
◆◆◆ こころのしくみの理解
◇◇◇ 人間の欲求の基本的理解
◇◇◇ 自己概念と尊厳
◇◇◇ こころのしくみの基礎
◆◆◆ からだのしくみの理解
◇◇◇ からだのしくみの基礎
◆◆◆ 身じたくに関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 身じたくに関連したこころとからだの基礎知識
◇◇◇ 身じたくに関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 機能の低下・障害が及ぼす整容行動への影響
◇◇◇ 生活場面におけるこころとからだの変化の気づきと医療職との連携
◆◆◆ 移動に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 移動に関連したこころとからだの基礎知識
◇◇◇ 移動に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 生活場面におけるこころとからだの変化の気づきと医療職との連携
◆◆◆ 食事に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 食事に関連したこころとからだの基礎知識
◇◇◇ 食べることに関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 機能の低下・障害が及ぼす食事への影響
◇◇◇ 生活場面におけるこころとからだの変化の気づきと医療職との連携
◆◆◆ 入浴、清潔保持に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 入浴、清潔保持に関連したこころとからだの基礎知識
◇◇◇ 清潔保持に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 機能の低下・障害が及ぼす入浴、清潔保持への影響
◇◇◇ 生活場面におけるこころとからだの変化の気づきと医療職との連携
◆◆◆ 排泄に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 排泄に関連したこころとからだの基礎知識
◇◇◇ 排泄に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 機能の低下・障害が及ぼす排泄への影響
◇◇◇ 生活場面におけるこころとからだの変化の気づきと医療職との連携
◆◆◆ 睡眠に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 睡眠に関連したこころとからだの基礎知識
◇◇◇ 睡眠に関連したこころとからだのしくみ
◇◇◇ 機能の低下・障害が及ぼす睡眠への影響
◇◇◇ 生活場面におけるこころとからだの変化の気づきと医療職との連携
◆◆◆ 死にゆく人のこころとからだのしくみ
◇◇◇ 「死」の捉え方
◇◇◇ 終末期から危篤、死亡時のからだの理解
◇◇◇ 「死」に対するこころの理解
◇◇◇ 医療職との連携
問題98
Kさん(91歳、男性、要介護1)は、65歳の娘と二人暮らしである。訪問介護員(ホームヘルパー)が週2回通っている。もともと頑固で怒りやすい性格だが、ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が茶碗を割ったのをきっかけに怒りを爆発させて、この訪問介護員(ホームヘルパー)を代えるように娘に主張した。それは難しいと娘が説明したところ、「もういい、他人には自分の気持ちを理解できるはずがないから、どうせ代わっても今と変わりはない」と話を打ち切ってしまった。
この会話でKさんにみられた適応機制として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 抑圧
2 合理化
3 反動形成
4 昇華
5 投影
解答問題98
正解は、2 といたします
よくありそうなシーンですが、では、どの適応規制に該当するかと聞かれると
難しいですよね。
なんとも、絶妙な、Kさんのせりふに、迷います。
まずは、御一緒に、適応規制をおさらいしてまいりましょう。
私たち人間には、様々な欲求があることは、どなたも御存知のとおり。
けれど。
そうした欲求が、満たされない状態が継続すると、当然、欲求不満になります。
しかし。
ずっと欲求不満でいることは、たいへんな精神的なストレスになってしまうでしょう。
それでは、こころも、からだももちません。
そこで人間は、こうした欲求そのものを満たそうとするのではなく、たとえば、それが
満たされない状態を正当化するなど、別の方法で、欲求不満を解消しようとします。
人間に備わっている、この機能を特に『適応機制(てきおうきせい)』と言います。
『適応機制』は、欲求が満たされない自分自身を防衛するという意味から『防衛機制
(ぼうえいきせい)』と呼ばれることもあります。ある意味で、心の安全装置といっても
よい機能なのですね。
自我を守り、自分自身が壊れてしまわないようにするシステム・・・こんなふうに、
とらえていただくと、わかりやすいとおもいます。
では、つづいてそれぞれの『適応規制』についてみてみましょう。
◆◆ 設問1の、抑圧とは・・・
容認しがたい欲求や感情を、意識の表面にあらわれないように抑えつけ、意識にのぼらせ
ないようにすることをいいいます。
無意識のうちに、忘れてしまうなど、われわれにも、よくありますよね。
◆◆ 設問3の、反動形成とは・・・
知られたくない欲求、感情と、正反対の行動をとることによって、本当の自分を
隠そうとすることをいいます。
なかなか、奥が深いぞ、人間族・・・なんて。
◆◆ 設問4の、昇華とは・・・
社会的には承認されないような欲求や衝動(攻撃的、性的等)を、社会的に
認められるかたちで、満たそうとすることをいいます。
置き換えの、一種でもあるとされます。
◆◆ 設問5の、投影とは・・・
自分自身のなかにある、容認しがたい欲求や感情を、他者のなかにあると考えて、
それを、指摘・非難することをいいます。
では、最後に、設問2の、合理化とは・・・
自分に都合の良い、理屈づけ、いいわけをすることで、自分の失敗や、欠点を
正当化することをいいます。
じぶんにも。
おもいあたるふしあり。
ですよね。
ちなみに、『適応』とは、単に環境にたいして、自己をあわせるという、受身的な
状態だけでなく、周囲へ積極的にはたらきかけて、好ましい状態を生み出して
いくことも、意味するそうです。
問題99
血管系に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 リンパ管には血液が流れている。
2 末梢動脈には逆流を予防するための弁がある。
3 左心室から出た血液は大静脈へ流れる。
4 肺動脈には静脈血が流れている。
5 下肢の静脈は体表から拍動を触れる。
解答問題99
正解は、4 といたします
いきなり。
りんぱかんとか。
さっすが。
こころとからだのしくみ。
ゆだんできませんね。
さて、どなたもきっと、苦手ではなかろうかとおもわれる、左心室の登場です。
循環器は、心臓と、血管、および、リンパ管で、構成されています。
心臓から出ていく血管が、動脈、
心臓にはいる血管が静脈ですね。
一般には、動脈に動脈血が、静脈には、静脈血がながれています。
循環器という、名称からもおわかりいただけるように、血液は体内を循環して
いるのですね。
ここで、設問4のような、現象がおこることに!!
そうですね。
『肺循環』(小循環ともよばれます)においては、心臓から肺に行く、【肺動脈内】には、
【静脈血】がながれ、肺から心臓に行く、【肺静脈】には、動脈血がながれることになり
ます。
さらに、『体循環』(大循環ともよばれます)においては、心臓(左心室)からでた、
大動脈が、全身に血液をおくります。
末梢で、毛細血管となって、静脈となり、今度は、ふたたび、心臓に戻ってゆくのですね。
ここは、ぜひともネットで検索して、わかりやすいイラストなどを探してみてくださいね。
画像でごらんになるのが、いちばんのおすすめです。
問題100
眼の症状とそれに関連が強い疾患の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 眼球が痛くなる・・・・・・・・加齢黄斑変性症(age-related macular degeneration)
2 近いところが見えにくい・・・緑内障(glaucoma)
3 結膜が充血する・・・・・・・流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis)
4 硝子体が白くなる・・・・・・白内障(cataract)
5 目やにが増える・・・・・・・糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)
解答問題100
正解は、3 といたします
ここは、どなたも頑張って、消去法で1点、もぎとっていただけたとおもいます。
流行性・角・結膜炎・・・という名称から、結膜炎 → 目が まっかっか。
こんな図を、思い描いていただけたのではないでしょうか。
しかし、この、流行性角結膜炎、とても危険な疾患でもあるので、要注意です。
アデノウイルスを感染源として、ウイルス性結膜炎の代表格。
充血、めやに、流涙(りゅうるい)、異物感、眼瞼腫脹(がんけんしゅちょう)などのほか、
耳前方のリンパ節が腫(は)れたり、発熱など、かぜ症状をともなうこともあります。
たいへん協力な、感染力をもちますので、治るまでは、通学、通勤は控えるのがBEST
とされます。
問題101
生体で生じる化学反応について、酵素は重要な役割を担っている。酵素を構成する主要成分として、正しいものを1つ選びなさい。
1 タンパク質
2 糖質
3 脂質
4 ビタミン類
5 無機質(ミネラル(mineral))
解答問題101
正解は、1 といたします
細胞内で作られ、生体内のほとんどの化学反応の触媒の働きをする、『たんぱく質』を主体
とする高分子化合物をいいます。
特定の反応だけに働く特異性があり、酸化還元酵素・転移酵素・加水分解酵素・脱離酵素・
異性化酵素・合成酵素に大別されています。
酒・味噌・醤油(しょうゆ)などの醸造や、食品製造、医薬品などに用いられています。
脂肪や炭水化物の消化を促す酵素や、ホルモンや神経組織のバランスを整える、代謝酵素
などがあります。
なるほど、『酵素ドリンク』の流行の理由は、このあたりのようですね。
問題102
Lさん(84歳、男性、要介護4)は、自宅で妻と暮らしている。数日前から妻が体調を崩しているため、短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。利用初日に、介護福祉職が身体の確認をするために着替えを行ったところ、Lさんの腋窩と腹部に赤い丘疹が見られ、一部に小水庖を伴っていた。強いかゆみを訴えており、手指間には灰白色の線が見られる。
Lさんに考えられる皮膚疾患について、集団生活を送る上で最も注意すべき優先度の高いものを1つ選びなさい。
1 皮脂欠乏性湿疹(asteatotic eczema)
2 疥癬(scabies)
3 白癬(tinea)
4 蕁麻疹(urticaria)
5 帯状疱疹(herpes zoster)
解答問題102
正解は、 2 といたします
★★ Lさん、 84歳、男性
★★ 要介護度 4
★★ 強い、かゆみの訴えあり
★★ わきの下と、腹部に、赤い丘疹があり、一部は小さな
みずぶくれを伴っている
★★ 手指関節には、灰白色の線が見られる
★★ ヒントは、集団生活をおくるうえで、最も注意すべき
優先度の高い、皮膚疾患・・・。
丘疹とは、盛り上がった状態の、えんどうまめ以下の大きさの、皮膚疹のこと
ですね。
では、ヒントを総合して、導き出せる皮膚疾患とは???
皆さまも、よく御存知の、『疥癬』となります。
『疥癬』は、ヒゼンダニという、小さなダニが寄生して起こる病気ですね。
ヒゼンダニは、4対の脚をもち、円板状の透明に近い形態です。
体長は約 0・4ミリメートルほどで、ヒトの皮膚のあらゆるところに寄生しますが、
手掌や、指間のほか、外陰部の角化層に穴を掘って棲息します。
読んでるうちに、ぞわぞわしてきそうですね。
国立感染症研究所資料によりますと・・・
ヒゼンダニは、ヒトの体温より低い温度では動きが鈍く、16℃ではほとんど運動
しなくなる。
通常の社会生活で、通常疥癬患者と数時間並んで座った程度では、感染する可能性は
ほとんど ない。
感染直後は全く症状がないが、感染後約4〜6週間で多数のダニが増殖し、その虫体、
脱皮殻や排泄物(糞)によって感作されることにより、アレルギー 反応としての激しい
痒みが始まる。
なお、角化型疥癬の患者から感染を受けた場合には、多数のダニが移るので、潜伏期間も
4〜5日と非常に短くなる。
◆◆ では、気になる、灰白色の線とは??
手首、手指の間には、『疥癬トンネル』と呼ばれる細くて灰白色で、長さ数ミリメートル
の線状の皮疹がみられます。トンネルの先には、メスのヒゼンダニが潜伏しています。
ちなみに、
角化型疥癬は、桁違いに多数のヒゼンダニが感染した、疥癬の重症型です。
患部は、肥厚した灰色〜帯黄白色の角質増殖と痂皮に覆われた状態になり、亀裂も
生じます。
ダニの数は通常の疥癬では数十匹であるが、角化型では100万〜200万匹といわれて
います。
予防対策、万が一の場合の対応方法、最新の治療法、などなど、項目をあげて、
調べてみると御仕事にも、おおいに役立ちそうですね。
問題103
排便に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 寝たきりになると下痢になりやすい。
2 麻薬性鎮痛剤の使用中は便秘になりやすい。
3 うつ病(depression)では下痢になりやすい。
4 ウイルス感染では便秘になりやすい。
5 腸閉塞(intestinal obstruction)では下痢になりやすい。
解答問題103
正解は、2 といたします
では、なぜ、痛み止めなどの麻薬を使用すると、便秘になりやすいのでしょうか??
「モルヒネなどオピオイド鎮痛薬」による便秘は小腸の運動を抑制し、腸液の分泌を抑制
するために、便が硬くなることによって生じます。
そして大腸の蠕動(ぜんどう)運動は低下し、肛門括約筋(かつやくきん)の緊張が高まり
排便が困難となります。
また、病気の進行により、食事摂取量の不足、発熱、体動の減少、大腸へのがんの浸潤など、
便秘となりやすい病態を、合併していることが多くみられます。
便秘が長時間続くと、悪心(おしん)、食欲不振、腹部膨満感などの消化器症状を呈する
ことがあり、治療も困難になるため、予防することが大切です。
問題104
次の症状のうち、膀胱炎(cystitis)で最も起こりやすいものを1つ選びなさい。
1 発熱
2 乏尿
3 残尿
4 腰痛
5 排尿時痛
解答問題104
正解は、5 といたします
ここは、どなたも、追加点をあげてくださったこととおもいます。
基本問題をとりこぼさない。
これが、合格への近道であり、王道でもあります。
問題105
体内時計を1日24時間の周期に修正する最も強力な因子として、正しいものを1つ選びなさい。
1 日光
2 食事
3 運動
4 仕事
5 入浴
解答問題105
正解は、1 といたします
いきなり、体内時計って・・・ ですよね。
実は、「朝起きて、昼間は活動し、夜になったら休む」というリズムは、暮らしの習慣で
身についた生活リズムではなく、もともと人に備わったリズムなのだそうです。
これをコントロールしているのが、からだの『時計遺伝子』。
なぜそんな、リズムが備わっているかというと、地球の自転に合わせて効率的に生きるため
です。
人間が、厳しい環境の中生き残っていくために獲得したちからといえます。この自分の
持っているちからをしっかり活かし、私たちのからだに備わったリズムを刻む、時計の
仕組みを知って、活用することが、健康的に暮らすためにとても大事なのですね。
では、体内時計は、からだのどこにあるのでしょう???
実は、時計は全身にあることがわかっています。筋肉、血管、皮膚など、あらゆる場所に
時計遺伝子が存在するのです。
全身の時計遺伝子が、バラバラに時を刻むことが無いように、「親時計」というものも
存在します。
この親時計が「朝」と指示したら、それに合わせて、そのほかの子時計も「朝」になり、
1日のリズムを刻み始めます。
親時計は、眉間のずっと奥の脳に存在します。
目に近い場所にあるので、
朝、太陽の光が目から入ることで「朝です。1日が始まります。」
と全身の子時計に号令を出し、からだのスイッチが入るのですね。
問題106
「睡眠の時間は十分にとれているが、ぐっすり眠れた感じがしない状態」に当てはまる不眠症(insomnia)として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 入眠障害
2 中途覚醒
3 熟眠障害
4 早朝覚醒
5 時差症候群(jet lag syndrome)
解答問題106
正解は、 3 といたします
みるからに、つらそうなネーミングですが、睡眠時間だけが、良眠を決めるわけ
ではありません。
ノンレム睡眠の量が少ないと、脳は、深く眠っていないため、このような症状が
あらわれてしまうのですね。
睡眠障害は、体調にも影響を及ぼしますし、昼間の事故にでもつながっては大変
です。
不調をかんじたら、すみやかな医療機関受診がBESTとおもわれます。
問題107
Mさん(85歳丿女性)は、認知症(dementia)と診断されている。数日前に介護老人保健施設に入所した。毎日、夕方から夜間にかけて怒りっぽくなり、担当の職員に大声をあげている。物忘れや徘徊もみられる。
Mさんの現在の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 過眠症(hypersomnia)
2 レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)
3 パニック障害(panic disorder)
4 幻覚
5 夕暮れ症候群
解答問題107
正解は、5 といたします
夕暮れ症候群、日没症候群とも呼ばれる、この症状は・・・
夕方になると、ソワソワして落ち着かなくなったり、少しのことに声を荒げたり、
「そろそろ家に帰らせていただきます」と徘徊を始めたりするのは、認知症に
関わる人の間では、よく知られていることですね。
これを『夕暮れ症候群』、『日没症候群』と呼んだりします。
夕方は子どもたちが帰ってきたり、ご飯の準備などであわただしくなる時間帯です。
そんな昔のことを思い出してしまったり、介護者の方があわただしくなるのを見て
「ここにいていいの?」と思ってしまうことから、こういった症状が出るのだとも
言われています。
帰宅願望や、夕暮れ症候群は、何かに夢中になっていると起こりにくいとされます。
できるだけこの時間に合わせて、ぬり絵などの趣味を楽しんでもらったり、洗濯物を
畳むなど、できる範囲の家事を任せるといいかもしれません。
かるい、おやつを一緒に食べたり、お茶をいただいたりすることも、落ち着きを
取り戻すのに効果があるとされます。
また、
外が完全に暗くなれば不安が収まってくる方もいますし、逆に暗いと余計に恐怖感が
増す方もいらっしゃいます。
ご本人のタイプに応じて、照明を明るくするとか、夕日が入らないようにするなどの、
工夫をしてみることもいいですね。
問題108
臨終期の身体の様子に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 手足は温かい。
2 浮腫の出現は少ない。
3 喉からゴロゴロする音が聞かれる。
4 尿量は増加する。
5 呼吸のリズムは規則的である。
解答問題108
正解は、3 といたします
のどの音からも、死の兆候が、感じられることがあるのですね。
臨終期には、喉の奥がゴロゴロと鳴ることがあります。これは、咳払いもできないほど
嚥下機能が弱まり、喉や気道内に、唾液や痰が溜まることで喉が鳴る死前喘鳴(ぜんめい)と
いう症状です。
この音が聞こえると、24時間以内に死亡するケースが大半との報告がなされています。