第30回介護福祉士試験問題 解答解説5-16 社会の理解

第30回介護福祉士国家試験問題解答解説

社会の理解

問題5

「2016年(平成28年)国民生活基礎調査(厚生労働省)による世帯状況に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

 

1 「夫婦と未婚の子のみの世帯」,「単独世帯」「夫婦のみの世帯」のうち、最も多い世帯構成は「夫婦のみの世帯」である。

2 「高齢者世帯」は全世帯の30%を上回っている。

3 世帯類型別にみると、「母子世帯」の割合は、5%を上回っている。

4 65歳以上の「単独世帯」では、男性よりも女性が多い。

5 65歳以上の男性の「単独世帯」における年齢構成では、男性は75歳~79歳が最も多い。

★★

解答 4

解説

はああ。

やっぱり。

よそうどおり。

とうけいでた。

こんな、御声がきこえてきそうですが・・・

問題5

 

 

 

正解は、4 といたします。

【国民生活基礎調査】は、

保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、

厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、

各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的として

おこなわれます。

では、さっそく、28年度統計を御一緒にみてまいりましょう。

世帯構造をみますと、

「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1474万 4千世帯(全世帯の29・5%)で
最も多く、

次いで「単独世帯」が、1343万 4千世帯(同2・9%)、

「夫婦のみの世帯」が、1185万世帯(同23・7%)となっています。

★ よって、設問1は、却下に。

世帯類型をみますと、

「高齢者世帯」は1327万 1千世帯(全世帯の26・6%)で年次推移をみると

増加傾向となっています。

また、「母子世帯」は71万  2千世帯(全世帯の1・4%)となっています。

★ よって、設問3は、却下に。

高齢者世帯は、全体の26・6パーセントだそうです。

★ よって、設問2は、却下に。

のこるは、設問4と、設問5ですね。

【65歳以上の者のいる、単独世帯】では、男性は65歳から69歳が、35・5パーセントと

最も多いそうです。

★ よって、設問5も、却下に。

ということは、正解は、設問4 になりますね。

統計によると、65歳以上の【単独世帯】では、男性は31・9パーセント。

女性は、68・1パーセントをしめるそうです。

数字は、グラフや表でごらんいただくと、ぐぐっと理解も暗記も早いもの。

すこし御時間ができましたら、ぜひ、国民生活基礎調査、ごらんになってみて

くださいね。

旧カリキュラムにおいても、多くの受験生さんを毎年、涙目にしてきたのが、社会学概論。

老人福祉論、介護概論、障害者福祉論、社会福祉概論、家政学概論、社会学、社会保障と

いったものですね。

頑張って勉強したのに、勉強したところが、ぜーんぜん出題されなかった・・・

そんな受験生さんのお声が聞こえて来そうな科目が、【社会の理解】のようにおもえますが、

皆さま、いかがでしたか??

『ヒント』になる選択肢が少なく、本当に、どの問題も迷いに迷う、つくりになっています。

た・だ・し。

かならず、やや易しい問題も用意されていますので、ケアレスミスをせずに、淡々と、消去法

など駆使しながら、決めたとおりのペースで解き進めて行くのが、BESTですね。

以下に、試験出題範囲の、『中項目』と、それぞれの『小項目』をまとめてみました。
(中項目は、(◆印)に、 小項目は、(◇印)に、しています)

そっか!! このあたりをおさえておくといいんだな・・・ そんな、学習のヒントと

なる用語が、いくつもみられますね。

◆◆  家庭生活の基本機能

◇◇  生産・労働、教育・養育、保健・福祉、生殖、安らぎ・交流、その他

◆◆  家族

◇◇  家族の概念とその変容

◇◇  家族の構造や形態

◇◇  家族の機能、役割

◇◇  家族観の多様化

◆◆  地域

◇◇  地域の概念

◇◇  コミュニティの概念

◇◇  都市化と地域社会

◇◇  過疎化と地域社会

◇◇  地域社会の集団・組織

◆◆  社会、組織

◇◇  社会、組織の概念

◇◇  社会、組織の機能、役割

◇◇  グループ支援、組織化

◇◇  エンパワメント

◆◆  ライフスタイルの変化 

◇◇  雇用労働の進行、女性労働の変化、雇用形態の変化

◇◇  少子化、健康寿命の延長

◇◇  余暇時間

◇◇  生涯学習、地域活動への参加
 
◇◇  その他

◆◆  社会構造の変容

◇◇  産業化・都市化

◇◇  地域社会の変化

◆◆  生活支援と福祉

◇◇  生活の概念

◇◇  福祉の考え方とその変遷

◇◇  自助、互助、共助、公助

◆◆  社会保障の基本的な考え方

◇◇  社会保障の概念と範囲

◇◇  社会保障の役割と意義

◇◇  社会保障の理念

◆◆  日本の社会保障制度の発達

◇◇  日本の社会保障制度の基本的な考え方、憲法との関係

◇◇  戦後の緊急援護と社会保障の基盤整備

◇◇  国民皆保険、国民皆年金

◇◇  社会福祉法

◇◇  福祉六法

◇◇  社会保障費用の適正化・効率化

◇◇  地方分権

◇◇  地域福祉の充実

◇◇  社会保障構造改革

◆◆  日本の社会保障制度のしくみの基礎的理解 

◇◇  社会保障の財源

◇◇  社会保険、社会扶助

◇◇  公的保険制度、民間保険制度

◆◆  現代社会における社会保障制度

◇◇  人口動態の変化、少子高齢化

◇◇  社会保障の給付と負担

◇◇  持続可能な社会保障制度

◇◇  介護保険制度改革

◆◆  介護保険制度創設の背景及び目的

◆◆  介護保険制度の動向

◇◇  介護保険制度改革

◆◆  介護保険制度のしくみの基礎的理解

◇◇  介護保険の保険者と被保険者

◇◇  介護保険の保険給付と利用者負担

◇◇  受給権者(要介護者・要支援者(政令で定める特定疾病を含む。))

◇◇  介護サービス利用までの流れ

◇◇  介護サービス等の種類・内容

◇◇  介護サービス情報の公表

◇◇  介護予防の概念

◆◆  介護保険制度における組織、団体の機能と役割

◇◇  国の役割

◇◇  都道府県の役割

◇◇  市町村の役割

◇◇  指定サービス事業者の役割

◇◇  国民健康保険団体連合会の役割

◆◆  介護保険制度における専門職の役割

◇◇  介護支援専門員の役割

◇◇  関連専門職種の役割

◆◆  障害者自立支援制度創設の背景及び目的

◇◇  社会福祉基礎構造改革と障害者施策

◇◇  障害者基本計画、新障害者プラン

◇◇  支援費制度

◇◇  障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
   (障害者総合支援法)の目的

◆◆  障害者自立支援制度のしくみの基礎的理解

◇◇  障害者総合支援法に基づく自立支援給付と利用者負担

◇◇  障害者自立支援制度における事業者及び施設

◇◇  障害者自立支援制度における専門職の役割

◇◇  障害福祉サービス利用の流れ

◇◇  障害福祉サービスの種類・内容

◆◆  障害者自立支援制度における組織、団体の機能と役割

◇◇  国の役割

◇◇  都道府県の役割

◇◇  市町村の役割

◇◇  指定サービス事業者の役割

◇◇  国民健康保険団体連合会の役割

◆◆  個人の権利を守る制度の概要

◇◇  社会福祉法における権利擁護のしくみ

◇◇  個人情報保護に関する制度

◇◇  成年後見制度

◇◇  消費者保護に関する制度

◇◇  虐待防止に関する制度

◆◆  保健医療福祉に関する施策の概要

◇◇  生活習慣病予防その他健康づくりのための施策

◇◇  高齢者医療制度と特定健康診査等

◇◇  結核・感染症対策

◇◇  難病対策

◇◇  エイズ予防対策

◆◆  介護と関連領域との連携に必要な法規

◇◇  医療関係者に関する法規

◇◇  医療関係施設に関する法規

◆◆  生活保護制度の概要

◇◇  生活扶助、介護扶助

社会保障・社会保険制度に関する部分は、特に、小項目と過去問題を照らし合わせることで、

学習のヒントがつかめそうですね。

★★

問題6

現在の日本の雇用に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

 

1 終身雇用型の正規雇用はなくなった。

2 正規雇用も非正規雇用も、雇用保険の加入率に差はない。

3 65歳以上の者の就業率は2011年(平成23年)以降減少している。

4 非正規雇用者の割合は、全雇用者数の3分の1を上回っている。

5 パート・アルバイトの割合は、非正規雇用労働者数の30%を下回っている。

 

 

 

解答 4

解説

問題6

正解は、4 といたします

もうね。

なやみすぎて。

あたまいたい。

なんて。

いいたくなりますね。

ここも、同じく、厚労省資料より、数字を確認することができます。

平成28年度における、非正規雇用労働者の割合は、なんと、37・5パーセント!

全雇用者数の3分の1を、かるーく、オーバーしているのですね。

また、平成23年度資料になりますが、

非正規雇用のうち、雇用形態別の統計では、パートとして働くかたが全体の

48・3パーセントに。

アルバイトとして働くかたが、19・6パーセントに、それぞれなるそうです。

数字にちなむ問題は、いくらでも難しくつくれるもの。

時間どおりに解きすすめたら、気持ちを切りかえて、次にすすみましょう!

★★

問題7

地域包括ケアシステムを支える互助の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

 

1 所得保障を中心としたナショナルミニマム(nationl minimum)の確保

2 地域福祉向上のための住民の支えあい

3 市場サービスの購入

4 介護保険制度における介護サービスの利用

5 「高齢者虐待防止法」に基づく虐待への対応

(注)「高齢者虐待防止法」とは、」高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」のことである。

 

 

 

解答 2

解説

問題7

正解は、 2 といたします

ここは、どなたも、シンプルに、2を選んでいただけたのではないでしょうか?

高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で

生活を継続することができるような、包括的な支援・サービス提供体制の構築を

目指すのが、『地域包括ケアシステム』ですね。。

じつは、地域包括ケアシステムのキャッチフレーズの1つが、

【自助】、【互助】、【共助】、【公助】。

ちなみに。

【互助】とは、相互にささえあっている という意味ですが、【共助】との相違点と

して、費用負担が制度的に裏づけされていない、自発的なもの となるそうです。

★★

問題8

日本国憲法第25条で定められている権利として、正しいものを1つ選びなさい。

 

1 幸福追求権

2 新しい人権

3 思想の自由

4 財産権

5 生存権

 

 

 

解答5

解説

問題8

正解は、5と いたします

事件や、弁護士事務所などをあつかったTVドラマなどでも、耳にするのが、

【生存権】。

日本国憲法第25条において、定められています。

よい機会なので、いっきょ、ごしょうかい。

第25条 

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

(2)

国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に

努めなければならない。

生存権という単語は、憲法第25条には、直接登場していませんが、

国民各自が、人間らしく生きていくために必要な諸条件の確保を要求する権利・・・

と、とらえていただくと、わかりやすいとおもいます。

★★

問題9

Eさん(64歳、男性)は、4年前に企業を定年退職して無職であり、専業主婦の妻と二人で年金生活をしている。他の家族の医療保険の扶養者ではない。

ある日、Eさんは、自宅の庭掃除をしている時に転倒して、大腿骨を骨折(francture)した。そのため病院で手術をすることになった。

 次の記述のうち、医療費の支払いに適用できるものとして、正しいものを1つ選びなさい。

1 国民健康保険

2 介護保険

3 労働者災害補償保険

4 健康保険

5 後期高齢者医療

 

 

解答1

解説

問題9

正解は、1と いたします

◆◆◆   64歳  

◆◆◆   4年前に企業を定年。

◆◆◆   現在は無職

◆◆◆   年金生活をしている

◆◆◆   他の家族の、医療保険の扶養者ではない

◆◆◆   自宅の庭掃除中に、怪我

介護保険の第2号被保険者ですが、、自宅庭での転倒による骨折は、『特定疾病』では

ないため、設問2は、却下に。

無職のため、設問3、4ともに、却下に。

64歳ということから、後期高齢者医療制度の被保険者にならないため、設問5も

却下いたします。

あわてずに、1を選んでいただけたでしょうか??

無職で、年金生活という箇所からも、正解が導き出せたかな・・・とおもいます。

★★

問題10

介護保険法第1条に規定されている内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

 

1 高齢者社会対策の基本理念や基本となる事項を定める。

2 福祉サービス利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図る。

3 介護が必要となった者等が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営めるよう、保険給付を行う。

4 疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行う。

5 老人の福祉に関する原理を明らかにし、老人に対し、心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じる。

 

 

 

 

解答 3

解説

 

 

問題10

正解は、 3 といたします

ここは、もう、論より証拠。

介護保険法 第1条を、 どどーんと、御紹介してみましょう。

第一条  (目的)

この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態と

なり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の

医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立

した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに

係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う

保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を

図ることを目的とする。

生まれたての赤ちゃんから、御長寿のかたがたまで・・・

皆さまの活躍なさるフィールドは、とても、とても、広いもの。

それゆえ。

学習範囲も膨大なうえに、その深さもまた、まさに、プロフェッショナル!!な

領域となります。

なにか、足がかりとなる科目や、カテゴリーなどを、ご自身のバックボーンに合わせ

基本にして学習をすすめるのも、よい方法の1つですね。

たとえば、『介護保険制度』。

げんきなひとも、しょうがいをおもちであっても、どなたも、年をとります。

40歳以上で住民票をおもちのひとは、原則として強制加入(強制適用)ですから、

守備範囲も広くなり、『障害者総合支援法』との併用なども、一緒に学べますよね。

1つの制度をしっかり学べば、関連する法律や諸制度の学習も、『つながり』がみつかり

相乗効果が。各種の統計などにも、興味がわきますので、いいことづくめであります。

きっちり、おさえておくと役立つ、介護保険制度の資料をすこしだけ御紹介。

介護保険制度における、保険者(保険の運営実施主体のことですね)は、市町村、および
特別区(東京23区)となります。

保険者には、取り組まなければならない事務が、以下のように山盛りあります。
(事務は、業務と、とらえていただくとわかりやすいとおもいます)

◇ 被保険者の資格管理にかかわる事務

★ 被保険者の資格管理

★ 被保険者台帳の作成

★ 被保険者証の発行・更新

★ 住所地特例の管理

◇ 要介護認定・要支援認定にかかわる事務

★ 要介護認定・要支援認定事務

★ 介護認定審査会の設置

◇ 保険給付にかかわる事務

★ 現物給付の審査・支払(国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という)に委託)

★ 被保険者が居宅サービス計画の作成を居宅介護支援事業者に依頼する旨の届出の受付等

★ 償還払いの保険給付(特例サービス費等)の支給

★ 種類支給限度基準額の設定・区分支給限度基準額の上乗せおよび管理

★ 居宅介護福祉用具購入費・住宅改修費の支給等

★ 高額介護サービス費の支給等

★ 給付の適正化関係事務

★ 市町村特別給付の実施

★ 第三者行為求償事務(国保連に委託)

★ 他制度による給付との調整

★ 食事にかかる標準負担額の減額等

◇ 保険福祉事業にかかわる事務

★ 保険福祉事業の実施

◇ 市町村介護保険事業計画(以下「市町村計画」という)の策定にかかわる事務

★ 市町村計画の策定

◇ 保険料の徴収にかかわる事務

★ 第1号被保険者の料率の決定等

★ 普通徴収

★ 特別徴収(対象者の確認・通知等)

★ 督促・滞納処分

★ 保険料滞納被保険者にかかる各種措置

◇ 条例・規則等にかかわる事務

★ 介護保険に固有の条例の制定

◇ 会計等にかかわる事務

★ 特別会計の設置、予算・決算・収入・支出にかかる事務

★ 国庫定率負担・都道府県負担・調整交付金・事務費交付金・収納等

★ 支払基金からの介護給付費交付金の申請・収納等

★ 市町村一般会計の定率(給付費の12.5%)負担

★ 財政安定化基金への拠出、交付・貸付申請、借入金の返済

★ 積立金(基金)の設置・管理

★ 統計事務

◇ 介護保険制度関連の他制度にかかわる事務

★ 国民健康保険保険者としての事務

★ 生活保護の介護扶助・生活扶助(保険料)

◇ その他

★ 広報

上記以外にも、都道府県の役割・事務、また、国の責務なども同時進行で学習して

おくとGOOD!!ですね。

★★

 

問題11

介護保険制度における地域ケア会議の目的として、適切なものを1つ選びなさい。

 

1 居宅サービス計画の作成

2 事業所の事業運営の推進

3 市町村介護保険事業計画の策定

4 個別ケースの課題分析等を行うことによる地域課題の把握

5 介護認定の審査判定

 

 

 

 

解答 4

解説

問題11

正解は、4 といたします

世界最速で、御長寿国家となる、我が国における、重要な課題の1つ!!

それが。

『地域包括ケアシステム』の構築ですね。

高齢者が住みなれた地域で生活を継続できるようにするため、

介護、医療、生活支援、介護予防を充実させてゆくことがかかげられて

います。

そのための、サービスの充実として・・・

地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域支援事業の充実として

以下があります。

① 在宅医療・介護連携の推進

② 認知症施策の推進

③ 地域ケア会議の推進

④ 生活支援サービスの充実・強化

◆◆ では、『地域ケア会議』って??

高齢者を包括的・継続的に支援するために、行政の職員や、地域包括支援センター

職員、介護支援専門員、保健医療および福祉にたずさわる専門職員、その他の、

関係者などにより構成される、『地域ケア会議』は、従前から行なわれていました。

この、地域ケア会議を、地域包括ケアシステムの構築のために、もっと活用すべく、

法定化、すなわち、法律に位置づけられたのですね。

改正された介護保険法においては、

個別事例の検討を通じ、多種職協働による、ケアマネジメントの支援や、地域の

ネットワークづくり、さらには、地域の課題の把握にも資するものとされます。

 

★★

問題12

「障害者差別解消法」に基づく対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

 

1 車いすを使用している障害のある人がバスに乗車する時に、介助を依頼された乗務員が身体障害者手帳の提示を求めて、乗車を許可した。

2 聴覚に障害のある人が市の窓口に来たときに、窓口担当者が手話通訳者と一緒に来るよう伝えた。

3 視覚に障害のある人がレストランに一人で入った時に、店員が介助者と一緒に来るように求めた。

4 知的障害のある人が市役所の会議に出席した時に、本人の申し出に応じて、わかりやすい言葉で書いた資料を、主催者が用意した。

5 精神障害のある人がアパートの賃貸契約をすると時に、不動産業者が医師の診断書提出を求めた。

 

(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

 

 

 

 

解答 4

解説

問題12

正解は、4 といたします

つづいては、『障害者差別解消法』に基く出題です。

この法律の、正式名称は、

『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』 ですね。

国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、

全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合い

ながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを

目的として、

平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、

平成28年 4月1日から施行されました。

その名のとおり、障害を理由に不当な差別をすることを、きっちり禁じています。

たとえば・・・

行政窓口などでの、受付の対応拒否、しょうがいをもつ御本人を無視して、介護者や

支援者にだけ話しかける、学校の受験や入学拒否、不動産物件などの紹介、仲介拒否、

付き添いがいない場合の入店拒否などです。

また、この法律では、負担が重過ぎない範囲で、役所や事業所に対し、合理的配慮も

求めています。

たとえば・・・

しょうがいのある人の、しょうがい特性に応じて座席を決める、

御本人に依頼された、必要な書類への代理記入、意思を伝えあうための、タブレットや

端末などを利用すること、スロープなどによる補助などなど。

落ち着いて設問の文章を読み、シーンをあたまの中で描くと、正解がみつかりそうですね。

★★

 

問題13

「障害者総合支援方」における補装具として、正しいもんを1つ選びなさい。

 

1 車椅子

2 手すり

3 スロープ

4 床ずれ防止用具

5 簡易浴槽

(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

 

解答 1

解説

 

 

問題13

正解は、1 といたします

解答速報の正解番号が、事業者によって、わかれているのが、問題13。

なやみますね。

介護保険法ともかぶるのがありますね。

では、さっそく、厚生労働省資料を、御一緒に確認してみましょう。

補装具費支給制度の概要

1 制度の概要

障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具(別紙「補装具種目一覧」を参照)について、同一の月に購入又は修理に要した費用の額(基準額)を合計した額から、当該補装具費支給対象者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(政令で定める額が基準額を合計した額の百分の十を超えるときは、基準額に百分の十を乗じた額)を控除して得た額(補装具費)を支給する。
※政令で定める額…市町村民税世帯非課税者以外の者:37,200円、市町村民税世帯非課税者:0円

2 対象者

補装具を必要とする障害者、障害児、難病患者等
※難病患者等については、政令に定める疾病に限る

3 実施主体

市町村

4 申請方法等

障害者(障害児の場合は扶養義務者)が市町村長に申請し、身体障害者更生相談所等の判定又は意見に基づく市町村長の決定により、補装具費の支給を受ける。

5 費用負担

(1) 公費負担

補装具の購入又は修理に要した費用の額(基準額)から利用者負担額(原則1割)を除した額を補装具費とし、この補装具費について以下の割合により負担。

負担割合 (国:50/100、 都道府県:25/100、 市町村:25/100)

(2) 利用者負担

原則定率1割負担。世帯の所得に応じ、以下の負担上限月額を設定。

〈所得区分及び負担上限月額〉

生活保護生活保護世帯に属する者0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般市町村民税課税世帯37,200円

【参考1】

※補装具の種目
[身体障害者・身体障害児共通]
義肢 装具 座位保持装置 盲人安全つえ 義眼 眼鏡 補聴器 車椅子
電動車椅子 歩行器 歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く)
重度障害者用意思伝達装置

[身体障害児のみ]
座位保持椅子 起立保持具 頭部保持具 排便補助具

【参考2】

創設年度  平成18年10月施行
※障害者自立支援法施行に伴い、身体障害者福祉法及び児童福祉法に基づく補装具給付制度を一元化し、補装具費支給制度としたもの。
[身体障害者福祉法] 昭和25年度
[児童福祉法] 昭和26年度
支給根拠  障害者総合支援法 第76条第1項
国の負担根拠  障害者総合支援法 第95条第1項第2号

詳細品目

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/yogu/gaiyo.html

 

★★

問題14

特定健康診査に関する次の記述のうち、適切なもんを1つ選びなさい。

 

1 胸囲の検査が含まれる。

2 生活習慣病8life-style related disease)の検査が含まれる。

3 がん検診が含まれる。

4 受診の後で、希望者には特定保険指導が行われる。

5 対象は75歳以上の者である。

 

 

 

 

解答 2

解説

問題14

正解は、2 といたします

あのお。

あのお。

とくていけんこうしんさって??

ほとんどの受験生さんの、ホンネではないでしょうか?? 

しっかし、『社会の理解』って、振り幅おっきい科目ですね。

5つ並んだ設問から、なんとなく、

メタボリックシンドロームが関係ある??  

年齢的には、成人対象かな??  

生活習慣病がらみかな??  

特定保健指導とセットかも?? 

いくつかヒントがつかめそうですね。

では、厚生労働省資料を、抜粋して御紹介してみましょう。

『特定健康診査』とは、

日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、40歳から74歳までの方を

対象に、メタボリックシンドロームに着目した健診を行います。

『特定保健指導』とは

特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の

予防効果が多く期待できる方に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を

見直すサポートをします。

まだ受診されていない方はご自身が加入している医療保険者(自営業の方は市区町村へ、

会社等へお勤めの方(被扶養者を含む)は、お勤め先)までお問い合わせ下さい。

お勤めの方で、事業者健診(お勤め先で実施する健診)を受診された方又は受診予定の

方は、新たに特定健診を受診する必要はありません。

検査項目として、

既往歴、自覚症状・他覚症状、身長・体重・腹囲、BMI、血圧、肝機能検査、血中脂質検査、

血糖検査、尿検査などがさだめられています。

検査後行なわれる、『特定保健指導』の対象者も、定められており、個人の希望で受けるので

なく、必要性を認められたかたとなります。

ぜんぜん、健康っておもってた・・・

わかっているけど、からだに良くない生活習慣から抜け出せない・・・

受診者に対し、さまざまな、継続的支援が用意されているのですね。

★★

 

 

問題15

Fさん(75歳、女性、要介護3)は訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して、自宅(持ち家)で一人暮らしをしている。年金と貯金で生活してきたが、貯金もなくなって利用者負担額の支払い場できないので、来月から訪問介護(ホームヘルプサービス)を断りたいとG訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。

 G訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

 

1 所属する事業所に、来月から訪問介護(ホームヘルプサービス)の利用がなくなると伝える。

2 扶養者がいたら、援助をしてもらうように勧める。

3 生活保護制度の申請を勧める。

4 金融機関から借り入れをするよう勧める。

5 担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に検討を依頼する。

 

 

 

解答  5

解説

問題15

正解は、5 といたします

ここでは、あわてずに、『多種職協働』の精神で、設問を読み進めてゆきたい

ところであります。

やはり、合言葉は、『ほう・れん・そう』(古いですかね??)

Fさんをチームで支えてゆくには、資格や、事業所の垣根をこえての、連携が必須ですね。

やられた。

設問2に。

やられた。

そんな受験生さんも、おいでかも。

大丈夫、大丈夫。

深呼吸して、つぎにすすみましょう!!

基本問題が皆さまを、待っていてくれます。

 

★★

問題16

サービス付高齢者向け住宅に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

 

1 各居住部分には、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室の設置が義務づけられている。

2 居室の面積基準は、15㎡である。

3 食事の提供が義務づけられている。

4 入居者は、必要に応じて、介護保険サービスの利用ができる。

5 対象者は、単身高齢者に限られている。

 

 

 

 

 

 

解答 4

解説

 

問題16

正解は、 4 といたします

大家族であっても、御夫婦2人であっても、御一人であっても、暮らすための

『家』もしくは、『部屋』が、どなたにも必要ですよね。

どこで、どんなふうに、くらしてゆこうか・・・

まだまだ、施設入居等の必要はなくても、いずれは老いてゆくことをかんがえて

おくのは、自然なことです。

いよいよ年をとって、動けなくなるまえに。

自分たちで、あるいは、自分ひとりで、意思決定できるうちに。

家族としっかり話し合いができるうちに。

選択肢がたくさんあるうちに。

家族構成が変わったり、御仕事などの経済環境の変化などから、あるいは、

体調面、精神面の変化などから、

終の棲家として、これまでの住居から、コンパクトな住いに替えるかたもおおく

おられます。

まだまだ元気だけれど、いざというときに備えて、見守り(安否確認)や、

健康相談などのフォローがあるとうれしい・・・そんなかたもおられることでしょう。

問題16に登場した、

【サービス付き高齢者向け住宅】とは、

『高齢者住まい法』の改正により創設された介護・医療と連携し、高齢者の安心を支える

サービスを提供するバリアフリー構造の住宅です。

この制度は、高齢者が安心して生活できる住まいづくりを推進するために制定されました。

住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面の条件を備えるとともに、

ケアの専門家による、安否確認や生活相談サービスを提供することなどにより、高齢者が

安心して暮らすことができる環境を整えます。

『高齢者住い法』の正式名称は、『高齢者の居住の安定確保に関する法律』。

サービス付き高齢者向け住宅は、この法律に基き、登録事業者によって、

事業・運営などが展開されることとなっています。

御部屋に関する、さまざまな設備条件はもちろんのこと、行なえるサービスや、

入居条件、契約に関することなども、法律で決められているのですね。

御存知のかたも多いとおもいますが、国土交通省と、厚生労働省ががっちりと、

タッグを組んで取り組む施策の1つでもあります。

さて、

国がさだめた、設備に関する基準として以下があります。

◆ 住戸面積・設備等

※ 一戸当たりの床面積は、原則として、25平方メートル以上

ただし、居間、食堂、台所等、高齢者が共同して利用するために十分な面積を

有する共用の設備がある場合は18平方メートル以上で、よいとされます。 

※ 原則として各戸に台所、水洗便所、 収納設備、洗面設備、浴室を備えたもので

  あること 

ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備、浴室を備えた場合は

各戸が水洗便所と洗面設備を備えていればよいとされます。

※ バリアフリー構造であること

◆ サービスの内容として

※ 状況把握(安否確認)や、生活相談サービスを提供すること

※ ケアの専門家が、少なくとも日中常駐すること

ケアの専門家として、以下のような人があげられます。

社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員、医師、看護師、

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、
 
介護職員初任者研修課程の修了者(修了者とみなされる者を含む。)

ここまでは、提供されるサービスの内容や、お部屋の設備基準ですね。

上記から、

設問2、設問3は、かんぜんに消去できそうです。

設問1は、ただし書きがある内容ですから、ちょこっと保留であります。

次は、入居される人について、調べてみましょう。

『サービス付き高齢者向け住宅』は、

登録事業者制度があり、全国一律の設備基準をクリアしていますが、

基本的には、いわゆるマンションやアパートのように各居住者が、独立して暮らせる

住まいです。

緊急通報装置が設置されており、緊急時には24時間常駐している管理人が対応する

ところもあれば、夜間や休日は外部の警備会社に委託しているところもあります。

居住者同士が、交流できるスペースや食堂があるところ、その他、テナントで

様々なサービスが入っているところなど、実に多種多様なのですね。

多額の入居金の必要はなく、敷金・礼金の賃貸契約が基本ですから、

入居の際の、経済的なハードルが低めということも、うれしいところ。

このことから、入居希望のかたも、さまざまです。

◆ 具体的な入居対象者として、以下があげられます。

60歳以上の高齢者、または要介護・要支援認定者、およびその同居者。

同居者は、配偶者や、同条件の親族(内縁関係であっても、OKなことも)

特別な理由により同居する必要があると登録主体(都道府県又は指定機関)が認めた人。

この範囲内で、例えば「要介護者のみ」や、逆に「入居時自立」など、入居者資格を

限定している住宅もあります。

これで、設問5は、消えましたね。

残るは、2つ。

設問1、もしくは、設問4 となりますが・・・ 

どちらが適切なのか、御一緒に確認してまいりましょう。

まずは、設問1。

設備基準には、『原則』と、『ただし』の、2つがありましたよね。

収納に関しても、それぞれのお部屋になくても、よい場合が決められています。

では、設問4の

入居者は必要に応じて、介護保険サービスの利用ができる・・・は

どうでしょう??

ここで、入居者の条件の補足をすこしだけ。

原則として、60歳以上になっていないといけません。ただし例外もあります。

60歳未満でも、40歳を過ぎていて「要介護認定」または「要支援認定」を受けて

いるなら入居が認められます。

じゃじゃああん。

どっちがてきせつか。

わかっちゃいましたね。

『サービス付き高齢者向け住宅』において、前述のように、

提供できるサービスは、原則として、安否確認と健康相談の2つ。

したがって、

介護保険制度において、要支援、要介護と認定された場合には、

外部の介護サービスを利用することが、可能となっているのですね。

設問1は、ひっかけとして、却下。

◆◆◆  正解は、設問4 といたします。 ◆◆◆

いましばらく、御時間の御猶予を・・・

 

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