第30回介護福祉士試験問題 解答解説 109-113 医療的ケア
第30回介護福祉士国家試験問題解答解説
医療的ケア
医療的ケア
問題109
医療行為としての喀痰吸引等を行うための指示書に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 医師が作成する。
2 介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する。
3 看護師が作成する。
4 有効期限は3年である。
5 指示内容の実施は、介護福祉士に限定される。
解答問題109
正解は、1 といたします
医行為を行なうのは、医師。
これが、基本の『かんがえかた』となります。
そこから、時代が移り変わり、法制度もまた、新たにかわってきたのですね。
問題110
パルスオキシメータ(pulse oximeter)での測定に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 呼吸回数を測定できる。
2 体温を測定できる。
3 静脈血の酸素飽和度を反映している。
4 末梢の血液循環が悪くても正確な値が出る。
5 健康な人の基準値は95~100%である。
解答問題110
正解は、5 といたします
パルスオキシメータとは・・・
TVドラマなどで、病院等のシーンにおいて、指先に『洗濯ばさみみたいな器具』を
つけているのを、ご覧になったことがあおりかとおもいます。
あれです。
あれが、パルスオキシメータ。
皮膚を通して動脈血酸素飽和度と、脈拍数を測定するための装置です。
赤い光の出る装置(プローブ)を、指にはさむことで測定します。
肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。
酸素飽和度とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている
赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)
調べた値なのですね。
プローブにある、受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値から、
酸素飽和度を計算し、表示します。
正常とされる、酸素飽和度の基準値は、およそ96から99%とされ、90%以下であれば
肺機能の低下が考えられます。
装着直後から、値が連続的に得られるため、低酸素状態に陥る危険性の高い麻酔時や
呼吸管理のためのモニターとして、また、睡眠時無呼吸症候群の判定時にも用いられ
ます。
問題111
喀痰吸引を必要とする利用者に対する`生活支援として、適切なものを1つ選びなさい。
1 口腔内の乾燥を保つ。
2 室内の空気を清浄に保つ。
3 室内の湿度を30%以下に保つ。
4 水分摂取を控える。
5 仰臥位から側臥位への体位変換を控える。
解答問題111
正解は、2 といたします
解説不要ですよね!!
ちなみに、室内の湿度ですが、40パーセントを下回ると、健康な人でも、目や、
のどの、乾燥をかんじるそうです!!
ケースにもよりますが、めやすは、60パーセント。
場合によっては、加湿器の利用も検討するとよいですね。
問題112
介護福祉士が喀痰吸引を指示に従って実施したが、1回の吸引で痰が取り切れなかった。再度、吸引を行うときの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 呼吸が落ち着いたことを確認する。
2 吸引時間を延長する。
3 吸引圧を高くする。
4 太い吸引チューブに変更する。
5 痰がたまっていそうな部位にしばらく吸引チューブをとどめる。
解答問題112
正解は、 1 といたします
痰がとれるのだから、楽かなとおもわれがちですが、患者さんにとって、吸引の最中は、
場合によっては、恐怖の時間でも有り得ます。
よって、
患者さん、ファーストが重要。
最近では、医療機関においても、無理な喀痰吸引は、頻繁にはおこなわない方向に
あるとのこと・・・
喀痰の吸引には、『リスク』もあります。
痰の除去は、もちろんたいせつですが、患者さんの状態の把握、異変の察知もまた、
たいへん重要となります。
吸引の目的、正しい手技、リスクマネージメントなど、トータルでの学習が必要
ですね。
問題113
Aさん(85歳)は、胃ろうを造設している。介護福祉士は、栄養剤を注入する前にAさんの排尿を促して、排尿があったのを確認した後に注入を開始した。
注入する栄養剤は体温に近い温度で用意して、注入中の体位は角度10度の仰臥位で行った。栄養剤の量と注入の速度は、指示のとおりに行った。注入中に.Aさんが嘔吐した。
嘔吐の原因として、最も可能性の高いものを1つ選びなさい。
1 注入前の排尿
2 栄養剤の温度
3 注入中の体位
4 栄養剤の量
5 注入の速度
解答問題113
正解は、 3 といたします
★★ Aさん、 85歳 胃ろうを造設
★★ 排尿はすませている
★★ 体温に近い温度の栄養剤
★★ 注入の体位は、角度10度の仰臥位
★★ 指示どおりの注入速度と、量
これにより。
Aさんが、嘔吐。
経管栄養では、直接胃の中に流動物が入っていくわけですが、仰臥位のままだと、
流動物が逆流して気管へ入ってしまう(誤嚥)可能性もあり危険です。
また、胃の中に入っても、胃の蠕動運動が十分に行なわれなかったり、幽門部の狭窄などが
あると、流動物が胃の中に長時間停滞することになります。そのため、腹部膨満や嘔吐などを
起こす場合があります。
仰臥位よりも上半身を少し上げたほうが重力の助けを得て、流動物の逆流の防止や
十二指腸への流出がスムーズにいきます。
経管栄養を行なう際には、
体位は、仰臥位ではなく、セミファーラー位(30度くらい)から、
ファーラー位(45度くらい)で、患者さんと相談して、安楽な姿勢をキープします。